【愛知県名古屋市】物件探しの新常識 『さかさマガジン』創刊

空き家問題がさかんに取り沙汰されるいま、空き家バンクなど、課題の解決を目指した取り組みが各地で進んでいますが、そんななか、これまでの不動産流通のあり方や考え方を根本からひっくり返す、ユニークで新しい不動産サービスが登場して話題となっています。

画期的な手法で空き家を活かす「さかさま不動産」とは？

これまでの不動産貸借の仲介サービスは、まずサイトや店舗で物件の情報を提供し、借り手側がそこから条件に見合ったものを探し、不動産業者を通じて契約を交わすという流れが常識でしたが、「さかさま不動産」はそれを真逆にしたまったく新しい仕組み。しかし単にその流れを逆転させただけではないところに大きな意義と特徴があります。

空き家を使って何かにチャレンジしたい人（＝借り手）が、自分の「やりたい想い」をホームページ上に開示。記事を見た大家さんから、この人に貸したい！と思う借り手さんを指名してさかさま不動産に連絡。さかさま不動産が立会い、両者をマッチングするというもの。ここで一番大切にしているのがお互いの顔が見える関係づくりです。

物件を借りてやりたいことにチャレンジしたい人と、思い入れのある大切な物件を信頼できる人に貸したい大家さん。双方の気持ちに寄り添い、丁寧に関係性を築きながら、誰も想像しなかった物語をいくつも生み出しています。

さらに驚くべき点は、借り手さんと大家さんのどちらからも仲介手数料などの報酬を受け取らない、無報酬型のサービスであるということ。

〝知りたい〟をまるごと一冊に『さかさマガジン』誕生！

「無報酬でいったいどうやって運営しているの？」
「さかさま不動産が目指すものは？」

今までにないかたちだからこそ、さかさま不動産には、もっと知りたい！という声がたくさん寄せられているそうです。そこで、実際のマッチング事例の数々を紹介しながら、ユニークな仕組みについてわかりやすくまとめたZINE『さかさマガジン』が誕生しました。

マガジンの企画・制作は「さかさま不動産」の運営を行う株式会社On-Co（おんこ）。
代表の水谷岳史さんにうかがいました。

「さかさま不動産の仕組みや概念は、新しいビジネスモデルというより、そもそも僕らの原体験をきっかけに社会に必要性を感じたことから自然に生まれたもの。だから人に伝えるのがなかなか難しいのかもしれません。今までになかった仕組みだし、お金ももらっていないなんて言うと、ますますわけがわからない（笑）。僕らが自分の言葉で直接説明できているうちはよかったのですが、最近は僕らのいない場所で、いろいろな人がさかさま不動産のことを話題にしてくださることが増えてきました。そこにわかりやすい説明ツールがあったらいいなと思って企画しました。読んでくれた人たちからは、ああ、そういうことだったんだ！やっとわかった！みたいな反応もたくさんいただいています」

大家さんと借り手さんそれぞれの想いを紹介

「さかさま不動産」を介して出会った借り手さんと大家さん。それぞれの視点から想いを語ってもらったインタビューを中心に、４つのマッチング事例を取材し、印象に残るエピソードなどを詳しく紹介。

巻末には、水谷さんと、「さかさま不動産」をともに立ち上げたOn-Coの藤田恭兵さん、二人の対談も掲載。画期的な不動産サービスが誕生するきっかけとなった彼らの原体験や、無報酬で提供することによって生まれる物語や想像以上の価値、これから目指す未来のことなど、二人の想いが語られています。

僕らの理想は「さかさま不動産」が特別ではなくなること

「さかさま不動産と名乗ってはいても、僕たちは不動産業を生業にしているとは思っていません。空き家はいま社会の大きな問題には違いないけど、それを解決しようという目的で始めたのでもありません。僕らが大切にしたいのは、人と人とがつながることの価値。空き家問題をなんとかしたいのなら、借り手と大家、お互いの関係性を構築することがまず大事なんじゃないかなと思うんです。それと同時に、何かに挑戦する人たちを応援する気風ももっと広げていきたい。それが自然に社会問題の解決に繋がっていけばいいですよね。僕たちの考える価値観や仕組み自体が、新しいとか特別なものとかでなく、社会の当たり前になっていくことが理想です。そんな想いが詰まったマガジンです。ぜひ読んでみてください」

さかさま不動産からはじまるあたらしい物件さがしのかたちをまるごと一冊に。
仕組みをさかさまにしたからこそ生まれた、いくつもの物語を生き生きと伝える『さかさマガジン』は現在、On-Co事務所（名古屋市西区新道１丁目13―15昭和ビル（madanasaso）のほか、マッチング事業者店舗、さかさま不動産各支局などで無料配布中です。

「さかさマガジン」詳細
仕様：カラー24P
料金：無料
形式：ZINE　※自由な手法・テーマで制作されるカルチャー小冊子
内容：概要｜ローカルの抱える課題に対して先駆的に取り組む「オフィスキャンプ」坂本氏による空き家の現状解説｜マッチング事例（貸主借主の対談と両者の事情や想い）｜運営人の対談