【福井市】新栄商店街探訪 このまちに暮らし、楽しんで仕事をするーリラクゼーション整体「Canade」

新栄商店街には個性的なお店が立ち並んでいます。一体、どんなお店があるのでしょうか？real local 福井では、実際に訪れて店主さんの声を聞いてみることにしました。5店舗目はリラクゼーション整体の「Canade」です。店主の半田さんにお話を伺いました。

【目次】
・きっかけは自分の身体と向き合うことだった
・仕事とプライベートを分けずに楽しむ

きっかけは自分の身体と向き合うことだった

古着屋さんやコーヒーショップ、英会話教室など様々な店舗が小さな間口で軒を連ねる新栄商店街のメイン通り。半田さんの経営するリラクゼーション整体の「Canade(かなで)」はその中心にあります。この場所に開業したのは8年前ですが、半田さんは小さい頃から福井駅前が馴染み深い場所だったそう。

「もともと父親が観光業で、お土産の卸問屋をしていたんです。昔は駅前に個人のお土産屋さんがたくさんあって、そこに商品を納めていました。だからここにお店を構えた時は新栄商店街の方々に『半田さんって半田商事の半田さんか？』ってよく言われました。うちの父親は『おれは街っ子やで』とよく言っていましたね」。

整体をはじめたのは自分の身体の不調を治すことがきっかけでした。
「僕自身、一番体重が重い時で115kgあったんです。今から17年前になりますが、子どもが生まれる前に奥さんと旅行に行こうと計画していたら、体調が悪くなって。病院に行ったら、脂肪肝と慢性肝炎の診断をされました。そりゃその体重じゃなるよね(笑)。ヘルニアに坐骨神経痛、ぎっくり腰も経験した。115kgの身体でサッカーもしていて、それで両足の靭帯ものばしたり、切ったり。満身創痍、ボロボロだった。よく知っているお医者さんに『半田さん、このままいったら死んでしまうぞ。子ども生まれるなら長生きしなきゃあかん。死んだらあかん』と言われて。これをきっかけに自分の身体を見直すことにしました」。

1年くらい治療を続けながら、整体にも通いました。学生時代からスポーツをしていたので整体自体にも興味を持っていた半田さん。その時に通っていた整体の方が、「僕が行っていた整体学校が福井にもオープンするから一度見学してみたら」と言ってくれたことがターニングポイントでした。
「仕事をしながら学校に通って開業にこぎつけました。この業界はやろうと思えば明日からでもやれるけれど、5年続くのが5％と言われている業界です。家族みんな自営業という環境だったから、僕も商売人で。たぶんサラリーマンや公務員に向いていないんです。でも1年目は本当に苦労しましたね。青年会議所にも所属していたし、町内でも色々していたので知り合いがはじめは来てくれる。その紹介で知人の方が来てくれる。でもそこから2回3回と通ってくれるかということと、新規様の獲得がむずかしかった。妻が『技術的には私が保証するから大丈夫だ』と言ってくれたので頑張れましたね」。

「ネット検索に特化して、駅前で整体やマッサージ屋さんを調べる時に検索上位にヒットするようにしました。よく『この値段でやっているね』と言われるけれど、お客さんが来てくださるのでいいんです。僕らの業界はたくさんのデータを取ることが大事。僕のお客さんは駅前だから、職場が近くにある県庁や市役所、金融関係の人。あとは旅行で来た人が検索していらっしゃいます。基本的には継続して通って治していきたいけれど、旅行の方は1回で改善したいし、色々なニーズに対応できるデータが必要になってきます。だから開業して10年間は値段を安くしてなるべく多くのお客さんに来てもらってデータを集める。今8年目だから、自分ではもう少しで一丁前になれるかなと思っています」。

仕事とプライベートを分けずにまちなかを楽しむ

お店の近くにある柴田神社の氏子会や自治会など地域の活動に積極的に参加している半田さん。朝昼晩、自転車で駅前を行き来する姿をよく見かけます。

「駅近くに住み始めたのは、子どもが小学校に上がる11年前から。商売は良い時も悪い時もある。自治会や柴田神社の氏子会に関わっているのは商売のメリットとかじゃなくて、自分がここで楽しみたいだけ。僕はまちのなかで色々な活動をしたほうが面白いと思っています。よく遊んでよく仕事する。仕事とプライベートを分けない。例えば遊びに行ったあとに同窓会の幹事をして、新栄テラスでビアガーデンの準備。そのあとはここで仕事をするみたいな(笑)。色々するから仕事も楽しめると思います」。

高校生になった娘さんは、「コノマチクラス」という学生まちづくり班の活動に参加したことを楽しそうに報告してくれたそう。きっとお父さんの日常の後ろ姿をみていたからでしょう。

ここでの仕事や遊びを満喫している半田さんと話していると、こちらも前向きな気分になってきます。ここ数年、新しく古着屋の若い人たちのお店が出来たり、新栄テラスのイベントをきっかけに店舗を開いた人たちがいることがとてもうれしいと話してくれました。

「ぼくらもそうだったものね。8年前、2年間の家賃補助と半分工事費が出る補助金があった。その時はそれで出店した人たちはみんな２年で辞めると思われていました。僕は辞めなかったけれど、実際辞めた人たちもいる。でも今考えると、辞めても本当は別にいいと思う。やってみたというのが大事。みんながまずやってみればいい。そうしたら次も入りやすくなるし、できるんだと分かる。だから今回もこの新栄にそういう動きがあるのは新しい子たちにとってはチャンスだと思うんですよね」。

「昔よく父親が言っていました。『再開発、駅前活性化っていっていたときに、本当はおまえら20代30代が商売をしなきゃ。店を出して商売せんとあかん。駅前活性化と言っているのにみんな自分の店を持っていない。住んでもいない。どっちかやらんと』。僕も40歳過ぎてからですけどその言葉がよぎったんですよね。もちろん長年ここに居る人の意見も大事だけど、この商店街の20年後の未来を語るには、駅前で起業する20～30代の子たちが増えて、会に入って意見を言ってほしいですね。きっともっとまちは面白くなるかなと思うよね」。

なんでも否定せずに受け入れてくれる半田さん。その器の広さに思わず色々話し込んでしまいました。リラクゼーション整体の腕前はもちろん折り紙付きですので福井駅前で身体の不調でお悩みの方は「Canade」へお問い合わせください。

次も新栄商店街のお店を引き続き紹介していきます。どうぞお楽しみに！