【福島・須賀川市】子ども達が教えてくれた新しい世界。夢への切符は自分で掴む!「53CANDLE/53’sBAKE」
インタビュー
「将来こんなことを実現してみたい!」と夢を持っていても、周囲の目が気になるなどの理由でなかなか一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか?今回取材した素敵なクリエイター「53CANDLE/53’sBAKE」さんは、日々希望を持ち活動していますが、夢の実現までの過程には乗り越えなくてはならない壁が多かったといいます。読み進めていくうちに夢の実現に向けて、アクションを起こしたくなるかもしれません。
近年、時間に追われながら日々過ごすことに疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。朝晩キャンドルを灯し、ゆっくり自分を見つめ直す時間を大切にしているという方が増えている印象を抱きます。福島県須賀川市で活躍している「53CANDLE/53’sBAKE」さんはキャンドルをつくっているハンドメイド作家さん。さらに焼き菓子も販売しています。しかし自分の店舗を持っていません。そこにはある想いが隠されていました。私は今回「53CANDLE/53’sBAKE」の有我さんからお話を伺いました。
当たり前の日常は、当たり前じゃなかった。
「ハンドメイドをはじめたきっかけは、3番目の子どもが重度の障がいを持って産まれたこと」とお話をしてくださった有我さん。この言葉を聞いた瞬間、正直驚きが隠せませんでした。私ならば今後の希望を抱く余裕は無くなってしまうだろうなと思ったからです。しかし、有我さんは前を向き続けるとてもパワフルな方でした。
「当たり前に仕事が続けられると思っていたのに障がいの子が産まれたことで働けないと思い、正直すごく落ち込みました。」とお話をする有我さん。
しかし、「自分が置かれた状況を前向きに捉え、働くことを諦めたくない!」と強い気持ちを抱いていた最中、偶然参加したハンドメイドのイベントで見かけたキャンドルの美しさに惹かれたといいます。その足で100円ショップへ行き、材料を揃えたり、キッチンで実際に作ってみたりと、キャンドル作りを一から独学で始めたそうです。
これが今日の「53CANDLE」ブランドに繋がっています。
キャンドル作りは試行錯誤の連続だったという有我さん。
完成したキャンドルは友人のクッキー屋に置かせてもらい、委託販売を始めました。
クッキー屋でアシスタントもしていたのをきっかけに、生地を練るだけでなく自分のデザインで焼き菓子を作ってみたいと考えるように。その後、須賀川市に焼き菓子専門のレンタルキッチン「おかしばこ」があったことが後押しとなり、新たに「53’sBAKE」が立ち上がりました。
ここで、なぜ「53CANDLE/53’sBAKE」という名前なの?と気になった方もいるのではないでしょうか。「私の名前は五三と書いていずみと読むんですよ。だから53にしました(笑)。周囲の方から見てすぐ分かる名前が良いなと思って。」と教えてくださいました。
また、店舗を持たない理由として「店舗を持ってしまうと無理をしてしまう気がして。子どもの風邪などで急遽休むこともあるので、今後の活動を続けていくためには必要なことなのかなと思っています。」とのこと。
人気のあるウルトラ怪獣のクッキー。実は…
「53’sBAKE」はウルトラ怪獣クッキーも販売しています。
須賀川市は「特撮の神様」と称えられる円谷英二監督の故郷であることから、ウルトラマンにまつわるスポットが点在している街。そのため、怪獣クッキーはマニアの方に非常に人気がある商品だといいます。有我さんによると「実はこのクッキー、2番目の子どもがデザインしているんですよ。」とのこと。
ですが、店舗を持たない「53’sBAKE」は販売場所はどうしているの?と疑問を持つかと思います。
「53’sBAKE」は、現在「須賀川観光物産館flatto」へ委託販売をしているそうです。
「友人のクッキー屋で働いていた際に『須賀川観光物産館flatto』の方が来店し、店舗内にキャンドルを置かせていただけないかとご依頼をいただいたことがきっかけですね。今は焼き菓子のみ販売していて、キャンドルは現在ここでは販売していません。『須賀川の定期市Rojima』など、イベントでの販売になります。」といいます。
また、クッキーですが、母親ならではの視点を生かした作り方がされているそうです。
「子どもが安心して食べられる食材を使用しています。何からできていて、今食べているものはこの食材から作られているという背景が見えるのが、手作りの良さかなと思います。」
「須賀川観光物産館flatto」にて販売されているクッキーを紹介してくださった有我さん
失敗は、良いデザインが生まれる瞬間でもある。
「53CANDLE」は、独学で商品作りをしているため苦労もあったといいます。
「独学なので失敗は多いです。でも失敗し納得がいかない時に良いデザインが生まれることもあります。キャンドルは型を抜く瞬間までどのようなデザインに仕上がったか分からないため、そこがとても楽しみです。」
現在、「53CANDLE」は「須賀川の定期市Rojima」等のイベントにおける販売となります。
有我さんは昔からハンドメイドのイベントが好きだったこともあり、自分で調べていくなかで見つけたそうです。
「やっぱり店舗がないので、定期市のようなタイミングでしかお客さんと直接お話できる機会がなく、皆さんとお会いできるのがとても嬉しいです。そして、出店者同士の横の繫がりも楽しいです。お客さんも出店者の方も皆さん優しくて、そんな温かみのある繫がりは居心地が良いんですよ。」
「須賀川の定期市Rojima」への初出店は2017年。
このような定期市に出店することを続けてきた結果、徐々にリピーターの方も増えてきたといいます。
無理して突っ走るよりも、自分のペースでできることから。
「正直、諦めないといけないことも沢山ありました。でも、変えられない部分よりも置かれた状況の中でできることからやっていきたいと思っています。今後は、『おかしばこ』を卒業し、自宅に工房を作ろうと計画中です!母親である以上、子どもの成長にあわせ今後の体制は変わっていくと思います。自分のペースで長く続けていけるような体制作りを目指していきます。」と語る有我さん。
今後は、無理のないペースで「子ども向けのお菓子教室」や「キャンドル教室」を開催していきたいとも目を輝かせながらお話してくださいました。
「食べるところではなく、工程を教えたいです。クッキーですと、今食べているものが何からできていて、どのような過程で作られていて、意外にも力仕事だということを伝えていきたいです。キャンドルは、あの型を抜いた瞬間の喜びを沢山の方に体感してほしいです。クッキーに関しては、今後地元産の野菜を活用するなど地元に密着した方法で作っていきたいです。知り合いにお酒を造っている同級生がいるので、酒粕パウダーを使用していきたいですね。元々、私の実家が農家だったのもあり、こうした地元密着のものを増やしていければと思っています。」
捉え方次第で、世界も可能性も広がっていく
今回「53CANDLE/53’sBAKE」と初めての顔合わせでした。
しかし、初めましてでも分かる人柄の良さが溢れ出ていました。笑顔溢れる有我さんは今日まで沢山の苦労を乗り越えてきたと知り、取材した中でこれらの言葉がとても心に残っています。
「障がいのある子どもを持たなければ知らない世界でした。だから、悪いことばかりじゃなく、良いことも沢山ある。活動の幅が広がったというか、自分の可能性を広げてくれたような気がします。」
「53CANDLE/53’sBAKE」の心惹かれる素敵な作品はこのような有我さんの想いが表現されているからこそ、沢山の方に愛され続けている理由なのかもしれません。
そんな素敵な作品を一度手にとってみませんか?
※「ウルトラ怪獣のクッキー」は、活動体制が変わるため、2023年4月以降の販売を一時中断されるそうです。製造場所など環境が整い次第、製造販売を開始するそうなので今後の活動をお楽しみに!
屋号 | 53CANDLE /53'sBAKE |
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