東京からの刺客「ズルい男」篇
カズワタベさん
友人でも先輩でも後輩でも、まあ知り合いでもいい。
長身のイケメン。きっと何人か、まわりにいるだろう。
だが、そこにウェブサイトの企画・デザイン・制作スキル、音大卒のギターの腕前、セルジオ越後氏とニコ生で日本代表について討論するサッカーについての知見が付くとどうだろうか。同じでなくとも、そんなニクい能力を持つとなると、かなり数は絞られてくる。
加えてである。24歳の時には東京で会社を立ち上げ、クリエイター向けのソーシャルチッピングのウェブサービスを開発、取締役CCOを担っていたとか、フリーランス転向後にサービスのリサーチと称して「NAVERまとめ」で、かわいすぎる美女を14人もまとめたところ累計800万PVなんてことになるわ、はたまた沖縄の古宇利島の情報サイトを趣味で作ってみれば、月間15万PVを超え、今やGoogle検索でトップに表示されるサイトに。これらも彼の活動のほんの一部でしかないのだから、もうここまでくるとすごいを通り越して、いけ好かない印象すら帯びてくる。
そして、最大の裏切りがこれ。
すごくいい奴。
冒頭に並べた嫉妬を掻き立てる経歴が一夜にして帳消しになるくらい話せる男なのだ。憎めないのが、とにかく残念である。
彼の名はカズワタベ。
ウェブサービスに関るプランニング・コンサルティングをメインに活動するディレクターである。昨年末に活動拠点を福岡に写し、東京と福岡を行き来する生活を送っている。
そのまま東京でも、いや、むしろ東京の方がそのポテンシャルを発揮できそうなものだが、福岡を選んだのには明確な理由がある。家賃が安い、ご飯が美味しい、一般的に福岡へ転入した人々が多く口にする理由ももちろんだが、その真意はクリエイターとしての住み易さだ。
街の規模感がコンパクトで移動に時間を割かれることも少なく、人口密度が低いため混雑に悩まされることもない。東京と比較して、そういったストレスを感じることが少ない環境が、腰を据えて何かをつくるのに最適だそうだ。
また、コンパクトな街であるがゆえ、海、山、川といった自然までの距離も近く、そして豊か。彼の場合だと、サイクリングや釣りといった趣味を通じて自然を享受することが、モチベーションの維持や、創作意欲を刺激に繋がっているという。
市街地から近い空港も貢献度は高いだろう。福岡の住環境がいくら優れているにしても、人や情報はやはり東京に集まっている。アクセスの良い福岡空港から定期的に首都圏へフライトすることで多くのヒトや情報、仕事に触れて先進性を失わないように注意しているそうだ。
そんな考えがありながら、移住したきっかけは「かわいい娘が多いから」と言い切るあたりが彼の絶妙さであり、実際、会話をしていると肩に力が入っていないことが良く伝わってくる。
移住して、まもなく1年。最近の動向を聞いてみると、福岡での活動はよりスピードを増しているようだ。
常に面白い情報やコンテンツをアウトプットするスタイルはそのままに、ローカルシフトや移住系のイベント登壇、メディアの取材が増えている。移住実践者だからこそ話せる内容には相応の説得力があるからだろう。
また、北九州は小倉にある学びと創作のアクティビティスペース「fabbit」のウェブサイトやイベントの企画・制作をメインとした運営サポートを行うなど、活動は福岡市を飛び出しつつある。
そして先日、遂には会社まで立ち上げた。
事業内容の詳細はまだお伝えできないものの、次のステップはローカルから日本を引っ掻き回す可能性を十分に感じさせてくれる。
敬意と期待を込めながら一言だけ言わせてもいたい。
カズくん、あんたズルいよ。
(カタオカ)
屋号 | ウミーベ株式会社 |
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