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TOP » 鹿児島 » インタビュー » 【鹿児島県 湧水町】絶景を前にいただくイタリア料理/赤坂勲さん

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澄んだ空気と、緑溢れる美しい自然の中にひっそりと佇むイタリアンレストラン。窓から見える景色は、まるで田舎のヨーロッパのよう。絶景を前にいただくイタリア料理が絶品である。

今回は、湧水町にあるイサオクチーナのシェフ赤坂勲さんにお話をうかがった。コック服がとてもお似合いで、奥様の高子さんと夫婦二人三脚でお店を営んでいる。

先日、イサオクチーナは10周年を記念して、大隅にあるユクサおおすみ海の学校で「イサオ・マーレ」という期間限定レストランを開き、シチリアの海料理を振る舞った。右手には桜島、左手には開聞岳、目の前いっぱいに広がる錦江湾にゆっくりと沈んでいく夕日を前に、食事とワインを楽しむ方で溢れたという。

10周年という節目に、多くの人がお祝いに集まったのではないだろうか。そんな、赤坂さんのこれまでのシェフの道について迫っていく。

喫茶店が好き

子供の頃から喫茶店が好きで、珈琲を淹れてお店をできたらなと思っていた赤坂さん。ずっと心に秘めていた夢を叶えるためにサラリーマンを辞めて、喫茶店でお仕事をするようになる。

そこで、学んでいくうちに「どうせ飛び込むのなら、本場に行ってしまおう」と、いうことでヨーロッパに行くことを決めたのだ。

20代半ばで飛び込んだため、師匠はほとんどが年下だったそう。「だからこそ、逆に頑張れたのかな〜」とお話する赤坂さんの目は充実感に溢れていた。

美味しいお店は、田舎にあるものなんだよ

ヨーロッパでの修行を終え、赤坂さんは東京へ向かった。ヨーロッパでの経験を元に東京で念願の自分のお店を構えたのだ。そしてあっという間に月日が流れ20年。赤坂さんは、フランスやヨーロッパの田舎にあるような、絶景を前に食事をして、宿泊もできる。そんな場所を作ってみたいと思っていたそうだ。

東京でお店をしていて、たまに実家である湧水町に帰省すると、この自然豊かな場所でイタリアやフランスで見た景色を表現できないかと思った。

『絶景を前にご飯食べて、それだけで幸せ。絶景で涙がポロッと落ちてしまうような景色がごろごろ広がっている。」

そんな場所を表現するために、傾いてしまってずっと空き家だった実家を、2ヶ月に1回は訪れ、『この針はヨーロッパの雰囲気だな〜』と、あえて残し、テラコッタを貼り、漆喰を塗り、約3年間かけてご自身でリノベーションをされた。

元々器用だったという赤坂さんは、美術の道に進んでみたいと思うこともあったそう。まさかご自身で初めてリノベーションされたとは思えないほどの素敵な店内だ。

さらに、竹や木が生えていたところを切って、お店の窓から見える広い緑の芝生にし、山羊を放牧させたことで、あの頃の穏やかな景色を表現している。

鹿児島に帰ってきて3ヶ月。ヨーロッパと東京での経験で培われたレシピと、まるであの頃のフランスにいるかのような雰囲気を感じさせるお店をオープン。

どんなレストランなんだろうと、鹿児島市や宮崎県、いろんな場所から遊びに来てくれる。また、レストラン以外にも月に1度、イタリアの州ごとの郷土料理教室を行っている。

多くの受講者が、遠方から来てくださることが多いようだ。

湧水町の美味しい食材

朝日と共に起き、ランチタイムの営業、夕方は草刈りをして、⺠泊の近くにある畑で野菜 のお手入れをされている。

なんと、「イサオクチーナ」の料理は、湧水町の食材をたっぷり使っているのだ。

赤坂さんが作られた野菜メインに、必要な野菜は地元農家さんから調達している。今年は、キャベツが豊作だ。近所のキャベツづくりの師匠であるおばあちゃんに教わり、200玉見事に育ったという。イサオクチーナの野菜は、ひとつひとつが甘くて食材を活かした味付けになっており絶品だ。

また、チーズは酪農家の友人にお願いをしている。このチーズも濃厚でとっても美味しい。

赤坂さんの料理の美味しさの秘訣は、これまでのご経験の技術はもちろんだが、『料理好き・農業好き・動物好き』という3つが揃っているからだ。

お話を聞いていると、飼っている鴨に餌をあげる時に、
「『自分の周りを3回、まわらないと餌をあげないよ〜』と言うと、本当にくるくる回るんだよ。すっごく可愛いよー。」

「山羊も、わんちゃんみたいに懐いてくれている子もいるんだよ〜」と、本当に動物が好きだということが伝わってきた。
その愛情が、料理にも表れているのではないだろうか。

そして、パンは奥様の高子さんが作ってらっしゃる。胡麻がついているパンは、シチリアの「マファルダ」 クラッカーのような細⻑い棒状のパンは「グリッシーニ」 他にもハーブが練り込まれたパンなど、どのパンも絶品。

シチリアで出張レストランをしてみたい

そんなご夫婦で営む「イサオクチーナ」だが、友人がいるシチリアで出張レストランをやってみたいという夢があるそうだ。地中海に浮かぶシチリア島は、イタリア映画で舞台になったところがたくさんあり、観光も発展している。⻘々とした海と空が広がる素敵な場所で振る舞う料理は、格別なのではないだろうか。

来年には視察に行く計画があるようで、着々と準備が進んでいるようだ。また、鹿児島にも、この物件どうにかできないかな〜と思う場所があるそう。「観光とグルメはセット。また来たいなと思ってもらえるお店が、僕たちの目指しているお店」。筆者も、美しい景色、美味しい食事、笑顔が素敵な赤坂さんご夫婦に会いに、改めて訪れたいと思った。