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長期持続可能な島を目指して

酒井建築設計事務所/Shall We Design 酒井一徳さん

長期持続可能な島を目指して
奄美大島の美しい海で夕日を眺める酒井さん。こんな日常が羨ましい

卒業と共に進路を考える若者や、これからこの島(奄美大島)へU/Iターンを考えている移住希望者が、ここでの生活を断念してしまう要因の一つ、「アトラクティブな仕事がない」という現実。
建築とデザインの2本を柱にサステナブル(長期持続可能)な島暮らしを実現するため活動する建築家、酒井一徳さんが生まれ育った奄美大島へUターンしたのは2011年の事。
生まれも育ちも奄美大島の酒井さんは高校を卒業後、海外の大学院で建築を学ぶ。世界各地を建築プロジェクトや建築放浪の旅で巡るなど、グローバルに視野を広げた経験が、故郷へ戻った酒井さん自身に大きな課題を与える。

島に戻った当初、「刺激がなくてつまらなかった。共に切磋琢磨出来る仲間が居ない」と強く感じた酒井さんは、また島を離れることを考えたそうだ。そんな酒井さんの意識を変えたのが、「街プロジェクト」という商店街を中心とした異業種の経営者で構成された団体だった。小さな島の商店街が一丸となって街を盛り上げる底力を見て、「僕はまだここで何もしてない、出来ていないと思った。」と当時を振り返る。

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初めて参加した街づくりイベント「アマコン」は大盛況

自分と同じ様に、島を出た若者や、移住を考える人たちが実際にこの島を訪れてもやりたい仕事や刺激が無ければ持続しない。いずれまた島を出て行ってしまう。
「それならワクワクするような仕事を創りだそう。建築とデザインを通して、島でもチャレンジすることは出来る、楽しく暮らす事は出来るという実例を創ろう思った」と話してくれた。

酒井さんは、高温多湿で台風の多い奄美大島において、文化・気候・風土を理解し、環境負荷を抑えることで、「自然と調和した建築つくり」に努めている。この島でしか出来ない建築、この島だから出来る建築、しっかり地に根付き、地域の人々に長く愛される建築を目指す事が酒井さん自身の大きな刺激となった。建築を通して自らが、まずこの島でサステナブルに暮らす楽しみを見つけたのだ。

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酒井さんが設計した建築「平松の家」/ photo 石井紀久さん
左:建物をライトアップすることで、街灯の無かった集落の周辺環境に光を灯した。「道が明るくなった」と地域住民も喜んでくれた
右:徹底した日射計算により、冬は早朝からリビング全体に明るい日差しが入り室内は温められ、逆に夏は日差しを避け涼しく過ごせる。南の島奄美でもエアコンに頼らず快適に暮らせるエコな空間を実現した

次に「もっともっと楽しく仕事が出来る環境を創り、楽しく暮らせる島にしたい。島中には才能がある人が沢山いるのにコミュニティーがないためそれを発揮する場所が無い」と考えた酒井さんは2012年5月、地元の人々と共に、奄美群島の未来を真剣に考え、協働できる仕組みそのものもデザインしていくクリエイター集団「Shall We Design」を立ち上げる。

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メンバーはそれぞれ仕事を持っているので集まるのはいつも深夜

立ち上げ当初はわずか3名のメンバーだったが、現在は活動に共感してくれる仲間が増え、東京・鹿児島・沖永良部島に至るまで、建築家・写真家・イレストレーター・グラフィックデザイナー・コピーライター・アパレルデザイナーなど、様々な職種の、平均年齢30代前半の総勢14名の若いメンバーで構成されている。スタート時は任意団体だったが、2014年4月より一般社団法人として新たにスタートした。

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新たなスタートを迎えたメンバーはみんないい笑顔!(※写真は一部のメンバーです)

1、奄美大島でデザインが仕事として成立する環境をつくる
2、奄美の創作家らのコミュニケーションの輪を広げる
3、若い創作家らが島にU・Iターンしやすい環境をつくる
4、住民にデザインしていくことの楽しさや重要さを再認識してもらう。
を軸に、パッケージ等のデザインやプロデュース、異業種と協働できる仕組み等を行っている

僕らは地元の人々とのコミュニケーションを一番に大切にしながら共にデザインを考えて行きたい。

だから 「Shall We Design」~一緒にデザインしよう~。」

酒井さんらShall We Designが手がけた最初の商品はサーターアンダギー専門店「あんだぎや」さんの、奄美大島アンダギー。あんだぎやさんはご家族でお店を営んでいる為、時間と手間を取られることのないよう、かぶせるだけで簡単に梱包出来る「卵型パッケージ」を採用。何度も足を運び生産者の手間暇を配慮できたのも、地元(奄美大島)で活動しているからこそ。「現場を見て知ること」が出来たからだろう。

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食べやすい一口サイズのアンダギー。種類もプレーン・黒糖・抹茶・チョコなど沢山あって楽しめる

パッケージデザインの、andとagiをあえて離して配置したのには「&で繋ぐ」という重要な想いが込められているそうだ。&マークは「人」をモチーフにデザインされ「人が繋げる」という願いと共に、コロコロと転がるあんだぎーが、また人を繋げる。
アンダギーを島んちゅのみならず、沢山の人達の間で島のスイーツとして、「人と人」「ココロとココロ」を繋げるスイーツとして親しまれて欲しい。というコンセプトで構成された。手に取ってもらえるデザインにすることで、島外にお土産として持ち帰って貰いたい。パッケージを可愛らしくデザインすることで、今までは島内だけのおやつであった商品を島外へ、人の手から手へ贈られることで、島で頑張る生産者のPRとなり、それが奄美全体のPRにも繋がると酒井さんは考える。

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奄美のハチミツ 「ハチミーツ奄美」もデザイン。200g入りは、1500円(税込み)。/120g入りは、1000円(税込み
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他にも「宇検村集落」のフリーペーパーをデザイン・エリアPRを行ったりと幅広く活動している

今後も、建築や仕組み作りのデザインを軸に、「次世代の若者たちが僕らの活動を見て、自発的に起業していく島、チャレンジできる島を目指したい。単発ではなく継続して続ける事、地域に根付いていくことが何よりも重要」と語る酒井さんは、首都圏や地方都市だけではなく、離島でもアクティブに働ける事をみんなに伝える伝道者となるだろう。

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これからの活躍も目を離すことが出来ない、この島の重要なキーマンだ。

URL

酒井建築事務所
http://www.archsakai.com/

一般社団法人 Shall We Design
https://www.facebook.com/pages/一般社団法人-Shall-we-Design/255632021308158?

住所

酒井建築事務所
鹿児島県奄美市名瀬港町12-1

一般社団法人 Shall We Design
鹿児島県奄美市名瀬入舟町4−5
第一里見ビル2F

屋号

酒井建築設計事務所
一般社団法人 Shall We Design代表理事

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