愛と熱気で溢れる“おおすみで奏でるROCK FESTIVAL 2023”
イベントレポート
昨年11月、霧島ヶ丘公園自由広場を舞台に『おおすみで奏でるROCK FESTIVAL2023』が開催されました。「みんながミュージシャン、みんなが主役」をコンセプトに大隅半島の様々な人の手によって手がけられました。その背景などを事務局の坂口潤成さん、小園淳之輔さん、乙藤るみさんに伺いました。
愛と熱気に溢れた音楽フェスを、おおすみの大地で
新型コロナウイルスが蔓延し、
人との接触やイベントが自粛されていた2021年の春。
坂口さんは動画サイトで、ヨーロッパで過去に開催された『Rockin’1000』の動画を見つけ、感銘を受けたといいます。
「三密という言葉が当たり前に行き交っていた真っ只中に、1000人のミュージシャンが同じ場に集まり、みんなで演奏している映像を見たので一際感動しました」(坂口さん)
「しかし、そのようなことをしたくてもできない世の中に対する歯痒い気持ちも同時にありました。だからこそ、みんなで集まり音楽を奏でることの素晴らしさを再認識しました。」(坂口さん)
その後、家族や仕事仲間にその感動を
“いつか、こういう場をつくりたいよね”と涙ながらに伝えたそうです。
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そして、時が経ち、2023年の春。
スタッフの乙藤さんから連絡があり、県が主催となったロックフェスが開催されることを知ることになります。
“どうする…?”
“いや、これはもうやるしかないでしょ!”
坂口さんにとって、まさに実現したかった取り組み。
すぐに決意を固め、仕事仲間を招集しました。
自身の気持ちを伝えると、すぐに答えが返ってきました。
“NOという選択肢はない!一緒にやろう!手を上げよう!”
事務局が立ち上がり、
イベント開催に向け、動き出します。
単に音楽を楽しむだけではなく、
「おおすみ」の大地で生きる人たちの魅力を知ってもらうために、
半島内の市町村や飲食店、クリエイターを巻き込んだ
愛と熱気に溢れた音楽フェスがここから誕生していくことになります。
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音楽を楽しみ、音楽でつながるアットホームな空間
ボーカル部門、ギター部門、ベース部門、ドラム部門に分かれ
エントリーした総勢500人が課題曲を一斉に演奏・歌唱。
音楽の経験あるなし問わず参加できるカタチで
純粋に音楽を楽しみ、音楽でつながる参加型音楽イベントという形式にしました。
「課題曲は、大隅半島にゆかりがあるものをセレクトしました。会場は、バラ園が併設しているので、バラにちなんだ曲や、内之浦のロケットや輝北の天球館にちなんだ天体の曲だったり。」(小園さん)
「運営や当日のボランティアメンバーも、信頼する仲間たちが集まっていたので、世代関係なく楽しめるアットホームな空間になるだろうと確信していました。」(坂口さん)
午前中のリハーサル、音やリズムを全員で確認。
会場全体の士気も高まり、そのまま午後に本番がスタートします。
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天候は快晴、
錦江湾の海をバックに
演奏と歌唱ができる最高のステージ。
時間が経つにつれ
前のめりに演奏する人もいれば、
初めまして同士で肩を組んで演奏したり、
興奮した観客が、途中からボーカル部門に飛び込み歌い出すような光景もみられました。
「一番意識していたのは、みんなの心をひとつに、ということでした。」(坂口さん)
「当日、youtubeで生配信をしていました。後になって見てみると、皆さんの笑顔が120%出ていて、それだけ楽しんでもらえたんだなと感じました。」(坂口さん)
「関わってくれる仲間には何度も僕たちの想いを伝えてきました。だからこそ、彼らも楽しみながらそれぞれの役割を担ってくれたし、それが参加者のみなさんにも伝播して、最高の空間がつくれたんだと思います。」(坂口さん)
乙藤さんも、会場で感じた熱量をこのように振り返ります。
「運営側でしたが、最後の曲になると体が勝手に動いて、みなさんに混ざり、ジャンプして歌っていました(笑)。」
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小さなことでも、明日からの変化に
「足を運んで下さった方が、あの空間で何かを感じて“今日から自分も何か始めてみよう!”一人でもそう思ってくれたら最高だね・・・仲間と話していました。開催後、参加者のお一人から『コロナ前から活動できていなかったバンドのメンバーに連絡するきっかけもいただきました。そして、今度の日曜日、久しぶりにスタジオに集まることになりました。指先もだいぶ硬くなってきましたし。』(原文)とメールをいただいた時は、涙で最後まで文章を読むことができませんでした。」(坂口さん)
「今回開催してみて思ったのは“参加人数が多ければいいわけではない”ということでした。」(小園さん)
「たとえ人数が少なくても、そこに集まった人たちから発信されたものを通して、大隅半島の魅力や可能性を感じてもらえるなら、それでこそ、このようなイベントをやる意味があるのではと思っています。」(小園さん)
参加者や観客の前に指揮者としてステージに上がり
会場全体の熱量や空気の変化を感じた小園さんだからこそ
発せられた言葉のように感じました。
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イベントを通して一番印象に残ったのは熱気と愛に溢れていたこと。
それは、事務局・参加者・観客関係なく
その場にいる全員から感じられました。
故郷への想い。
仲間たちへの信頼。
音楽を通して人とつながれる喜び。
同じ空間をつくる一人ひとりへのリスペクト…etc。
背景や肩書きが違えど、
さまざまな要素が絡み合い、
それらがひとつとなって音楽として奏でられたからこそ
あの空間が生まれたんだと思います。
音楽をきっかけに
おおすみの大地で生きる人たちのこれからが
どう変わっていくのか。
一人ひとりの変化はほんの小さなものかもしれない。
それでも、その小さな変化が一つでも増えることで
おおすみで繰り広げられる日常の景色が
さらにワクワクするものになるのではないか。
そんな予感がしてなりませんでした。
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