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【鹿児島市】東京から鹿児島へ。仕事も育児も全力で楽しむ/グラフィックデザイナー 中野由貴さん

インタビュー

2022.12.10

2018年秋、東京から鹿児島へUターンしたグラフィックデザイナーの中野由貴さん。今年の夏、鹿児島市郡元に自宅兼事務所を構え、鹿児島・東京のお仕事を中心に活動されています。今回は、そんな中野さんの事務所にお邪魔してお話を伺いました。

【鹿児島市】東京から鹿児島へ。仕事も育児も全力で楽しむ/グラフィックデザイナー 中野由貴さん

デザイナーを志すまで

幼い頃から絵を描いたり、ものを作ることが好きだった中野さん。そんな中野さんが「作ること」を本格的に意識し始めたのは高校に入学してすぐのときでした。

「当時は、デザイナーになりたいと思っていたわけではありませんでした。でも、将来は何かしらの“モノづくりに関わる仕事”に就きたいと思っています。そんなときに美術の先生を訪ねたんです。」

「進路相談をしたら、先生がいつでも美術室に遊びに来なさいと言ってくれて、そこから美術室に通うようになりました。」

そうして美術室に足を運ぶようになった中野さんは、ある同級生と出会います。

「美術室に通うようになったときに出会った同級生が、美術やクリエイティブに関わる仕事に詳しくて。デザイナーという仕事も、彼から教えてもらって興味を持ち始めました。」

こうして、デザイナーという仕事に関心を持ち始めた中野さんは、高校卒業後に東京にある桑沢デザイン研究所へ進学しました。

 

新しい鹿児島との出会い

上京後は、学校で様々なデザインを学んだのち、グラフィックデザイナーとして東京の制作会社に就職。いくつかの会社を転々とするうちに、尊敬するアートディレクターに従事しながら、せわしなくも充実した日々を送ります。そんな中野さんがUターンを考えるようになったのは30歳を目前にした頃でした。

「もともと、20代は経験を積んで、30歳になったら自分のキャリアを見直そうと思っていました。そんなときに鹿児島のあるイベントを先輩から紹介してもらって。そのイベントに衝撃を受けて鹿児島へのUターンを考えるようになりました。」

中野さんが衝撃を受けたイベント。それは鹿児島県川辺市で行われている「good neighbors jamboree」という音楽フェスでした。

 

【good neighbors jamboree】

鹿児島県南九州市の森の中の廃校で行われるイベント。2022年で13回目の開催となる。県内外から様々なジャンルのアーティストを招待しており、音楽やアート、フードを楽しむことができる。

GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2022

 

当時鹿児島で、県内外のアーティストを招いて音楽やアートを楽しむイベントは多くはありませんでした。実際にイベントに参加した中野さんは「鹿児島でこんなことをしているイベントがあるんだ!」と衝撃を受けたといいます。そして、そんな中野さんにさらに転機が訪れました。

 

予想外の移住体験

【鹿児島市】東京から鹿児島へ。仕事も育児も全力で楽しむ/グラフィックデザイナー 中野由貴さん

「good neighbors jamboreeに参加し、鹿児島への移住を少し考えていた頃、南薩トライアルステイというイベントの説明会が東京でありました。そこに登壇する方がgood neighbors jamboreeの主催者の方だったんです。その方とお話してみたいという思いで説明会に参加しました。」

 

【南薩トライアルステイ】

南九州市主催の移住促進プロジェクト。参加者が南九州市の古民家を借りて、農業体験などをしながら、ローカルでの暮らしやキャリアを考えるプロジェクト。(2016年のイベント。現在は終了)

「南薩トライアルステイ」二次募集開始!(鹿児島R不動産)

 

最初はその方の話を聞くつもりで行ったものの、説明会に行くと、あれよあれよという間にプログラムに参加することが決定し、約10日間、南薩の古民家で過ごすことに。仲間と鹿児島での生活を楽しむ中で、中野さんはある気づきを得ます。

「南薩で生活する中で、私はWi-Fiさえあればどこでも仕事ができるなって気づいたんです。そこから色んな人との繋がりもできたし、鹿児島のお仕事もいただけるようになりました。自分の中では大きなターニングポイントだったと思います。」

南薩トライアルステイの後も様々なイベントに積極的に参加し、ここでも人との繋がりができた中野さん。しかし、金銭面や仕事面で現実的な問題もあり、なかなか移住を決断することができませんでした。ですが、そんな中野さんが移住を決断する出来事が起こります。

「東京と鹿児島では仕事の相場が違うので、そこが少しネックでした。なので、2拠点生活でバランス良く過ごすのもいいなと思っていたんです。でも鹿児島に住んでいないことを理由にできなかった鹿児島の案件があって。すごく悔しかったけど、それ機に鹿児島に拠点を移そうと決断しました。」

こうして2018年10月、中野さんは鹿児島へUターンしました。

 

鹿児島での暮らしと展望

【鹿児島市】東京から鹿児島へ。仕事も育児も全力で楽しむ/グラフィックデザイナー 中野由貴さん

Uターンしてしばらくは、賃貸のお家で暮らしながら仕事をしていた中野さん。ですが、お子さんができたことをきっかけに物件を探していたところ、このビルを見つけたのだそうです。

「当たり前ですが、初めはビルを買うつもりは全くありませんでした。(笑)

でも、このビルを見つけたときにすごくいいなと思ったんです。持ち主のご夫婦もいい方でしたし、立地や金額などの条件も良かったので割とすぐに購入を決めました。」

そしてフルリノベーションをしたのち、自宅兼事務所としてTATEBA BLDG.をオープン。現在は2歳の息子さんを育てながら、デザインのお仕事をされています。

「自宅兼事務所だと自分のリズムで生活できるし、人も呼びやすいのですごく暮らしやすいです。自宅から事務所まで徒歩0分なのは本当にいいですね。(笑)」

「鹿児島は東京と比べてクリエイティブやアートに触れられる場が少ないと思います。これからはここを学生や若い子たちがいろんなものに触れられるような場にしたいし、そういう鹿児島にしていきたいです。このビルを表現や交流の場として利用してもらえると嬉しいです。」

とにこやかに語る中野さん。仕事も育児も全力で楽しみながら鹿児島の未来を思い描く彼女からは、力強いパワーと包み込まれるような温かさを感じました。

私たちの生活とは切っても切り離せない「デザイン」。

新しいものができては消えていく現代で、人の心や社会に残り続けるものを作るのは難しいのかもしれません。

ですが、そんな社会の中でも心を打つもの、そして心に残り続けるものは必ずあると今回の取材を通して感じました。

これからの中野さんのご活躍を1人のファンとして楽しみにしています。

屋号

MACARONI DESIGN STUDIO

URL

TATEBA BLDG.

中野由貴さんinstagram

住所

鹿児島県鹿児島市郡元2-16-33