【名古屋市中村区】 名古屋にちなんだ本だけを集めた 「NAgoya BOOK CENTER~ナゴヤブックセンター」
地域の情報
名古屋駅太閤通口を出てすぐの中村区椿町。古くから「駅西」と呼ばれてきたこのエリアで、50年以上前に建てられた3階建てのビルをリノベーションし、新しい文化・情報発信の場として蘇った「ホリエビル」。
祖父が建て、父から引き継いだこのビルを斬新なアイデアで再生した堀江浩彰さんへのインタビューに続き、今回はその一階にある、地元・名古屋に関する書籍に特化した新刊書店「NAgoya BOOK CENTER(ナゴヤブックセンター)」をご紹介します。
コンセプトは『名古屋特化型書店』
昨年末にオープンした「NAgoya BOOK CENTER(名古屋ブックセンター)」。
観光ガイドブックはもちろん、名古屋を舞台にした小説や、名古屋にゆかりのある作家の漫画、エッセイなど、幅広いジャンルから地元・名古屋や愛知に関する本だけを集結した、名古屋市内でも珍しい、ユニークなコンセプトの書店です。
2017年に、新しい文化・情報発信の拠点として「ホリエビル」をリニューアルした堀江浩彰さん。今回の「NAgoya BOOK CENTER」のプロデュースも堀江さんによるものです。
新幹線の改札口から歩いて数分。まさに名古屋の玄関口とも言える場所で、50年以上も前から歴史を重ねてきた「ホリエビル」に新たに書店を開いた想いなどをお聞きしました。
本屋の店主にあこがれて
堀江「僕は昔から本好きで、本屋さんも大好きでした。ホリエビルを再生した時も、いつかはここで本屋をやってみるのもいいなという想いがありました。店番をしながらハタキでパタパタする、そんな本屋のおじさんに憧れていたんです(笑)。
実際、本は流通の仕組みが複雑で、簡単には始められないことも知っていましたが、昨年、本の取次の方とご縁ができて、いろいろ教えてもらったり相談させてもらううちに本気でやってみようかなと思うようになりました。この場所でやる意味も考えて、このようなスタイルのお店になりました」
しかし、今の時代に個人で新刊書店を経営するのは決して容易ではなく、取次や出版関係、さらには書店経営者の人たちからも、やめておいた方が良いという意見が圧倒的だったそう。それでもあえてオープンに踏み切った堀江さん。そこにあった想いとは…。
堀江「数年後にリニア中央新幹線の開業を控えたこのエリアは、今後ますます注目されていくでしょう。開発によって目まぐるしく変わっていく状況を前向きに受け入れつつも、やはり僕にとっては昔から馴染んできた大切な場所でもあります。
昔ながらの〝駅西〟の持つ独特の魅力やまち並みが変わってしまうことに寂しさも感じています。だからこそ、これからは地元の人だけでなく、他所から訪れる人たちにも名古屋の魅力を知っていただきたい。ここがそんな場所になればという思いでホリエビルを作り、さらに名古屋に特化した書店があることで、文化や歴史など名古屋の情報をたくさんの人に知ってもらえたらと思っています」
今後の夢は出版社
名古屋の玄関口に名古屋の文化と情報の発信拠点を、との想いで念願の書店をオープンして半年あまり。これからの展開について堀江さんは「今後は出版業にも携わっていきたい」と、構想を語ってくれました。
自社で出版した本を店頭で販売し、ホリエビルの2階のイベントスペースで関連イベントなども展開できたらとも考えているそうです。
最後に、そんな構想のきっかけの一つとなった印象的なエピソードを紹介してくださいました。
堀江「本屋を始めてしばらくした頃、あるおじいちゃんが、店に自費出版された本を持ち込んでくれたことがありました。思いを込めてせっかく自分で本を作ったのに、流通の仕組みの複雑さなどからまちの書店に置いてもらうことができなかったようです。
うちはもともとデザイン会社だし、装丁なども自分でできるので企画さえあれば本は作れます。小さな出版社を立ち上げたとしても、書店があるのでたった一軒だけだとしても、ここでなら確実に流通させることができるんですよね。そんなことから出版のことを具体的に考えるようになりました。
取次の方との繋がりを生かして、将来的には自分で企画した本を出版できる良い方法を考えているところです。企画のアイデアもいろいろ浮かんでいますよ。自分の好きなことを実現する場所として始めたホリエビル。街のためとか誰かのためというより、一番楽しみにしているのは僕自身なのかもしれませんね(笑)」