【鹿児島県鹿屋市】身体と生活を整え、自力でケアできるサポートを一緒に / BODY & LIFE tuning AIKA 山下秀人さん
インタビュー
鹿児島県鹿屋市の『BODY & LIFE tuning AIKA』は姿勢改善や競技力向上、介護相談、在宅介護コンサルを通して日常生活をより快適にするためのサポート事業を行っています。代表の山下秀人さんに現在の事業に至った背景等を伺いました。
誰もが健康であるためのケアを
青春時代、サッカーに情熱を注ぐ日々を送られていた秀人さん。
しかし、高校入学し1年も経たないうちに、怪我の影響で選手としての道を断念してしまいます。
そんな秀人さんに母校の中学校から「コーチとして後輩たちの指導をしてほしい」と声がかかったのです。
“選手たちがなるべく怪我をしないように、楽しくサッカーをプレイしてほしい。だから、日常のケアをしっかりしなきゃ。”
常にその意識を持ちながら、現場に臨んでいるうちに
高校卒業後の選択として、スポーツトレーナーの道が見えてきたそうです。
そこでトレーナーを養成する県外の専門学校へ進学。
座学や実習、海外研修を2年間積み、鹿児島へUターンされました。
当時、鹿児島を拠点にスポーツトレーナーとして活動していた知人が運営する会社へ就職。
主にフィジカルトレーナーとして、スポーツに励む子どもたちを中心に指導にあたる日々を送りました。
その中で、常に頭の中をよぎることがあったのです。
「実は、専門学校時代に父を癌で亡くしたんです。そこから、癌のような重い病気や生活習慣病を改善させたい。その健康意識はずっとありました…。」
当時のことをそのように振り返ります。
「スポーツ競技力向上のためのトレーニング指導も楽しかったのですが、健康の視点で指導したい気持ちが強くなってきました。」
「そこで、そのために必要な健康運動指導士(※1)という資格を取得するための勉強を始めたんです。生活習慣病に対する運動指導を様々な世代の方にできるので、この資格が必要と感じまして。」
「資格取得後は、スポーツクラブに所属しながら、高齢者を含んだ大人を対象に指導にあたりました。」
「前の職場とは運動指導をする目的が違ったので、一から勉強し直す日々でした。」
社会人になり、8年程経ったある時のこと。
秀人さんに一つの転機が訪れます。
それは理学療法士として介護のデイサービス事業所で働いている友人からの一言でした。
“デイサービスを利用している高齢者の運動指導をやってみないか?”
それがきっかけで今まで経験のない介護の世界に足を踏み入れることになるのです。
※1 保健医療関係者と連携しつつ、安全で効果的な運動を実施するための運動プログラム作成及び実践指導計画の調整等を行う役割を担う者のこと。
ケアされる側だけではなく、ケアする側にも快適さを
実際、デイサービス中に運動指導にあたると
想定もしていなかったことが起きたといいます。
「介護サービスを利用される方々(以下:利用者さん)は、私が今まで指導してきた皆さんと違い、当たり前のことができない状態でした。」
「例えば、腕や足を上げる、近くの物をとる、といった何気ない動きができなかったんです。そんな場面に直面した時、代わりにどんな動きをすればよいか、提案することが全くできませんでした…。」
「でも、利用者さんも運動しないと、機能が低下し、日々の暮らしが辛いものになってしまいます。だから、また一から勉強し直そうと思ったんです。」
そこからは医学に近い内容の勉強に励む日々だったそうです。
「利用者さんは日常生活を送ること自体が大変な方が多いです。若くて健康だと気づきませんが、運動だと認識されていないことも、利用者さんにとっては運動になります。だから、それができるようなプランを提案しようと意識するようになりました。」
利用者によって体の動きの程度も違うため、
一人一人に合った目的を設定し、少しずつ利用者の抱える問題の改善に繋がってきたのだとか。
「洋服を着脱する・ハンガーにかけるといった細かい動作だったり、立ち上がる・体を起こすといった大きな動作だったり、利用者さんから“動きが改善した”と嬉しい声を聞くようになりました。」
「デイサービスでは利用者の体の状態に応じてレベルを分けて、一日の体操の回数を増やしました。そうすることで、全員参加できるようになり、意欲的にトレーニングに臨む人が出てきて。デイサービスに行くことへの楽しみができて、利用拒否も無くなってきたんです。」
「ご家族から“介助が楽になった”という声や、利用者さんに関わる専門職の皆さんの評価も上がったことで気づいたんです。“自分のやっていることはケアされる側だけではなく、ケアする側も快適にするんだ”って。」
「その事業者では8年間勤務しました。その中で、医療保険や介護保険といった制度の壁があることで、できないことがあることも知ったんです。」
「それなら、制度では行き届かないところに、自分の力を活かして、誰もが快適に健康な毎日を送れるサポートができるのではないかと思い、独立することにしたんです。」
身体と生活を整えるサポートを
一昨年10月に『BODY&LIFE tuning AIKA』として独立。
鹿屋を拠点に出張トレーニングや訪問相談、自宅を開放したパーソナルトレーニング等、精力的に活動展開されています。
屋号の由来について伺いました。
「身体が整っていないと生活は快適にはなりませんし、いくら身体が元気であっても、生活環境が悪ければ身体の状態は悪化してしまいます。」
「そこでコアチューニング(※2)という資格を取得し、お客様の身体と生活環境を整えることで、快適に毎日を送ってほしいと想いを込めました。」
「AIKA(アイカ)は娘二人の名前と愛犬の頭文字を組み合わせたものです。私にとって、仕事をする上でも、生活する上でも、家族を大事にしたい気持ちが強いのもありまして。」
「介護保険を利用されている方であれば、制度以外のところでお困りのところがあれば、利用者さんのサポートや介護する側の環境を整えるような提案をさせていただいています。」
「子どもたちや若い方であれば、まずは自身の身体と向き合い、状態を知り、そこからどのように身体を使っていくのか。より楽しく動かすことができるのか。そんなサポートをしているところです。」
※2 体幹を整えることで身体が本来、健康であろうとする力を整えること。
子どもたちに対する運動指導を、例を挙げてお話してくださいました。
「子どもたちに運動を教える時は、決まったことはせずに、一人一人が自分なりの動きを楽しむことが一番だと思っています。」
「運動音痴といわれる子は、その子自身に問題があるのではなく、運動する環境や機会がないといったことが問題だったりするんです。」
「そこで親御さんに一緒に参加していただき、運動指導をするようにしています。普段私がいない時でも、日常の中で、ご家族で一緒に運動習慣を身につけることを狙いとしています。」
「そうすることで身体を動かすことが好きになり、運動に対するネガティブなイメージを払拭できると考えています。家族内の1つのコミュニケーションにもなったら嬉しいですよね。」
「実際、運動する場所が少なくなってきて、エリアによっては公園ぐらいしか遊ぶ場所がないと耳にすることもあります。みんなで楽しく身体を動かすことが、ある程度大人になっても継続できるように、一人一人と向き合いたいです。」
自力で自分の身体をケアできるように
「自分の身体を、他力ではなく、自力でケアできるようになってほしい。そんな想いで一人一人と向き合っています。」
自身が大切にされていることを
そのように力強く答える秀人さん。
「最初の段階として、そのためにそれぞれが何をしないといけないのか。何が必要なのか。それが分からない方がほとんどなので、一緒に伴走しながらアドバイスしています。」
「実は、お客様にはトレーニング後に宿題をそれぞれに出しています。単にトレーニングをして帰るのではなく、次のトレーニングまでにご自宅でできることを必ずやっていてほしいからです。」
「自分でできることは運動だけではありません。身体を休めることもですし、そっと撫でてあげることも一つの方法です。その小さな積み重ねが自力のケアに繋がってくると思っています。」
「トレーニング自体を重く捉えてしまうと前向きに取り組めなかったりします。だから、基本的にいつでも・どこでもできる、そして、ながらでもできる簡単な運動を皆さんにはお伝えしているところです。」
現在、ご自宅の一室を開放しパーソナルトレーニングを実施されています。
将来的にはスタジオやサロンといった拠点を作ることを考えてらっしゃるのだとか。
そんな秀人さんに今後の展望について伺いました。
「スポーツでも、日常生活でも、何をするにしても自分の身体をイメージ通りに動かせるかどうか。そこをしっかり意識した取り組みが必要だと思っています。その上で、それぞれがやりたいことを選択し、パフォーマンスを発揮できるようにしたいです。」
「今は鹿屋を拠点にしていますが、大隅半島だけではなく、鹿児島県内全体で同志を集めて、一緒に活動を展開できたらと考えています。」
「そのために、似たような考えの方とお話をする機会を作り、コミュニティを派生していきたいです。介護や医療、スポーツの現場でモヤモヤされている方は多いと思うんです。」
「私自身もですが、一人ではできないことばかりです。100人いたら100通りの伸ばし方があります。だからこそ、職種や地域を越えて、いろんな方と一緒に快適な暮らしができる日常を整えていけたらと思います。」
屋号 | BODY & LIFE tuning AIKA |
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備考 | ●SNS ●お問い合わせ先 電話:080-1723-4112 ●山下さんがお持ちの資格 健康運動指導士 介護福祉士 ボティケアセラピスト コアチューニングトレーナー 姿勢コーディネーター 文部科学省認定 体軸体操指導者 文部科学省認定 体軸ダッシュトレーナー |