real local 福井福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【地域情報】

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」

地域の連載

2022.10.02

福井のみなみの季節と養生は、福井の南に位置する敦賀でユニットを活動する養生デザインのお二人(青木さん、山中さん)と、reallocal福井ライター牛久保で、季節ごとの養生についておはなししていく連載です。
※養生…身体の状態を整えること

暑さ寒さも彼岸まで。いよいよ秋本番へ

9月23日に秋分(しゅうぶん)を迎えました。太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ等しくなる日。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉のとおり、今年も本当に暑かったですが、そろそろ過ごしやすくなるのではないでしょうか。
春分から半年。春に種をまいて大事に育ててきたものを収穫し、しっかりと蓄えていく時期に入ります。春分の頃から健康に注意しながら大切に養ってきた身体は、秋から冬の寒さの中でも健やかに過ごすチカラをしっかり保ってくれるはず。この調子で過ごしていきましょう。また、反対に、無理が重なってしまった方は、急に辛さが出てきたりする時期にもなります。それでも気づいた時が養生はじめのタイミング。今日からまた少しずつ身体をととのえていきましょう。

秋分からのおすすめの食べ物は「白い色の食べ物」

食欲の秋。おすすめの食材は、「白い色の食べ物」です。白ごま、白菜、豆腐、レンコン、白きくらげ、ユリ根、梨など。これらは乾いた身体に潤いを与えてくれる食材です。秋は乾燥し、喉からの風邪を引きやすかったり、肌の乾燥も気になる季節。蕁麻疹のお悩みもよくお聞きします。肺を大切にするとよい季節とも言われます。白い色の食べ物はその肺の働きを助けると言われていて、この時期の健康管理に重宝します。※去年はこの季節に若狭町岩屋の梨園を取材しました。こちらの記事もどうぞ。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」

スーパーを見渡してみると秋の旬の食材は白い食べ物が多いことに気づきます。最近は旬の食べ物を見分けることが難しくなってきましたが、スーパーの地場野菜コーナーでは比較的その地で採れる旬の野菜や果物が手に取りやすくなっています。この時期は特に、冬に向けて身体の抵抗力をあげるためにも旬の野菜をふんだんに取り入れてくださいね。ただし果物は身体を冷やすので常温のままで。できれば午前中に食べるなど身体を冷やさない工夫をしてください。舞茸をはじめ、しめじ、椎茸、ヒラタケなどのキノコ類もオススメですよ。

敦賀駅前から車で約5分!ラムサール条約登録の中池見湿地へ

今回は、秋分を迎え、ピクニックにおすすめの場所をお伝えしよう!ということで、敦賀市市街地から北東へ約2km、敦賀駅前から車で5分程に位置する中池見湿地(なかいけみしっち)を訪れました。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
フィールドマップで現在地とビジターセンターをチェック!今回は牛久保息子も取材に加わっています。

ウェブサイトやパンフレットなどで見たことはあったのですが、私(山中)は訪れるのが初めて。駐車場に着くと湿地の景色が広がると思っていたら…

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
遊歩道の山道の階段は小さいお子さんも楽しめます。一歩ずつしっかりすすめすすめ!

「あれ、登山?」が最初の印象。実は、ここにも中池見湿地の特徴があります。標高約45mの高所にある為、外部の環境変化の影響や人や社会の影響を受けずに生態系が育まれています。山道を約10分間歩くと、湿地全体が見渡せるビジターセンターに到着しました。青空に映える緑が目の前に広々と広がる景色は、街の喧騒から離れ、とても心地良いです。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
湿地の入口にあるビジターセンター。中池見湿地の概要や生き物の展示がされています。

自然との共存を肌で感じ楽しめる場所

ビジターセンターで館長の中村さんにお話を伺いました。
中池見湿地には約3,000種類の動植物が生息し、その中には環境省や福井県の指定する90種以上の絶滅危惧種が含まれているそう。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
中池見湿地の生き物の水槽もたくさん!

これほど多種多様に育まれているのは、その地形の成り立ちが関係しています。周囲三方を山に囲まれた袋状埋積谷(ふくろじょうまいせきこく)という地形で、元々あった谷川の流れがせき止められ水が溜まって広い平坦な谷が出来て湿地が広がったとのこと。さらにかつてはここで耕田も行われ、人の手が加わり水の流れが生まれたことで、里山の生き物たちが過ごしやすい環境になりました。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
ビジターセンター2階にはトンボなどの昆虫の標本がずらり!

また、国内屈指のトンボの生息地でもあり、チョウトンボやアキアカネなど70種以上が確認されています。春には黄色いサワオグルマが一面に咲き、季節により色とりどりな自然の表情を感じられる場所です。

四季折々の自然に溢れる中池見湿地ですが、今後の課題もあります。キーワードは「守る」。1つ目は、自然を守ること。豊かな生態系を保存していくためには看板や舗装路などの人工物を出来るだけ設置せず、現状を継続していくこと。2つ目は、訪れる人の安全を守ること。例えば、駐車場からの山道も自然の景観を大事にしながらも、訪れる方が少しでも安全に歩きやすくなる様に、また、道中の看板など中池見湿地に興味を持ってもらえる様にサインを工夫するなど、人の手が入ることも運営の継続には必要です。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
日本全国のラムサール条約湿地や、中池見湿地の成り立ちなども学べます。

折しも中池見湿地は、国際的に重要な内陸にある低湿地の1つとして、2012年7月にラムサール条約湿地に認定されてから、今年で10周年を迎えました。11月に開催される「敦賀環境フェア」をはじめ、記念のイベントが開催されます。敦賀市内にある豊かな里山の自然の宝庫である中池見湿地をまずは肌で感じてみてほしいです。

裏庭に登るような感じで楽しんで

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
気さくに沢山のことを教えてくださる中村館長です。

中池見湿地について教えてくださった中村館長に、時間帯別で楽しむポイントもお伺いしました。
朝夕はウォーキング。中池見の木道を歩くだけではなく、天筒山から金ヶ崎宮へと繋がる「中部北陸自然歩道」は戦国時代に度々戦場となった歴史と豊かな自然を楽しめる観光トレイルコースにもなっています。
そして、お昼に向けては家族でピクニックをするのがオススメ。お弁当を持って出かけると、秋には日本でしか繁殖が確認されていないノジコやノビタキなどたくさんの貴重な渡り鳥とも会えますよ。少し気をつけることは歩くことが出来る服装で行くこと。山道や坂道など自然道があるので、特に足元はサンダルではなく、安全に歩けるスニーカーやトレッキングシューズが良いですよ。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」
茅葺きの家の中ではボランティア団体の人たちによる稲の脱穀作業も行われていました。

中村館長からは、「まずは是非一度足を運んでいただき、身近にある素晴らしい自然を五感で味わい、動植物の鳴き声や薫りを風と共に感じていただきたい」と、お話いただきました。

中池見湿地に関するさらに詳しい情報は以下からどうぞ。

敦賀市ホームページ:中池見人と自然のふれあいの里

NPO法人中池見ねっと

自然を感じ歩くことから秋の動養生

秋の心地良さが日に日に感じられ、これからは歩くのにバッチリな時期です。中池見湿地を訪れる際もですが、歩く際のポイントをいくつかまとめました。
・平坦な道ではみぞおちは前を向けて視線も前方へ向ける
・腕は後ろへ大きめに振り、前へは力を抜く
・坂道を登る際には、太ももの後ろで押し出すイメージ
・坂道を降りる際には、下ばかり見ず膝で受け止める
そして、何よりこの時期に大切な呼吸として、口から息を吐き鼻から吸い込むことを少し意識すると、肺へたくさん空気が取り込まれます。
この秋は、豊かな自然を歩きながら、五感で感じる時間を楽しんでください。

福井のみなみの季節と養生 #15 秋分の巻「敦賀駅近くの中池見湿地でウォーキング!」