【鹿児島県南九州市】味と共にトウモロコシの可能性が広がる“かつおコーン” / Sweet×Sweet 瀬川祐星さん
インタビュー
鹿児島県南九州市頴娃(えい)町にてトウモロコシ農家として生産から加工まで一貫されている瀬川祐星さん(以下:祐星さん)。商品開発された中でも特に人気なのが『かつおコーン』です。かつおコーンが開発された背景や商品開発を通して感じられたこと等を伺いました。
甘くて香ばしいトウモロコシ
社会人になり県外で就職後、実家の茶業を継ぐためにUターンした祐星さん。
世の中の変化や家業の現状から「自分はこのままでいいのだろうか?」と疑問に感じていたそうです。
そんな時、他の作物について調べていると、ふと目に留まったのがトウモコロシでした。
「お茶の世界しか知らなかった僕にとって、特にトウモロコシが面白いと思ったんです。そこから少しずつ茶業からシフトしていき、トウモロコシ農家として独立することにしました。」
「独立するにあたって、1年間農大で学び、さらに県内の生産者の元で修行もしました。それが26歳の時でした。」
トウモロコシの他にもカラフル人参やカブといった野菜も栽培し、できることの幅が増え、加工品の開発も視野に入れるようになってきました。
頴娃は質の良い鶏糞が手に入りやすい地域といわれています。
祐星さんは栄養価の豊富な鶏糞を元肥に着目し、減農薬栽培に取り組んでいるのです。
また、作物が必要とする微量要素にも注目されているんだとか。
例えば、作付けのタイミングや株間を考慮しながら栽培されており、そこから祐星さんの農業に対する研究熱心な姿勢が伝わってきます。
そんなこだわりのある畑からできるトウモロコシは甘くて香ばしいものになるのです。
どの世代からも愛される、かつおコーン
祐星さんが最初に商品開発を行い誕生したのが『焙煎とうもろこし』でした。
収穫後すぐに焙煎・乾燥させるので、トウモロコシの甘みと香りが凝縮されている商品です。
そこから手応えを感じ、さらに新しい商品開発へと乗り出します。
「栽培したトウモロコシと周辺地域の材料を掛け合わせて何かできないかと試行錯誤しました。」
「例えば、枕崎なら鰹節を、坊津なら塩を、という形で組み合わせていきました。」
「添加物を使わないことも意識していたので、その条件下でどれだけ美味しい商品を提供できるか。そこが非常に難しかったです。」
試行錯誤の末、のちに人気商品となる『かつおコーン』が誕生しました。
今では子ども世代から高齢者世代まで愛されている商品となっています。
「焼酎やビールに合うのでおつまみにもなりますし、おやつにも適しています。噛めば噛むほど出汁の香りが広がるので、日本人が好きな味に仕上がっていると思います。」
「催事で販売をしていると「これ、何ですか?」と聞かれることが多くて。不安そうな表情で試食された方が「美味しい!」と笑顔に変わった瞬間、とても嬉しい気持ちになります。」
「パッケージデザインのキャラクターは僕が何となく書いたものです。信頼するデザイナーさんに見せると「これが一番いいよ」とおっしゃってくださって、そのまま採用することにしました(笑)。」
ご縁で広がるトウモロコシの可能性
かつおコーンをきっかけに頴娃以外のエリアのお店や異業種の人とのご縁が広がっていったといいます。
「友人が行商をしていて県外で販売してくれています。他にもかつおコーンを愛してくれる方が宣伝してくださるおかげもあり、普段農家として生活していたら繋がらないエリアの方から取り扱いの相談があったりしました。」
「知らないところで、商品や僕たちのことを知ってもらえるのは不思議な感覚になります。」
「買ってくださった方や取り扱ってくださっている方がご縁をリレーで繋いでくれている気がして、感謝しかありません。」
「最近は『黒糖きなコーン』の販売にも力を入れています。奄美産の黒糖を使っていて、緑茶と合うんです。お茶の問屋さんから「これ、いいね」と嬉しい声をいただきました。」
「そこから「新茶の時期に、新茶と合わせて黒糖きなコーンを販売したい」とお茶屋さんからお話をいただきまして。茶業からは離れたけど、お茶のお供をつくることが自分たちの役割なんだと思いました。」
様々な形でトウモロコシの可能性を広げてきた祐星さん。
今後の取り組みについても力強く話されました。
「今まで捨てることしか選択肢がなかったトウモロコシの芯を商品化できないかなと考えていまして。例えば、コーンドールやクッションの粉にするとか。」
「僕たちや頴娃のことを応援してくださる皆さんの気持ちがあるからこそ様々なことに挑戦できていると感じています。アイデアを伝えると皆さん喜んで話を聞いてくれるんです。」
「夫婦でそれぞれの仕事の合間に製造をこなしているので大量生産はできません。でも、1つ1つの関係性を大切にしているからこそ、口に入った瞬間の鰹節の味と同じようにジワジワとご縁も可能性も広がってきたんだと思います。この感覚をずっと忘れないように今後も商品をつくり続けていきたいです。」
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