【鹿児島県阿久根市】主体性があるところに道は拓く。少しずつ、少しずつ。 / 株式会社海連 永井漸さん
インタビュー
鹿児島県阿久根市や薩摩川内市にてサツマイモの加工や商品開発に取り組んでいる『株式会社海連』(以下:海連)。そこで専務取締役として従事されている永井漸さんから会社を運営されている中で日々大切にされていること等のお話を伺いました。
自分で考え、動く
ご実家の家業が貿易関連だったため、中国の文化に触れることが多かった永井さん。
次第に、中国語を学ぶことが将来に繋がると感じ、高校時代は中国へ留学する決意をしました。
「両親から留学を勧められたことがきっかけでした。周りの友人からは「どうして中国行くの?」「中国語を話せて何になるの?」と言われました。それでも、私の心は揺るぎませんでした。」
その後、中国の学校で3年間過ごし、進路選択の時期になります。
留学先の同級生がそのまま中国の大学への進学を選択する中、永井さんは違う道を選択しました。
「最初は私も周りと同じ選択をしようと考えていました。でも、3年間過ごしているうちに、中国だけでなくもっと違う文化にも触れてみたいと思い、イギリスの大学へ進学することにしたんです。サッカー好きということもありましたけどね。」
「両親を納得させるために、イギリス行きについて自分の想いをプレゼンしないといけませんでした。昔から「自分で考えて動きなさい」と両親に言われて育ってきました。それは将来家業を継がせるためではなく、一人の人間として社会を生きて行くために、私のことを想ってくれたからこその言葉だと思います。」
ご両親へのプレゼンはうまくいき、イギリスの大学へ。
そこでは英語とビジネスを学び、卒業後は日本の企業に就職することになります。
言葉だけではなく行動も
就職先は京都の企業へ。
将来的に鹿児島へ戻る可能性は頭にありましたが、まずは外の世界で働いてみたい気持ちが強かったといいます。
結婚し、子供が生まれ、家族が増えたため、人生のプランを組み直す必要があると感じました。そして、転職を決意したのです。選んだ仕事は、まずは派遣社員からのスタートでした。
「その会社で驚いたのは休みを取りやすい環境だったことです。上司の理解があったことも大きかったと思いますが、誰かひとりが休んでもほかのメンバーがそれを補填できるような準備や仕組みが整えられていれば仕事は回るのだ、という考え方が部署全体にありました。家族と過ごす時間が増えたので、「ずっとこの会社で働きたい」と思えました。」
「次第に「派遣」ではなくきちんとその会社に所属したい、と考えるようになりました。会社を、その文化を好きになったのです。そのために自分なりにできることの実践を続けていきました。そんな風にアピールし、「この人がいないと困る」と認めてもらわなければ、と思ったのです。」
「当時自分が置かれていた状況で最大限に力を発揮しました。そして地道な積み重ねが認められ、ついに社員になることができました。言葉だけではなく、行動で周りを納得させることに成功したのです。」
従業員の立場で会社をみる
5年前、永井さんは鹿児島へUターンし、家業でもある『株式会社海連』の専務取締役として日々動かれています。
「家業がさらに面白い展開を始め、両親が現役時代のうちに一緒に働いてみたいと感じたので鹿児島へ戻ってきました。その時も、両親に今まで学び経験してきたことを活かして会社にどのように貢献できるかプレゼンをしました。」
「前の会社での最大の学びは「従業員の立場で会社をみる」ことです。いち社員だったからこそ、会社がどのようにみえるものかを知りました。それは、大学卒業後に、いきなり鹿児島へ戻って家業で仕事をしていたら気づかなかったことだと思っています。」
「「従業員に対してどのように接すればいいのか?」「従業員がどのように思っているのか?考えているのか?」といった気持ちの部分は非常に勉強になりましたし、その感覚を忘れてはいけないと思いました。」
そこで3年前から年に1〜2回程、従業員と対話をする時間を作っているそうです。
基本1対1で、永井さんが聞く側となり、雑談や仕事の話等、特にテーマを設けることなく何でも話す時間にしています。
“少しずつ”良くなっていく
「この会社で働けて嬉しい」「この部分を改善してほしい」等、日常会話も含め、従業員との対話を通して、“少しずつ”気持ちが通じ合えてきたといいます。
対話がきっかけとなり、シフトの考慮や作業時の負担軽減等、すぐに対応できることは行動に移してきました。
「今は改善をメインとした声が多いので、もちろん厳しい声もあります。それでも、信頼関係が少しずつ築けてきているので、挑戦に対する声もこれから出てくると肌で感じています。」
「従業員が自発的に自分の想いを声に上げそれを実践し、それが地域や社会の役に立っていると実感できたら、自分たちの会社をもっと好きになれると思うんです。」
「対話もそうですが、新しいことを託すことに対しても“少しずつ”を意識して接しています。いきなり、全部求めてしまうと従業員にとって負担になってしまう。それなら対話と同じように“少しずつ”託し、そのうち全体を理解してもらえたらと思っています。」
「私の名前である「漸」は“少しずつ”良くなっていくといった意味があります。だからか、私は一気に物事をこなすのが苦手でして…。でも、それは良い意味だと捉えています。例えば、勢いがある従業員がいたら、状況に応じてブレーキ役になったりとか。」
「振り返れば、私は1つ1つの壁をクリアするために自分自身と向き合い、それを言葉にし相手に伝え、実際に行動することを繰り返してきました。それはこれからも変わらないと思います。それで“少しずつ”でも社員一人一人が働きやすい環境になり、会社としても成長できたら嬉しいですよね。」
自身と向き合い
それを明確化し相手に伝え
行動に移すことは
非常にエネルギーがいることです。
それでも
少しずつ前へ進み続ける永井さんの姿から
どんなに時代が変わっても
何かを成し遂げていく上で
そのスタンスは必要不可欠であることを改めて教えていただいた気がしました。
屋号 | 株式会社海連 |
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URL | |
住所 | 鹿児島県阿久根市赤瀬川1886番地9 |
備考 | ●海蓮が運営する『そうめん流し大野庵』 毎年7〜9月にかけて営業 ・SNS ●自社製品を販売するオンラインストアも開設中 |