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【福島・猪苗代町】楽しい!おいしい!猪苗代の今と未来をワクワクで彩る「いなラボ」の活動と人にせまる

インタビュー

2023.02.23

【福島・猪苗代町】楽しい!おいしい!猪苗代の今と未来をワクワクで彩る「いなラボ」の活動と人にせまる

猪苗代といえば、磐梯山のスキー場、温泉、湖、レジャー…といった観光地としてのイメージを持つ人が多いかもしれません。だけど、猪苗代の本当の魅力は「人」!町民の有志からなる「NPO法人猪苗代研究所(通称:いなラボ)」では、猪苗代の暮らしを、未来を、もっとワクワクで彩る活動が日々巻き起こっています。その活動に参加する人たちも皆、終始笑顔が絶えない、ほがらかで和気あいあいとしたムードに包まれていました。

「猪苗代の魅力を伝えたい」。その想いが共通していた。

この日、取材のために集まってくださった「いなラボ」メンバーの6名の方は、みんな猪苗代で暮らし、それぞれの生業や仕事を持っている人たち。地域おこし協力隊、食堂を営む人、旅館の経営者、農家、料理人、美術館の企画運営をする人など、さまざまなバックグラウンドを持つ人が「いなラボ」にかかわっています。

そもそも「いなラボ」は、「猪苗代町商工会青年部」「一般社団法人猪苗代青年会議所(JC)」「JA会津よつば農業 協同組合青年連盟猪苗代支部(農青連)」の青年3団体が中心となり、2016年に設立されました。現在は30名を超えるメンバーが活動に参加し、猪苗代にあるヒト・モノ・コトの魅力を掘り起こし、価値を高め、地域やコミュニティの活性につながる事業を展開しています。

立ち上げのきっかけは、毎年、猪苗代で開催されている「オハラ☆ブレイク」。

西村さん:「いなラボ」を立ち上げた当時、私は商工会青年部の部長を務めていました。当時のJCの部長、農青連の部長とも交流している中で、「猪苗代をもっと良くするために、それぞれの団体でいろんな活動に取り組んでいるけど、何か一緒にやってみたいね」という話になったんですよね。それで、3団体合同でオハラ☆ブレイクに出店してみることにしました。

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元商工会青年部の部長であり、中ノ沢温泉街で大衆食堂「小西食堂」を営む西村さん。
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オハラ☆ブレイク出店の様子(2019年)

西村さん:出店してみて、ひとつの団体で猪苗代の魅力を伝えるよりも3団体が一緒になって活動したほうが、より多くの人に猪苗代の魅力を知ってもらえるんじゃないかと思い、NPO法人の立ち上げに踏み出しました。みんな、「猪苗代をもっと良くしたい。もっと魅力を伝えたい」という想いでした。

「猪苗代の魅力を伝えたい」。その想いが共通していた。

「いなラボ」の正式名称は「NPO法人猪苗代研究所」。みんなで猪苗代の良いところを発見し、掘り出し、価値を高めていこうという想いを「研究」という言葉に込めて名付けられました。「いなラボ」の活動がスタートしてからは、「食と農」をテーマに、猪苗代産の食材を使ったレシピ開発やイベント出店など、食を通じて猪苗代の魅力を伝える活動に尽力。例えば、猪苗代の特産品である蕎麦を使ったそばめし、雪下キャベツのミネストローネ、きゅうりのモヒートなど。こうした猪苗代の豊かな食の資源を活かした活動の背景には、町で農業に取り組む農青連の存在が大きかったと話します。

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猪苗代町観音寺川さくら祭りに出店したときの様子(2017年)
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猪苗代湖ハーフマラソンに出店したときの様子(2016年)
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猪苗代食材を使ったベジタコライス(2016年)
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ベジそばめし、きゅうりのモヒートなど、オリジナルメニューを開発!(2017年)

コロナ禍に突入してからは、イベント出店など直接人に会って猪苗代の魅力を伝える機会は減ってしまったものの、2022年には公式サイト「くう、ねる、かんじる猪苗代」を開設。猪苗代の「人」を軸に、「くう(食)・ねる(宿泊)・かんじる(レジャー)・すむ(暮らしや移住情報)・はたらく(仕事)・はぐくむ(子育て)」の6つのテーマで猪苗代の魅力を伝えています。

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くう、ねる、かんじる猪苗代」のトップページ

さらには、YouTubeチャンネル「いなラボchannel」も開設。町民のインタビューや農産物の紹介など、楽しく猪苗代の魅力にふれられるコンテンツが配信されています。

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一人ひとりの「やってみたい」が、形になる場所。

「できたら良いな」で終わるのではなく「できたら良いな、を形にしている」いなラボの皆さん。それが実現できているのは、組織の仕組みと、集まっているメンバーの特性にヒミツがありそうです。

「いなラボ」は5つの部会から成り立っていて、「移住定住」「人材育成」「広報」「食と農」「地域ブランド活性化」それぞれの部会にメンバーが所属し、一人ひとりの得意やスキルを活かして活動しています。

「移住定住」では、移住希望の方の相談窓口になったり。
「人材育成」では、地元の中学・高校生に農業体験をしてもらったり、地元の人たちが先生となり学び合う場をひらいたり。
「広報」では、猪苗代の魅力を伝える冊子などの広報物を制作したり。
「食と農」では、猪苗代食材を使ったレシピを開発したり、子どもむけに料理のワークショップイベントをひらいたり。
「地域ブランド活性化」では、中ノ沢こけしをはじめ、地域の文化や産業をさらに勢いづけていくような取り組みを行ったり。

「いなラボ」のメンバーとして参加するための条件や、活動していく上での縛りのようなものはなく、各部会が連携し、一人ひとりの「やってみたい」をメンバーのアイデアやスキルで肉付けしながら、実現に結びつけています。

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ミーティングの様子(2017年)
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メニュー開発や試食も、みんな楽しそう!(2017年)

「いなラボ」の個性ゆたかな「人」

この日お集まりいただいたメンバー6人の方に、「いなラボ」に参加してみての手応えや感想、展望などをうかがいました。

渡部さん:私は猪苗代出身で、実家では「みなとや」という宿を経営しています。一度県外に働きに出たのですが、親から「戻ってきてほしい」と連絡をもらい、猪苗代に戻ってきたんです。「みなとや」の経営を手伝う傍ら、青年会議所(JC)の活動もするようになり、2018年には理事長も務めました。西村さんが話していたように、団体それぞれで多様な活動に取り組んでいても、他の団体との横のつながりって、あるようで無くて。これは猪苗代に限らず、他の自治体さんでも同じではないでしょうか。でも「いなラボ」のメンバーとして活動するようになってからは、特に農青連さんのメンバーをきっかけに、地元の農業や食についての知識が増えました。地元出身でも、知らないことって意外と多いんですよね。

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写真左が西村さん、写真右が渡部さん。渡部さんは「移住定住会」の部会長を務め、猪苗代の町議会議員でもある。

石井さん:私も猪苗代出身で、東京にあるホテルで料理人として勤めていました。実家が農業を営んでいて、家業を絶やしたくないという想いで地元に戻り、今はお米をメインにとうもろこしなどの野菜も育てています。「いなラボ」では、料理人のスキルを活かして、地元食材を使った料理のレシピ開発や、子どもたち向けのイベントを行ったりしています。農業を生業にしていると生活のほとんどを農作業に費やすことが多いけれど、「いなラボ」は農業だけじゃない、いろんな活動をしている人とかかわれることが魅力だなと思います。

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旦那さんと2人で運営している「農園GARA」(旦那さんの石井達也さんも、いなラボメンバー)
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石井さんがつくった野菜たち
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石井さんがつくったレシピを冊子に。中を開くと農家さんのインタビューも掲載されていて、食材が生まれた背景から、それをおいしく味わう方法まで知ることができます。

小林さん:私は栃木出身で、猪苗代に移住して10年くらい経ちました。猪苗代にある「はじまりの美術館」で企画運営を担当しており、「いなラボ」では広報の活動をしています。猪苗代で暮らしていて、この町の魅力は「人」だと感じています。それぞれがおもしろい活動をしていて、「猪苗代には、こんなユニークな活動をしている人がいるよ!」ということを、町内外の人に知ってもらいたいんです。「いなラボ」は地元出身のメンバーも多く参加していて、地元視点での猪苗代の魅力を知るきっかけにもなっています。

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写真真ん中が、小林さん。「いなラボ」では広報担当として、さまざまな広報物の制作やPRなどを行っている。
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「いなラボ」が企画・発行している猪苗代の暮らしを伝えるブック。
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小林さん自身が執筆・編集を行い、撮影やデザインは知り合いに頼んでいるそうです。

深谷さん:私は白河市出身で、妻の実家がある猪苗代に引越してきました。農家として「雪下キャベツ」の栽培に注力していて、農青連にも所属しています。ここで農業を始めてみて感じたのが、人それぞれに農業に対する考え方や価値観が異なっていること。だからこそ、先輩農家から教えてもらえることもたくさんあるし、自分のスタイルで農業をやってみたいという想いもあります。猪苗代は農家の高齢化が進んでいて、農家人口の減少が課題です。農家人口を増やすには、農業をやってみたい人を外から呼んでくるか、地元の子どもたちの農業への関心を高めて町に留まってもらうか、どちらかの選択肢しかありません。そこで、子どもたちを対象に雪下キャベツの収穫体験を行ったり、猪苗代で新規就農を目指す人に農業体験をしてもらいながら移住もサポートする「おためし農家」を企画・開催したりと、「いなラボ」でいろんな活動にチャレンジしています。

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雪下キャベツを栽培する有限会社グリーンハウスの深谷さん。
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雪下キャベツの収穫の様子
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子どもたちを対象とした収穫体験も行っています。

加藤さん:私は猪苗代の地域おこし協力隊として移住関連の業務を務めながら、「KAtrip(カトリップ)」という名前で旅行業も営んでいます。最近「いなラボ」に参加したばかりなんですが、より地元に深く踏み込んだ人との出会いや関係性がうまれていて、協力隊の活動や旅行業にもつながりそうだなと感じています。魅力的な人がここにはたくさんいるので、「猪苗代の人に会うツアー」とかやってみたいですね。

【福島・猪苗代町】楽しい!おいしい!猪苗代の今と未来をワクワクで彩る「いなラボ」の活動と人にせまる
加藤さんは2022年に猪苗代の地域おこし協力隊に着任。出身は埼玉県。

西村さん:今、皆さんが話してくれたように、「いなラボ」の活動を通して一人ひとりの視野が広がったり、「いなラボ」をきっかけにおもしろい人との出会いがあったりと、ここが猪苗代のハブになっているのが嬉しいなと思います。猪苗代って、6つの地区があるんですけど、地区をまたいだ人との交流の機会ってそんなになくて。「いなラボ」が、出会いや交流の場になれたらと思います。

現在はメンバーが35名いるそうですが、一度も募集をかけたことがないんだとか。人が人を呼び、猪苗代の魅力的な人が集まる「いなラボ」というひとつのコミュニティが形成されています。

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インタビュー中も、和気あいあいとした雰囲気で、皆さん楽しげ。

「いなラボ発の商品もあるんですよ」と、西村さんが教えてくれたのは「いな#メン」。猪苗代産のそば殻を練り込んだもちもち麺とスープがセットになった冷麺で、福島県住みます芸人のぺんぎんナッツさんと共同で開発した商品だそうです。

【福島・猪苗代町】楽しい!おいしい!猪苗代の今と未来をワクワクで彩る「いなラボ」の活動と人にせまる
筆者も自宅で食べてみましたが、蕎麦を使ってるけど蕎麦じゃない!?新感覚の味わいでした!

「いな#メン」は、飲食業にかかわる「いなラボ」メンバーのアイデアから生まれた商品。本来は廃棄処分されてしまうそば殻を利活用し、冷麺にアップサイクル。食の課題や、猪苗代の魅力をおいしく伝えるのと同時に、「いなラボ」がこの先も活動を継続できるように収益を生み出すアイテムのひとつとして、お土産品として道の駅で販売されていたり、町内の飲食店で提供されたりしています。

取材を終えて

「いなラボ」さんを取材させていただいて、筆者自身、心の奥からワクワクが込み上げるのを感じました。自分たちの町を、暮らしを、もっとおもしろくしよう。町の魅力を、より多くの人へ届けよう。そんな純粋な想いが、皆さんの活動や言葉一つひとつから感じられました。

町の活性につながる活動って、行政主体で取り組んでいる地域も多いと思います。どうすれば市民を巻き込めるのか?とか、市民主体のまちづくりとか、よく見聞きしますよね。でも猪苗代では、行政主体ではなく町民発で行われているところに、猪苗代の人の底力を感じました。そしてみんな、本当に楽しそうなんです。

「いなラボが自分の居場所になっている」「いなラボで、いろんな“やってみたい”が実現できそう」
そんな声を、取材中にいくつも耳にしました。自分の町を、自分たちでアップデートできるって、ワクワクしますよね。

この記事を読んでいただいている猪苗代の地元の方がいれば、ぜひ「いなラボ」の活動をのぞいてみてほしいですし、猪苗代に住んでいなくても、自分の町や暮らしに活かせる視点や姿勢がたくさん得られると思います。ぜひ興味を持たれた方は、「いなラボ」さんにコンタクトをとってみてください!

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名称

NPO法人猪苗代研究所

URL

WEBサイト:くう、ねる、かんじる猪苗代 - NPO法人猪苗代研究所(いなラボ) -
YouTube:いなラボchannel - YouTube
Facebook:N P O法人いなラボ | Facebook

住所

〒969-2752
福島県耶麻郡猪苗代町大字蚕養字沼尻甲2855-14

E-mail

inawashirolab@gmail.com

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