【鹿児島県鹿児島市】問いかけの対話を通し、一人一人の人生に彩りを / 合同会社 DtheF.toi 村田史子 さん
インタビュー
『合同会社DtheF.toi』代表の村田史子さんは鹿児島県鹿児島市を拠点にトラストコーチングスクール認定コーチとして個人向けと法人研修講師やカラーアナリスト等として活動され、さらに『Enjoy!転勤ライフかごしま』のメンバーとしても運営に関わられています。そんな村田さんから現在の活動に至った背景や今後の展望等についてお話を伺いました。
想いを発することで
大学時代、景気の悪化等により就職が困難な中、最終的に採用が決まったのは製薬会社の営業職だったという村田さん。
入社直後、会社の男性社員から言われた言葉が衝撃だったそうです。
“男性社員と同じように扱ってほしいか?”
“営業成績が良いのは女子だからでしょ?”
“良いよね?女子だから。”
「就職活動がうまくいかなかったからか、社会人になっても自己肯定感が低いまま働いていたので”私は社会に必要とされているのか?”と思うことが多かったです。」
「そんな私を採用してくれた会社に対して”恩返しをしなくては!”という気持ちが強かったと思います。どんなことを言われても”ここしかない”と言い聞かせて仕事に励んでいました。」
就職して3年経ち、結婚が決まり、退職。
その後は夫の転勤に合わせて、転職を何度か経験することになります。
「皆が当たり前にできるような仕事でミスをしたり、やりがいを感じた仕事では労働環境の関係で体調面の管理が難しくなったりと、何をしてもジレンマを感じてばかりでした。」
「それでも、夫の転勤先に引っ越す前には仕事を探していました。新しい土地に行ったら、自分の居場所を作らないといけない。そんな焦りがありました。」
30歳になり和歌山にて第一子を出産。
出産前は悪阻の症状が酷く、妊婦のコミュニティにも顔を出せず、友人が誰一人もいない状況だったといいます。
「出産して4ヶ月程経った時、SNSでスリングを楽しむ集まりがあることを知り、勇気を振り絞って参加してみることにしたんです。」
「参加者は和歌山出身の方ばかりでした。そんな中で、私の背景や状況を伝えると、皆さんは優しい言葉をかけてくれました。”大変だったね、辛かったね”って。」
「その瞬間、私は誰かに認められている。受け入れてもらっているんだ。心の底からそのように感じました。」
さらに、その集まりの主催者の一言が村田さんの新しいアクションへと背中を押すことになります。
「”村田さんのような状況の人は結構いると思うから、そんな人たちのグループを作ってみたら?”とアドバイスをしてくれたんです。」
「早速、1回目の集まりを開催すると、何と20人近くの人が集まりました。そこで、私と同じように”受け入れられた””誰かと話すのは楽しい”とリアクションしてくれた人が多く、同じような人たちの存在を知ることができました。」
「和歌山では”想いを発しないと誰にも知られない””誰かに知ってもらうことで、自分を受け入れてくれたり、支えてくれたりする人が必ずいる”ということを学ばせてもらいました。」
バッググランドが違う一人一人が彩りを持てるように
和歌山でグループ『転勤族妻の会』を立ち上げ後、西宮を経て
現在活動の拠点とされている鹿児島へと舞台を移すことになります。
鹿児島では『Enjoy!転勤ライフ鹿児島』(以下:転勤ライフ)を立ち上げ、和歌山や西宮での経験をもとに仲間を作り、一緒に運営されています。
定例会やブログ記事作成・発信等、メンバーそれぞれが役割を担い、前向きに転勤ライフを楽しむ活動の輪が少しずつ広がっていきました。
「転勤ライフは良い雰囲気で運営できていると思います。誰かがメインで動くというよりも”それぞれができることをできる範囲でやろう”とメンバーには伝えています。」
「元々なかったグループなので何かにチャレンジする際に”失敗したらどうしよう?”といった不安がある人も勿論いました。」
「そんな時は自分の中の”やりたいか?やりたくないか?”基準で決めるようにアドバイスしています。うまくいかなくても、自分の意思で決めたことだから、誰の責任でもないですし、責める人もいません。」
「活動を通し、誰かに認められたと少しでも感じることで、私もメンバーも自己肯定感が上がってきています。」
「転勤族の妻ってマイナスに捉えがちですが、そうじゃないんです。転勤した経験は誰かの役に立つし、評価してもらえるんです。その感覚は今にも繋がっていると思います。」
鹿児島へ引っ越されてからは、それまでの経験や子育ての悩みからカラーアートセラピーやパーソナルカラーといったものに興味を持つようになったといいます。
「きっかけは特別支援教育支援員養成講座を受けたことでした。そこで、子どもをそのまま受け止める、子どもの見方を変えるきっかけをいただいたんです。」
「最初に学んだのはカラーアートセラピーでした。クレヨンで紙にグルグルと描き、その時の感情をぐちゃぐちゃに描き出しました。」
「”これが今の自分なんだ”と感じ、良い悪いもない、ただ受け止める。そんな癒しの時間でした。色を通して、自分自身と向き合う時間にもなりました。」
「十人十色から十色(といろ)を抜き出して『Toiro』という屋号で現在活動しています。バッググランドが違う一人一人に彩りを持たせたい。違いがあっても、お互いを認め合うことが当たり前であってほしい。そんな想いを込めています。」
「ほんの少しのきっかけで人は一歩進む力を自分で持つことができます。自分を大切に信じられたら、自分軸を持って、様々な変化に強くなれると思うんです。これは私が歩んできた道のりで強く感じてきたことです。」
「Toiroは個人事業でしたが、その後、法人化するにあたって、 DtheF.toiに変更することにしました。個人だけじゃなく、企業のサポートも主軸にしていくことにしたからです。」
「企業に届けるのは、働く一人一人に温かいコミュニケーション(コーチング)を届られると、それが家庭にはいっていき、親子・夫婦での対話につながるその広がりで、違いを認め合いそれぞれが彩りを持った社会につながると思うからです。」
「未来をデザインしてなりたい自分に向かうあなたを支え、一緒に伴走します。個人の方には、あなたの未来を自分で創っていくためのサポートを。経営者の方には、会社の未来をどう創っていくかをともに考えるパートナーとして。」
「このような思いをDtheF.toiという社名に込めました。 Design the future 未来をデザインしよう toi あなた(仏語) toi toi toi 幸運、成功を祈る応援の意味のおまじない(独語)」
新しい視点で投げかけ、思考とココロを整える
転勤生活を通して、少しずつ自分の軸のもと歩みはじめるようになった村田さん。
それまでの振り返りとして、マザーズコーチングとトラストコーチングを受講されます。
それがコーチングとの出会いでした。
“本当に大切なのは何か?”
現在、コーチングを提供するコーチとして、新しい視点から投げかけ、思考とココロを整えるサポートを企業や個人に対し行っています。
「子育てや夫婦間、社会といった関係性の中で、自分の気持ちがモヤモヤしたり本当の自分が見えなかったりするところに問いかけの対話をすることがコーチングだと思っています。」
「以前、夫婦関係で悩んでいる方が飲み会でパートナーの愚痴をよく話されていたのですが、コーチングを受けてからは本当の自分を客観視できるようになって、気持ちが楽になったとおっしゃってくださいました。」
「最近では社外コーチとして、企業様にトラストコーチングのサービスを提供しています。上司、もしくは、部下との向き合い方に悩んでいる方に対し、俯瞰して質問をすることで、人材育成や思考整理の面で役に立ったと嬉しい声をいただいています。」
「自分を信じられるようになることで、胸を張り一歩進める・何かができる状態になれるのです。」
昨年、県内の中学校でコーチングプログラムを行う機会があったといいます。
テーマは“自分を大切にすること”。
新型コロナウイルスが蔓延し、人との接触を極力減らすというコミュニケーション形態の中で、中学生活を終えようとする生徒へコミュニケーションについて学ぶ機会を届けたい。
そんな先生の想いから今回の場が実現したそうです。
「私自身、子どもの時に”自分を大事にしよう”と周囲の大人から言われていましたが、正直どうしたらいいかわかりませんでした。」
「それなら、そこを一緒に考えられる・応援できる大人になりたいと思いました。言葉だけで教えるのではなく、自分の中で何を感じ取ったのかを体感する。そんな時間を意識しました。」
「誰かが・社会がそう言っているから決めた、ではなく、自分の中でじっくり考えて決める方が一歩踏み出しやすいと思うんです。」
「うまくいかなかったとしても、それを子どものうちから体感し、実践していくことで、多くの気づきや楽しさが待っているのではないか。子どもたちの未来につながるのではないか。そう思っています。」
「生徒からは”ネガティブな自己対話も大切だと気づけた””自分のことを意外と知らないんだ”といった声もあり、私自身にとっても学びの時間になりました。」
“私なんか…”からの卒業
村田さんがこれから力を入れていきたいものとしてキャリアデザインを挙げられています。
今までコーチングで不安と向き合い・取り除くサポートを行ってきて、その先の”人生をどう生きたいか?”についてマネージメントする必要性を感じているといいます。
「キャリアデザインといっても、崇高な仕事をするとか、起業をするだけが選択肢じゃないと思っています。”こういう人でありたい”といった自分の納得した道を見つけることも、その1つなんです。」
「人って居場所があったり、周囲に認められたりすることで生きていると実感するのは男女関係ないと思うんです。」
「例えば、組織を抜けて肩書きがなくなった人が孤独感に襲われて鬱になったという報道を耳にしたことがあるのですが、それも同じかなと。」
「そういう意味では、組織やコミュニティの中だけではなく、生きる上で一人一人のキャリアデザインが必要だと感じるようになってきました。」
昨年、鹿児島県主催の事業『ワタシらしい“はたらく”を描くセミナー』(以下:セミナー)では、運営側に「キャリアデザインを取り入れてみては?」と提案されたそうです。
その結果、起業編以外にキャリアデザイン編が設けられ、多くの参加者が自分自身と向き合うことができました。
セミナーでは、最初はモヤモヤした状態だった参加者が
次第に自分の知らなかった一面に気づき、気持ちが軽くなっていくのが変化として感じ取れて嬉しかったと話します。
今年はこのセミナーの発信を見て共感した自治体から20~30代向けに話をしてほしいと相談があったのだとか。
「仕事をしていた人が結婚した場合、今後仕事を続けていくのか。仕事を続けたとして責任を持てるのか。そういうものが壁になると言われています。」
「でも、実際はそうではなくて、長期的な目線で考えた時に”どんな自分でありたいか?”が見えていないから不安になると思うんです。」
「結婚したら終わりでもないし、結婚しないことが悪いわけでもありません。何を選択しても、自分にとって辛くならず、どんな結果になっても納得感のある道を選べるように、見守り応援できる存在になりたいと思います。」
「ただ、私が答えを明示するわけではありません。納得感のある道をデザインするのはその人自身です。”私なんか…”という気持ちから卒業して、胸を張って自分らしく生きる人が一人でも増えたら嬉しいです。」
屋号 | 合同会社DtheF.toi |
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備考 | ●村田さんのお仕事に関する情報発信について ●村田さんのコーチング関連のお仕事依頼については 合同会社DtheF.toi HPから ●Enjoy!転勤ライフのブログはこちらから ●ワタシらしい”はたらく”を描くセミナーについて |