【鹿児島県鹿児島市】“あなたと世界の可能性を、みちひらく”呼び水でありたい / IKIRU design 中川詩織さん
インタビュー
鹿児島県鹿児島市で会社員として働きながら『IKIRU design』としても社内外問わず活動されている中川詩織さん。そんな中川さんから、現在の活動に至った経緯等を伺いました。
自分の良さを見つけ、活かすことから
大学では経営学を学ばれていた中川さん。
卒論では「個を活かす組織マネジメント」をテーマにされたといいます。
「個人の良さが最大限発揮されて、さらにそれが組織になったとき、それぞれの良さを掛け算しパフォーマンスできたらと思い、このテーマを選びました。」
「まずは自分の良さを見つけ活かすことから。それは周りに受け入れてもらえる体験から気づくかもしれない。お互いの良さを見つけて「一緒にやろうよ」と声を掛け合うようなことが組織やチームとして当たり前になれることが理想だなと今でも思っています。」
大学卒業後は、県内の企業へ就職。
そこでは人事に関する仕事に従事してきました。
入社し、数年経ったある時、中川さんにとって転機が訪れます。
「イノベーションと挑戦」
それが社内でスローガンとして打ち出されたのです。
胸の中で込み上げてくるものがあったのか、
数年勤務して感じたこと等を整理し、やりたいことを当時の社長へプレゼンされたそうです。
「社長は私のプレゼンをしっかり聞いてくださいました。一社員の声にも耳を傾けてもらえたという体験からは、意見を言ってみてもいいんだという気づきと感謝、そして、せっかく機会をいただいたのだから、しっかりと行動に繋げていきたい。そんな気持ちが生まれました。そこから「一歩踏み出す」を自分の中でスローガンとして掲げ、アクションしてみることにしたんです。」
「同じ年に、上海で研修があったのですが、会社の外へ一歩踏み出してみようという気持ちで参加し、様々な刺激を受けました。さらに研修仲間から誘われたイベントにも足を運んでみました。鹿児島で色々な想いで活動をされている人たちの存在を知り、感化されたんです。」
「その後、自分でも魅力的なイベントを開催できないかと奮闘し始めました。その中で、ファシリテーションと出会い、少しずつ学びと実践を繰り返していくことになります。」
もらったものを次へ
「私より先に、会社の先輩が社外で色々な場に顔を出していて、ある時プロファシリテーターの方を紹介してもらいました。」
その後、勉強会を企画。
先輩や興味がある同僚と一緒に学びを深めていきました。
次第に、実践の場をさらに広げていくことになります。
「始業前に皆から見えるオープンな場所でディスカッションをしたり、終業後には対話イベントを開催したりする中で、次第に社内の仲間も増えてきました。」
「ファシリテーションをもっと学びたい。そんな気持ちから、『鹿児島未来170人会議』(以下:未来会議)にスタッフとして参加することにしました。」
「役割はプレゼンターと参加者が対話を深めるためのファシリテーターとして。一緒に学び合っていた社内の仲間とともに受け入れてもらったんです。」
会社の仲間と社外で実践した初めての場。
メンバーはそれぞれテーマ毎のチームに配置され
プレゼンターや参加者と向き合っていきました。
「率直に想いを伝え合える。そんな信頼できる仲間が未来会議を通してできたと思います。職場でも、地域でもです。これってとっても素敵なことだと思いませんか?」
「本当、周りの人たちから色々いただいているなと感じています。だから私は、それを次の誰かに渡していくことが1つの役割だと思うようになりました。未来会議以降に携わらせていただいている場も同じ気持ちで臨んでいます。」
らしく生きる、らしさが活きる
中川さんは会社の副業解禁を機に、一人ひとりが自分の「生(活)きる」をデザインできる人を増やしたいという想いから、屋号を『IKIRU design』として活動の幅を広げています。
コンセプトの「らしく生きる、らしさが活きる」にはどんな想いが込められているのでしょうか。
「「らしく生きる」はその人の“好き”や“得意”がいきいきと発揮できる状態、「らしさが活きる」はそういった個性や他者との違いが誰かの関係性の間で、より活かされ合う状態のことだと考えています。」
「自分でも私“らしさ”についてまだ明確な答えが出ているわけではありません。でも、「なんだろう?」と考えることが大事なんだと思います。笑ったり泣いたり、怒ったりするいろいろな自分がいることに気づいていくことで、私自身、気持ちが楽になったし、逆に辛いことがあっても、素直に周りにSOSを出したり、自分でも気持ちを整理しながら前に進めることができ、生きやすくなりました。」
『IKIRU design』のサービスとして、1対1でセッションやキャリアコンサルティングといった傾聴や内面整理をするものもあります。
「会社で相談室をオープンして、モヤモヤしている同僚の話を1時間ぐらい聞く活動をしていました。人によって状況が違う中で、それを見立てて、その場に応じて対応できるのが楽しいと感じています。」
「一番根っこにある願いや意欲といった本質の部分に興味があります。ただ、その本質に辿り着くタイミングは人ぞれぞれです。その人の本質に辿り着けるきっかけ、もしくは、きっかけのきっかけみたいなところ。その先に、その人が「何かしてみよう」と思い「結果こうなった」状態を作っていきたいんです。」
「だから、私のパーパスは「あなたと世界の可能性を、みちひらく」にしています。一緒に考え、深掘りしていくことで何かに繋がっていく。私はそのための“呼び水”でありたい。一回スッと通せば、私の役割は終わりで、私と向き合うことで答えは見つからなくてもいい。その先はその人次第。そう思っています。」
持ち寄りパーティのように
中川さんが携わった場の1つに『鹿児島100人カイギ』(以下:100人カイギ)があります。
会社員も副業もこなす傍ら、社内外で出会った人たちの助けを借りて、2年以上にわたり開催。
プレゼンターも参加者も地域・年齢・職種を越えて
多くの人が参加し、たくさんの繋がりが生まれてきました。
「活動を通して意識しているのは、自分の可能な範囲でできることをやっていくことです。100人カイギも他の場も、持ち寄りパーティ的な場になれたらという想いがあります。」
「それは能力だけではなくて、やりたい気持ちや興味関心、タイミング等、様々かなと。これらに対応できる人が可能な範囲でできることをパーティのように持ち寄ることが当たり前になって、それが社会にも広がっていくといいですよね。」
「最近は空気清浄機のような存在でありたいと思うようになりました。おこがましいかもしれませんが、私がいるだけで空気が良くなるとか、偶然の出会いが生まれるとか。あと、仕事とプライベートを含めて、私の動きがモデルケースになれたら嬉しいなと思っていて。」
「会社員や公務員のほうが、仕事プラスアルファのことがとてもしやすいと思うんです。そうすることでお金ではない、経験や出会い、やりがいといったものを得ることができます。そして、それは勤務先や自分自身に絶対プラスになります。」
「得たものを活かすことで、それが会社の利益にもなるかもしれないし、社会にとって必要なものになってくるかもしれない。それがうまく循環していけば、純粋に日々が楽しくなるし、そんな人が一人でも増えれば、居心地の良い世界が広がっていくと思うんです。」
「私は社内外の仕事や活動を通して、それを肌で感じてきました。会社だけではない、関わり先・依存先を増やすことが自立に繋がる。そして、時代の変化にも対応できる。そう思えるようになりました。」
「私にできるのは、誰かの興味・関心・得意を活かせるきっかけを作っていくこと。その先に、社会課題や環境問題等に対して、一人ではなく、皆で向き合っていけるような社会に少しずつなっていけたらと思います。」
自分“らしさ”とは?
その問いと向き合い
答えが出ずに苦しんだ経験がある人も多いと思います。
“らしく”生き、“らしく”が活きる状態は
答えが出ずとも、向き合っている最中にも起きていて
そこから溢れる居心地の良さもあること。
そして
そこには必ず誰かだったり何かだったり
きっかけとなるものが存在すること。
中川さんとの対話を通して
目の前にある物事の本質に対する見方が
さらに深くなった気がしました。
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