【福井市】新栄商店街探訪 程よい距離感で心地よい-絵画教室&アトリエ「アート家イロ」
連載
新栄商店街には個性的なお店が立ち並んでいます。一体、どんなお店があるのでしょうか?real local 福井では、実際に訪れて店主さんの声を聞いてみることにしました。2店舗目は絵画教室&アトリエの「アート家イロ」です。主宰の源藤一代(げんとうかずよ)さんにお話を伺いました。
新栄商店街の動きについてはこちら↓↓↓
・新栄商店街のこれまでとこれから
https://www.reallocal.jp/105651
・新栄商店街を陰ながら支えて
https://www.reallocal.jp/106379
【目次】
・色々な人たちが描くことや作ることを楽しいと感じられるように
・子どもたちが新栄に入る余白を
色々な人たちが創作活動を楽しいと感じられるように
小さな間口のお店が立ち並ぶ新栄商店街のメイン通り。新栄テラス※が見える場所に位置するのが絵画教室&アトリエの「アート家イロ(アートヤイロ)」です。
室内に入ると画材やアート作品など、「これは何?」と好奇心をくすぐられるものに溢れています。源藤さんが好きなものはカラフルなビタミンカラーが多く、見ているだけでこちらも自然と明るくワクワク気分が上昇!訪れた日はちょうど子どもたちの教室の日で、みんな真剣な面持ちで(でもとても楽しそうに)絵を描いていました。
※新栄テラス:コインパーキングに人工芝が敷かれ、ベンチや植物が置かれた広場。平日は休憩スポット、週末はイベントが不定期で企画されるまちなかのポケットパーク。
源藤さんは違う場所で頼まれて絵画を教えていましたが、その教室がおやすみになるのをきっかけに自分の主宰する絵画教室&アトリエを開くことに。場所を探していた頃、新栄テラスで開催されていた日本酒のイベントに参加します。その時たまたま『店舗貸します』の張り紙を発見!それがご縁で新栄商店街に居を構えることになりました。
「元は新栄商店街の別の場所でした。新栄は知っていたし、イベントやお店に出入りしていたのもよかった。以前の場所は2階だったのでひっそりとやっていましたが、3年前にこの場所に移動してから人通りも多いのでいろんな人が覗くようになり、知名度も上がりましたね」。
源藤さんが初めて本格的な絵画に触れたのは小学校の時。油絵に出会ったのがターニングポイントでした。
「もともと絵を描くのは好きでした。小学校の校長先生が美術の先生で、夏休みに六呂師高原にある青年の家で油絵合宿があったんです。3年生か4年生の時だったかな。元々水彩絵の具を重ねて塗るようなタイプだったので相性もよかったのかも。そこから現在はアクリル画をメインにずっと創作活動を続けています」。
中学は美術部に所属。高校は美術の授業のない商業高校でしたが、なぜかあった美術室の一角で絵の好きな友人たち5、6人と集まって活動していたとのこと。受験デッサンの教室に通い、関西の美術系の短大に進学。大学進学から卒業して2年程ずっと創作活動に明け暮れた日々を送りました。
「大阪の短大で、デザイン専攻だったんですけど、教授が抽象絵画の専門で。そこで現代美術の世界に出会いました。そのころよく一緒にいた少し年上の方たちが現代美術や寺山修司などの演劇の好きな人たちで。周りの人たちに本当に影響を受けましたね。短大を卒業した後はそのまま大阪に留まって、月1のペースで個展やパフォーマンスを行っていました。バイトをしながら2週間くらいの個展を月1回開催するという訳の分からない生活でした(笑)」。
その後福井にUターンし、仕事をする傍らアート活動を続けている源藤さん。コンスタントに年1、2回は各地で個展やパフォーマンスを送っています。この原動力は一体どこからやってくるのでしょうか。
「なんでしょうね。私にはそれしかないからかな。例えばみんながスポーツ観戦したり、お酒を飲んだりするような。娯楽を楽しむのと同じようにアート活動をしているだけです」。
「自分の家で描くのもいいけれど、こうやって教室で描くのが楽しい」と生徒さんの一人が教えてくれました。源藤さんはよい距離感を保ちながら優しく見守ってくれるので、みんなそれぞれ自分のペースで自由に作品をつくっています。好きに描いていいんだ!私も見ていてちょっぴり絵を描きたくなりました。
子どもたちが新栄に入る余白を
新栄商店街の魅力についても伺いました。
「新栄商店街は駅前だから利便性がいいですね。子どもたちも大きくなると一人でバスや電車で来られます。あとはありがたいことに何かあったら助けてくれる人たちがいる。ずっとここに居ないから、しがらみがあまりないのもいいのかもしれないです(笑)。程よい距離感がいいのかな。私がいると訪ねてきてくれる人がいるのもうれしいですね。近くのジムにも通っているので、生活の中心はこのあたりで済ませています。ジムの仲間たちもここを覗いてくれたりするのでちょっとおしゃべりのできる憩いの場みたいになっています」。
取材をしていて、通りを行き交う人たちの程よい雑踏が聞こえてきます。近隣にクラフトビールの専門店やアイリッシュパブ、インドネシア料理店などがあるので、多国籍でとてもにぎやかな時もあるそう。
「大人たちが昼間から楽しそうに呑んでいるのを子どもたちが知るのもいいと思う」と源藤さん。世代間の交わりが少なくなっている今、こういう場所はもしかしたらとても貴重なのかもしれません。生徒さんの中には石川から通ってくる高校生も。コロナ禍で通えなくなってしまったけれど、年度末の作品展には作品を出してくれています。ここがきっと心地よい場所で、源藤さんの人柄があるからでしょう。
「子どもたちが新栄に入る余白というか、将来的にまた来ようと思い出してくれるといい。今の子どもたち大人になった時にこの雰囲気のある新栄商店街がまだあるといいなと思います」。源藤さんと話しているとつい時間を忘れ、のんびりしてしまいました。小さな子どもたちが自然とまちなかに居る風景が、アート家イロさんをきっかけに広がるといいなと思います。絵を描きたくなったり、少し教室を覗いてみたいと思った方はアート家イロさんのホームページを見てください。
次も新栄商店街のお店を引き続き紹介していきます。どうぞお楽しみに!
屋号 | アート家イロ |
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URL | |
住所 | 福井県福井市中央1丁目16-4 |