【千葉/いすみ市】「地方で書いて暮らす」を学ぶ 4日間0円のライター・イン・レジデンス
こんにちは。「食と地域を耕す編集者」の磯木淳寛です。
私は、全国の「食の分野に関わる人」や「地域で個性的な活動をする人」を取材し、雑誌などに原稿を執筆することを仕事にしています。
活動の拠点は2013年に17年間住んだ都内から住まいを移した千葉県いすみ市。電車は1時間に1本だけの、海と山と田んぼの町です。サーファーは多いですが近所に人はほとんど歩いておらず、夜7時にもなると真っ暗になるような場所です。
私自身も移住者ですが、ある頃から「田舎暮らし」「二拠点居住」「地域活性」といったものがメディアで特集されるようになり、自分らしい仕事とライフスタイルを求めて地方で暮らす、という価値観が少しずつ広がっていることを感じます。
実際、こちらに来てから「どうやったら移住できるのかな?」「ライターってどうやってなるの?」と聞かれることも少なくありません。また、地方だからこそできる面白い活動をしている人も全国にたくさんいます。
そこで私は、自分自身のできることと、これまでに得た知見を伝えることが後に続く人へのちょっとした助けになるかもしれないと思い、2015年から「ライター・イン・レジデンス 『地方で書いて暮らす』を学ぶ4日間」という取り組みを始めました。
ライター・イン・レジデンスとは、「一定期間地方に滞在し、集中して執筆に取り組むプログラム」です。海外では主に自治体などが主催者となり、小説家やプロのライターを対象として行われるケースが多いです。たとえば作家にその地域を題材に書いてもらうことで、その魅力が外部に発信されるきっかけになれば、と考えられている模様です。
でも、もしこれを私が主催するなら、参加者は小説家などではなく、書きたいという意志を持ちながらもまだ文章を書くことを仕事にしていない「未来の書き手」にしたいと思いました。 人の話を聞いて書くという行為は、取材者自身にとっても見識が広がり、また価値観が変わるきっかけとなったりもするもの。だからこそ、まだその経験が少ない人たちに「こんなに楽しくて学びになることを知ってほしい」と以前から思っていたのです。
その他の動機としては、世の中にメディアが氾濫する中で、スキルだけでなくしっかりと志を持ったライターが増えていかなければいけないと感じていたことです。人は言葉に影響されるからこそ、言葉を発信する側の書き手はその意識を持つことが必要です。
こうしたことを伝え、実践で取材と執筆を経験しながら希望者にはプロのライターとなる入口にしてもらい、さらにその過程で書き手と地域が共に高め合う関係性をつくるというのが、私の考えた「ライター・イン・レジデンス 『地方で書いて暮らす』を学ぶ4日間」です。
ここではあらかじめプログラムは用意していますが、全体の約半分くらいは参加者の個性やスキルに応じて、「意味を変えずに文章を入れ替えるリライト・テクニック」や、「さらに核心に迫るためのインタビューとは」や「マネタイズの考察」など、その場で臨機応変にプログラムを再編成していきます。
参加者は、4日間で文章の書き方とその周辺にある大切なことを学び、また地域で活動する人に実際にインタビューをしてみる中でリアルな暮らしをも知ることができます。と同時に取材相手の活動から大いに刺激も受けていくでしょう。そして最終的には、参加者の執筆した原稿がウェブマガジンに採用されるところまでをサポートします。
【ライターインレジデンスのプログラム概要】※一例です。
1日目/
1. ライターという仕事で得られるものは?
2. なにを考えてインタビューする?
3. インタビュー&執筆実践
4. 良い文章のための要素とは?
5. 要素をおさえると文章はここまでよくなる
2日目/
1. タイトルとリード
2. 核心に迫るためのインタビュー
3. 文章力を補完するものとは?
4. 企画&マネタイズを考える
5. メディアリテラシーを考える
3日目/
1. 取材前にすることは?
2. 地域で活動する人への取材
3. 取材振り返り
4. 執筆前にすることは?
5. 執筆
4日目/
1. 執筆
2. 振り返り
2015年5月に行った第2期のライター・イン・レジデンスでは、東北や関西からの応募を含めると、定員4名に対して6倍の申し込みが来ました。またその中には私自身が「会ってみたい」と思う、興味深い活動を行っていて人も多く、定員オーバーでご参加いただけなかった人を対象に、スピンオフ企画として1日限りの交流会を別に開催したほどです。
今後の開催予定については、私のホームページで告知いたしますので、ぜひチェックしてみてください。
そして、これからは開催場所を日本全国に広げていきます。ご賛同いただける方や一緒に何かしたい方がいましたらご連絡いただければ嬉しいです!