【鹿児島県志布志市】思考を現実化し、一人一人が幸せだと思えるまちづくりを / 株式会社SOL creaters 坂口潤成さん
インタビュー
鹿児島県志布志市を拠点に映像制作・音楽制作・ドローン・気球・企画運営事業を展開されている『株式会社SOL creaters』代表の坂口潤成さん。そんな坂口さんから、現在の事業に至った背景等を伺いました。
大好きなまちのことを発信するモノをつくりたい
志布志で生まれ育った潤成さん。
幼少期の頃から、音楽好きのご両親の影響で音楽に触れる機会が多かったといいます。
フォークミュージックからオーケストラまで、幅広いジャンルを聴き、次第に音楽は親しい友のような存在となっていきました。
「両親によると、僕が初めて作詞作曲をしたのは3歳だったようです。それを大声で毎日歌っていたと(笑)。」
「小学生になるとお小遣いを少しずつ貯めて、数ヶ月に1回、CD1枚を買っていました。」
特に、映画音楽や電子音楽に強い関心を寄せていたそうです。
「小学校の理科の時間に観る教材ビデオの映像から流れるBGMの電子音楽に鳥肌が立ったんです。つい、手を挙げて、先生に“この曲は誰が作曲したんですか?”と質問してしまったこともあります(笑)。」
「生活のあらゆる音の中で電子音が好きでした。その話を大人にすると“君はテクノ音楽が好きなんじゃないか?”と教えてくれました。」
「ある日、鹿児島市のCDショップに行き、店員さんに“お兄さんを信じるので、テクノのアルバムを1枚売って下さい!”と握りしめていた3000円を渡しました(笑)」
「お兄さんは驚きながらも、オムニバスのアルバムを選んでくれました。それ以降自分の音楽への探究が始まりました。」
中学卒業後は県外の高専へ進学。
バンド活動やロボコン、熱気球同好会にも所属するなど精力的に活動し、さらには、学外にも飛び出し、まちの人とイベント運営をするなどの経験を積まれました。
「10代の早い段階から都城市のイベント運営に関わるなど、貴重な経験をさせていただきました。それが、今の仕事に活かされているように思います。」
当時考えられていた将来の進路についても教えてくださいました。
「幼少期からまちの行事に参加させてもらって、地元を愛する気持ちや周りの大人への尊敬の念が徐々に強くなっていきました。僕にとって、地元でまちおこしをしているお兄さんお姉さんこそヒーローに見えました。」
「大好きなこのまちを発信するモノをつくりたい。今よりもっといいまちにしたい。その気持ちは、小学生の頃から今までずっと変わりません。」
「高専を卒業したら、地元の市役所に入ろうと思っていました。それを市役所の方に話すと“本気で地元のことを考えているなら、まずは一度外へ出なさい”と背中を押してくれたんです。」
高専卒業後は県外の民間企業に勤めることになります。
思考は現実化する
社会人になってから勤めた民間企業は6年で退職。
会社員として勤めながらもずっと変わらなかったのは地元に対する想いでした。
“地元に帰って、まちおこしをしたい”
「退職について会社の上司から説得されても、その想いはブレませんでした。使命感のようなモノだったと思います。」
しかし、鹿児島に戻られた後は、いくつかの民間企業に勤めるも心身のバランスが崩れ、精神病院へ二度入院することになるのです。
「入院して気づいたことは“人の思考・発する言葉・行動は一致していないと心身が壊れていく”という事実でした。」
「だから、それらが一致して過ごせる日々は大変幸せなことですし、3つのプロセスに矛盾が生じないよう意識したいと思えるようになったんです。」
「自分の経験をもとに心理カウンセラーの資格を取得し、仕事に関係なく、相談にいらっしゃる方のお話を聴くようになりました。」
「カウンセリング=傾聴です。その技術は目の前の方が『今・ここで・何を伝えようとしているのか?』を妨げずに受け入れるスキルです。私を構成する、とても大きな要素になっています。」
退院後は会社員を続けながら、映画監督・安田潤司氏のもとで修行をされたといいます。
出会いは安田氏が監督した志布志市のPR映像に参加させてもらったことでした。
「僕の作品を見た安田さんが“会って話がしたい”と言ってくれたんです。」
「話をしているうちに“今すぐ仕事を辞めて、こちらの世界へ来た方がいい”と声をかけてくれました。そこから毎日のように安田さんのもとへ通い、映像制作技術について学びました。」
通われていたのは多機能型情報発信拠点S.O.L(sisi-organic-laboratories)。
当時のS.O.Lは、近隣のクリエーターやアーティストが集うようになり、志布志市のPR映像作品制作・フリーマーケット・気球イベントなどを開催されていたのだとか。
そこで、安田師匠の厳しい指導を受けながらも着実に力をつけていかれました。
「頭に思い浮かんだモノは現実になる。つまり“思考は現実化する”ということを特に教えていただきました。」
「3年経ち、安田さんや家族が背中を押してくれたこともあり、独立し、生業として作品をつくる覚悟ができました。これが、天職として生涯を捧げる作業だと思いました。」
まずは映像・音楽制作事業、気球事業からスタートし、
志布志を拠点に新しい挑戦が始まったのです。
思考・言葉・行動の一致がもたらすモノ
起業されてから最初のお仕事は、あるご夫婦からの動画作成依頼でした。
一緒に写真を選び、一枚一枚のストーリーをお聴きし、それらを編集。
納品後は、ご夫婦からの連絡があるまで不安でいっぱいだったといいます。
「“どうだったかな?どうだったかな?”とドキドキが止まりませんでした。」
「すると、クライアントのご夫婦から電話がかかってきたんです。泣きながら“潤成くん、ありがとう”という言葉をいただきました。」
「お金をいただき、涙を流しながら“ありがとう”と言われる仕事。こんなお仕事が他にあるのだろうか?」
「人に喜んでもらえる。その先に感動してもらえる。涙を流してもらえる。そんな作品をつくる仕事ができることに喜びと使命感を感じ“全力で、この道を進んでいこう”と決めました。」
その後は事業を展開しつつ、
志布志のまちづくりに取り組むようになります。
その中の一つが2018年に開催したダグリサマーフェス2018。
日本最南端の遊園地といわれる志布志のダグリ岬遊園地にて県内外からロックアーティストを集め、大いに盛り上がりました。
「小さなフェスでしたが、自分たちにもできることはある。それを強く確信したイベントでした。」
フェスについて、そのように振り返る潤成さん。
「想いは言葉にして伝えないと、誰にも届きません。だから、いつ、どのタイミングでも同じことを言い続け、行動するしかない。“こんなことをしたい”“あんなのがあったら素敵だね”って。」
「だからこそ、やりたいことを現実化できていますし、思考と言葉と行動が一致しているからこそ今が幸せなのだと思います。」
「2021年には、志布志で開催した七夕イベントの中で、お寺とテクノ音楽を組み合わせた幻想的な演出を手がけ、会場の皆さんに喜んでいただけました。私の想いに共感してくださった方々のサポートがあってこその空間でした。」
「新しいことが頭に浮かんだら、すぐに行動を起こしたらいい。そうすれば、頭の中に浮かんだ映像は、目の前に現実として現れるんだ。住むまちに対して現状維持と諦めがある方々に、そんなメッセージを届けたかったことも、現在の活動の背景にあります。」
「そして、その一連の作業過程は最上級の喜びを地域にもたらしてくれる。その確証を得ることができました。」
一人一人が幸せだと感じられるまちに
事業や活動の幅を広げることで
実現されたいことが多くなり、そのスケールも大きくなってきているといいます。
その中で、大隅半島のポテンシャルの高さに改めて驚いているんだとか。
「それぞれのまちが良いモノを元々持っているので、一人一人が“住んでいて幸せなまちだ”“これ、やりたいね”と思って生活したら、どんなにまちはすごくなるのだろうか。それを想像するだけでワクワクしますよね。」
「志布志に帰ってきて活動していると、県外に住んでいた時よりも、できることの選択肢や仲間が増えてきました。だからこそ、思うんです。“不可能はない”“このまちは無敵だよね”って。」
「次の世代の子たちに可能性を見せてあげたいんです。“東京に行かなくても、都会に行かなくても、すごいことができるんだよ”って。それをきちんと自分たちの背中で伝えていきたい。」
「もちろん、都市部に行くことが悪い訳ではありません。どこに行くにも、地元を選択肢の一つとして考えてもらいたい。地元で何かすることを諦めてほしくない。それだけなんです。」
最後にクリエイターとして、坂口潤成として、大切にされていることについて尋ねました。
「“TOKYOに負けない作品をつくる”こと。これに尽きます。」
「書類一枚でも作品だと思っています。そういう意識で個人がモノをつくって行かないと地方の概念はひっくり返らない。一極集中は覆らない。そう思っています。」
「一人でやれることには限界があります。しかし、チームで取り組むときは無敵だと感じます。」
「今は個が必要に応じて集合する時代になってきました。個人も企業も行政も、連携していけば良いのではと考えるようになりました。」
「ありがたいことに僕の周りには素晴らしい才能を持った人がたくさんいます。だから、僕はその人たちが最高に輝ける状況やお客様が喜んでくださる状況を作り続けていきたい。」
「志のまちと謳っている志布志に、志を持った人間がいる。それを知っていただけるように、今は目の前の仕事に没頭していきたいです。」
屋号 | 株式会社SOL creaters(ソルクリエイターズ) |
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住所 | 鹿児島県志布志市志布志町志布志2丁目1-15 |
備考 | ●SNS等について ●問い合わせ先 電話:090-2082-7625 FAX:099-401-4544 |