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【山形/連載】穏やかな休日のための音楽22

地域の連載

2022.10.29

「穏やかな休日のための音楽」では、毎回山形に縁のある南米のアーティストとそのアルバムを紹介しています。

ウーゴ・ファトルーソ(Hugo Fattoruso:1943年―)はウルグアイを代表する巨匠(作曲家/編曲家/鍵盤奏者/歌手)で、もはや生きる伝説と言っても過言ではない偉大なアーティストです。

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ウーゴは若くして音楽家としての活動を始めました。1956年、父アントニオが二人の息子(ウーゴとオズヴァルド)と結成したトリオ・ファトルーソがその原点です。1960年台になると、ウルグアイにもBeatlesなどロックの波が押し寄せ、ウーゴも弟オズヴァルドと共に「Los Shakers」を結成。ラテンアメリカで大人気を博しましたが、レコード会社との音楽性の隔たりで解散。兄弟でニューヨークに渡り、ラテン・ジャズ/フュージョンを中心にウルグアイ独自のリズム「カンドンベ」の要素を加えたグループ「OPA」を結成。当時米国で活動していたパーカッショニスト、アイアート・モレイラに見出され名盤 “Fingers”  に参加します。

アイアート・モレイラの “Fingers” から“Tombo in 7/4”。2分18秒あたりから聴いていただくと「あれか!」とわかる曲です。

その後OPAは活動を終え、ウーゴはロサンゼルスに拠点を移します。そこでブラジル音楽の重鎮ミルトン・ナシメントとの共演の機会を得ます。80年代にはリオデジャネイロに移住し、シコ・ブアルキ、トニーニョ・オルタ、ジョイス、ジャヴァン、エルメート・パスコアル、フローラ・プリムなど多くのブラジル人アーティストの録音やツアーに参加します。この結果ブラジル音楽ファンにとって、最も偉大なウルグアイ人アーティストとして尊敬を集めています。

ちなみに私もウーゴの大ファンで、以前は彼に関するブログを作っていたぐらいです(現在は休止中)。その後もウルグアイを中心に現役で活躍しているウーゴですが、山形には、日本の誇るパーカッショニスト、ヤヒロトモヒロさんとの「Dos Orientales」として2009年と2013年の2度来ていただき、圧巻の公演を披露していただきました。ツアーの日程が非常にタイトで、残念ながらあまり山形を楽しんでいただけませんでしたが。

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山形公演のフライヤー

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さて、今回はそのウーゴ・ファトルーソのアルバムを2作紹介します。
まずはウーゴと弟オズヴァルド、そして3人のパーカッションによる「Rey Tambor」の2007年のアルバム「Emotivo」。アフリカ由来のウルグアイのリズム、「カンドンベ」をベースにしたグルーヴのあるサウンド。プリミティブな迫力を持つカンドンベを、極めてcoolな音楽に仕上げています。

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動画で見ていただくとさらに迫力が。

そしてもう一枚は、2002年の「O Último Blues」。本作は当時のウーゴにとって初めてのピアノ・ソロによるアルバムです。数多くのピアノ・ソロの作品のある中で、これ以上美しい作品はほとんどないと個人的には思っています。ウーゴの繊細なタッチがこの上なく素晴らしい、情感が真っ直ぐに伝わってくる詩的な作品です。

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音楽の方向性は違いますが、どちらも素晴らしいアルバムです。穏やかな秋の休日に聴いてみてください。ちなみに現在「Dos Orientales」として日本ツアーが行われています。お近くの方はぜひ。