【愛知県碧南市】歴史あるまちに着物店がリニューアルオープン
お店の情報
愛知県碧南市をご存じでしょうか?ここには、京都のように寺社が立ち並ぶ大浜という町があります。歴史あるこの町の近くに創業75年の着物屋『池田屋』さんがリニューアルオープンしました。今回はこの大浜の町と共に池田屋さんについてご紹介します。
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歴史ある町『大浜』
名古屋市から電車にゆられ、約一時間半ほどで、たどり着く碧南駅。碧南駅から徒歩10分ほどに、神社や寺が点在するエリアがあります。
ここ大浜はかつて大濱町(おおはまちょう)と呼ばれたまち。大浜で採れた魚や塩を岡崎や豊田を介して信州に運ぶ重要な街道の起点でした。江戸時代には、この辺り一帯でしょう油や味噌、酒、みりんなどの醸造業や瓦業などの産業が発展し、これら醸造品や瓦を江戸へ船で運ぶ海運業が栄え、大濱町は、海・川・陸の街道の物流拠点として、三河一賑やかな湊町だったそうです。
今でも、徳川家康の幼名”竹千代”を命名した「称名寺」や樹齢300年以上の銀杏がある「本傳寺」など歴史あるお寺が数多く残っています。その他にも黒板塀の土蔵や屋敷、路地などの古いたたずまいが残っていて、風情ある美しい街並みを楽しむことができます。
大浜まちかどサロンでは、200円で寺町をめぐるスタンプラリーに参加することもできます。寺町の中には、ベーグル屋さん、魚の美味しい小料理店、お寺が運営するカフェもあります。お寺巡りをしながら、ブラブラお店探検をするのも楽しいです。
創業75年の着物店
この大浜近く、碧南駅から徒歩1分のところに、創業75年の着物店『池田屋』さんがリニューアルオープンしました。成人式の振袖を中心に、七五三の着物、卒業式の着物や袴、訪問着などハレの日の着物のレンタル・販売を行われています。その他にも、ブラックフォーマルや真珠、レディースファッション、 小物まで幅広い商品を取り扱っておられます。
もともと百貨店で婦人服売り場を担当していた池田佳子さんが店長として接客も担当され、成人式の振袖は、250着ものの中から、ご要望にあったものを選んでくださいます。
「ご本人の雰囲気にあったものを一つ一つ顔に充てて選んでいくのですが、着物を返却するために来店してくださった際に、『成人式本当に楽しかったです。』『着物で楽しい時間を過ごせました。』とお客様が喜んだ顔で言ってくださるのが何より嬉しい。」
と店長の池田さんは言います。
着物のレンタルというと、既に作ってあるものをレンタルすることが多いのですが、池田屋さんは、オーダーレンタルも対応してくださいます。オーダーレンタルとは自分の身丈で仕立ててもらえて、自分が最初に袖を通すことができるというので、最近は人気のようです。もちろん購入もできますが、レンタルであっても仕立て屋さんが自分にぴったりのサイズに合わせてくれます。着物屋とレンタル屋の大きな違いはここにあるのだと言います。
着物屋としてこれから
着物屋というと、高額なイメージがあり、どうしても敷居が高くなります。建物をリニューアルする際に特に意識したのは、『お客様が入りやすいように。入りたいと思える場所に。』だったそうです。店内の様子が外からも伺えるよう、道路に面した側面には大きな窓を付け、着物のディスプレイスペースを設けました。また、店内は開放的な雰囲気に仕上げています。
ふらっと立ち寄れる気軽なお店になれればと、今後は小物やアロマなど手に取りやすいものも扱っていきたいのだとか。また、地域へ何か還元したいという想いから福祉事業にも興味を持たれていて、地元の養護施設の方が成人の際には着物を無料でレンタルすることも始めているそうです。
ここ周辺は着物屋が多いのですが、この地で最後の一店舗になるまでやりなさいというのが、先祖代々受け継がれている言葉だそうです。時代は変わり、状況は変化しますが、地元密着のお店として、地域の方に喜ばれることを提供していきたいと池田さんは語ります。歴史ある大浜のまちで、着物文化を継承する池田屋さん。地域に愛されるお店として今後どんな展開があるのか、とても楽しみです。