【名古屋市】 まちの人たちの夢が結実 「喫茶/スペース七番」へようこそ!
インタビュー
いま名古屋で話題を集める注目のエリア、中区錦二丁目。
市街地再開発の中心に、このほど30階建ての高層マンションと商業などの複合施設「オリマチ錦」が完成した。
まちのエリアマネジメントを担うのは、長年、錦二丁目のまちづくりに携わってきた名畑恵さんが代表を務める錦二丁目エリアマネジメント株式会社です。
かつてはまちの中にいくつもあったという路地と会所を現代に再現した「オリマチ錦」を案内していただきながら、新しい地域の拠点への想いをお聞きしました。
「オリマチ錦」という名称は、古くから錦二丁目が日本の三大繊維問屋街のひとつ「長者町」を中心に栄えてきたことにちなみ、繊維をイメージしてつけられたものだそう。
1階部分には生鮮食品が揃うスーパーマーケット、おにぎり専門店やベーカリーを併設したデリショップ、中華料理のレストランなどが並びます。
建物の四方に入口が設けられた路地が交差する「会所」部分には、共有スペース「オリマチ広場」と「喫茶七番」が。ここはマンションに暮らす人たちはもちろん、誰もが気軽に立ち寄り自由に過ごすことができる憩いの場で、平日のランチタイムにはキッチンカーが乗り入れ、週末や夜の時間帯にはマルシェや映画上映会などさまざまなイベントが行われたりと、都心に新しい交流と賑わいを生み出しているそうです。
2階にはヴィンテージストアの「7(ナナ)」、アクセサリーとネイルのお店「amplis(アンプリス)」など、都心の暮らしに彩りを添える素敵なショップのほか、デンタルオフィスも。
また、これまで会議などの際にまちの人たちが気軽に集まれる場所が少なかったこのエリアにとって待望の貸しスペース「スペース七番」も新たに誕生しました。
ラウンジ空間を兼ね備えた多機能のレンタルスペースで、用途によってフレキシブルに対応できる二つの会議室に保健所許可付きのキッチンが併設。
会議以外にもお料理教室やパーティ、町内の寄り合いなど幅広い用途に活用できる施設です。
「スペース七番」のラウンジ空間で、ひときわ目を引くのが間伐材を活用した木製の遊具。
一歩足を踏み入れると優しい木の香りが出迎えてくれます。
このエリアで展開されている都市の木質化プロジェクトによるもので、キッズコーナーとして誰でも予約なしで利用できるそうです。
「新しいまちの拠点となるこの『オリマチ錦』は、地域の人たちが理想のまちの未来を見据えて描き続けた夢の結晶ともいえる場所なんです。」
施設の案内を一通り終えたところで、名畑さんは感慨深そうにこれまでのまちのあゆみを語りはじめました。
「古くは名古屋城の城下町として、明治から昭和の時代には全国屈指の繊維問屋街として繁栄したこのまちは、平成に入り繊維産業の衰退にともなって徐々に賑わいを失っていったんです。そんな状況に危機感を抱いた地域の人たちが中心となって、2004年に『錦二丁目まちづくり協議会』が立ち上がりました。年々活気をなくしていく自分たちのまちをなんとかしたい。そのためにはみんなで描く〝夢〟が必要ではないかと考え、まちの人たちが未来にかける夢を軸にマスタープランが完成したのが2011年のことでした。」
みんなで目指すまちの未来を具体的に示したその内容は、大きく三つの柱によって成り立っているのだそう。
「一つ目は『安心居住』。都会の真ん中にありながら、ここをふるさとだと思えるような地域づくりを目指そうということです。二つ目は『元気経済』。都心のビジネス街として、やはり経済もしっかり回していきたい。三つ目に『共生文化』。人やものの流動性が高いエリアなので、働く人や遊びに来る人、住む人などさまざまな人がいます。まちに関わりのある多様な人たちが共生できる文化を育もうというものです。」
そうして完成したマスタープランをもとに実際の動きをつくり出し、さらに仕組みづくりへと、時間をかけながら丁寧に夢を育んできた錦二丁目まちづくり協議会。この構想の中で、とくに大事なポイントとして描かれていたのが「会所」と「路地」だったのです。
「『会所』と『路地』は徳川家康が清州越しで名古屋のまちを作った400年前からあったもので、当時にしてはとても先進的な都市計画によるものなんです。本来、城下町は敵の攻撃を防ぐために入り組んだ道を作るのが常識。なのに家康は戦国時代を経てこれからは太平の世になることを見越してあえて道を碁盤割りにし、町人町を中心に置いて庶民の賑わいを生み出したと言われています。」
当時、それぞれの街区では表通りに沿って外向きに建物が建てられ、それらが背中合わせになることで街区の中心部分に「会所」と呼ばれる空間が生まれました。そこには主に寺社仏閣が置かれ、人々の交流の場になっていたと言われています。
「おかげで仕事や生活など人々の生き生きとした暮らしが生まれ、中心に祈りの空間も存在していました。それこそが今、この時代にもう一度再現したいまちの未来図ではないかと考えたんです。」
それを現実のものにしたのが、まさに今回完成した地域に開かれたまちの拠点、オリマチ広場と喫茶七番なのだと話す名畑さん。
「私自身、このまちに2004年から関わってきて、師匠である延藤先生のもとでずっとこのプロジェクトをサポートしていましたが、正直なことを言うと、はじめの頃はみんなで夢を描くことってすごく大変だなと思って見ていました。けれど今になって振り返ると、やっぱりああやって夢を描いたことで、着実に実現に向けて動き続けることができたのだと改めて感じるんです。」
道のりの途中では想定外の困難や難題に遭遇することも。その都度、諦めることなく挑み乗り越えてこられたのも、みんなで描いた夢があったから、と振り返ります。
「そんな時に何を羅針盤にするのかと言ったら、やはり最初に作った構想なんですよね。みんなの夢の実現のためにはどうすれば良いかを判断する時に、全ての拠り所になってくれました。」
自分たちの地域の未来をまちぐるみで考え続け、描いた夢がいよいよ実を結び、都心のビジネス街、繊維問屋街というこれまでのイメージが大きく様変わりしつつある錦二丁目。最後にそんな今のまちへの想いをうかがいました。
「私が最初にこのまちに来た時、まるで砂漠のようで殺伐とした印象でした。このエリアって、もともと昼間の人口と夜間の人口の差がとても大きいまちなんです。昼は22,000人近い人が働いているのに夜は300人代台と、実際に住んでいる人が圧倒的に少ない。でも、これでようやく〝まち〟らしくなってきたなと感じています。子供の姿もたくさん見かけるようになり、これから街全体でその子たちの成長を見守っていけるのも嬉しい。ビジネスと暮らしが混ざり合うこれからがますます楽しみです!」
屋号 | スペース七番 (運営:錦二丁目エリアマネジメント株式会社) |
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URL | HP:https://kissa7ban.com/space7ban.html |
住所 | 名古屋市中区錦二丁目7番7号 オリマチ錦2階 |
備考 | ・スペース七番施設詳細とレンタル料金表:こちら |