【山形／連載】地域密着型スーパー〈エンドー〉へようこそ Vol.3

連載

2023.04.18

山形市長町にある〈エンドー〉は、地域密着型のスーパーである。創業は昭和40年。以来、地元の人々に親しまれ続け、日々、さまざまな顔が集う。そこにある時間と、ここにしかない風景。今日のエンドーでは、どんなことに出会えるだろうか。

アラーム音と湯気とAMラジオ
ある土曜日、朝の風景

厨房内でひとり黙々と仕込みを行う店主の遠藤さん。市場での仕入れを終えてお店に戻ると、ひと息つく間もなく惣菜の準備に取りかかる。タイマーのアラーム音に合わせて、湯気が立ちのぼる厨房の中を行ったりきたり。「まあ、だいたいいつもこんな感じです」。
土曜日の朝が慌ただしいのは、週末でお客さんが増えるため仕込む量が増えるのと、土曜限定の「宅呑みエンドー」を販売する日でもあるからだ。店内ではAMラジオの歌謡曲が、のんびりと小さく流れている。

【山形／連載】地域密着型スーパー〈エンドー〉へようこそ Vol.3

ホッケの塩焼きがおいしそうに焼き上がった。脂がのった紅鮭や、銀ダラの西京焼きもある。魚焼きグリルを洗う手間もなければ、温めるだけで手軽に食べられる焼き物の魚はあるとありがたい。

「焼き物はお年寄りのお客さんがよく買われていくんです。たまには魚も食べたいんだけどめんどくさくて、とか、最近ひとり暮らし始めたばっかりで、みたいな方にもおすすめしたいですね」

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こちらは煮付け。甘辛いたれの匂いが食欲をそそる。そのときどきでいい状態のものを選んで作るため、自分の好きな魚や珍しい魚に出会えることも。この日は豊洲で仕入れたばかりのキンキ。

「これはおいしいですよ。金目鯛よりもちょっと小ぶりで値段はしますけど。自分は料理をどこかで学んだ経験はないので、そこまで凝ったものはしないです。でも作るのは好きなんです。食べたいものを作ったりとか、料理本を読んだりしながら。家庭料理が中心ですね」

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オーブン横にはタイマーが並んでいて、それらのアラームが次々に、たたみかけるように鳴っている。こっちで魚が焼けたかと思えば、あっちでは米が炊けているといった具合だ。

「魚を焼くときは、遠赤外線グリラーを使います。干物もここで作っていて、アジ、サバ、めざし、イワシ。あとはカマスとかイカとか、いろいろですね。前日の夜に専用の乾燥機で仕込むんですけど、乾燥が終わると自動で冷蔵に切り替わるんですよ。うちは惣菜の種類も多いので、こうした設備を上手く活用しながらやっています」

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