real local 郡山【福島県・郡山市】「職」の未来を創造する一般社団法人LMit(リムイット)。コールドプレスジュースに込めた想い。 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

【福島県・郡山市】「職」の未来を創造する一般社団法人LMit(リムイット)。コールドプレスジュースに込めた想い。

インタビュー

2024.04.05

郡山市で野菜とフルーツをミックスした新しいコールドプレスジュース(※)が誕生します。このジュースを製造販売するのは「職」の未来を創造することを目的に活動する一般社団法人LMit。なぜ、このジュースを作るのか?ただ”美味しい”や“身体に良い”だけではない、そこに込めた想いを伺いました。

【福島県・郡山市】「職」の未来を創造する一般社団法人LMit(リムイット)。コールドプレスジュースに込めた想い。

※コールドプレスジュースとは、素材に熱を加えず生のまま強い圧力をかけて素材が持っている水分を搾り出すジュースのこと。栄養素の破壊を最小限度に抑えることができる抽出方法であり、ジュースのため普通に野菜やフルーツを食べるよりも栄養素の吸収効率が良く、食物酵素を取り入れることができるため代謝の良い身体作りに貢献できる飲み物と言われています。

-今回ご紹介するコールドプレスジュースには、郡山市を中心に、福島県内で生産された野菜やフルーツが使用されています。

写真の左から
①Yellow_リフレッシュウエンズデー/水曜の気分転換
②Red_アクティブマンデー/月曜の活力
③Orenge_ハッピーチューズデー/火曜の幸福
④Ltgreen_エンジョイサーズデー/木曜の楽しみ
⑤Green_リラックスフライデー/金曜の癒やし

活動の軸は「職」をアップデートしていくこと

-話を伺った主要メンバーは、市内で農業を営むかたわらLMitの代表理事を務める小野寺 淳さん、同じく代表理事で、市内で建築設計・施工の会社を営む黒澤 昌広さん、郡山駅前を拠点に活動する家具の専門家の橋本 広治さんの3人です。

-なぜ異業種の3人が共に活動するようになったのでしょうか?

黒澤さん:橋本さんからの紹介で、小野寺さんが2018年に須賀川市にオープンさせたベジタブルレストランの設計と施工に、私が携わったことがきっかけで出会いました。
私は建物をつくる職人で、小野寺さんも野菜を作る職人だし、橋本さんも家具を作ったり直したりする職人です。そういった強いこだわりを持った職人気質の異業種の方々とのコミュニケーションを重ねるうちに、「職」に対しての興味が湧き、時代の変化に対応できる職のアップデートについて考えるようになりました。

【福島県・郡山市】「職」の未来を創造する一般社団法人LMit(リムイット)。コールドプレスジュースに込めた想い。
代表理事で、株式会社リブ設計 一級建築事務所 代表取締役でもある黒澤 昌広さん

黒澤さん:団体名である「LMit(リムイット)」は「Let’s make it together」の略称で、“みんなでいっしょにつくろう”という意味です。
異業種が関わり合える機会をつくることによって新しいモノや仕組みが生まれ、そこに新しい循環が起これば、それぞれの「職」の新しい存在意義も生まれアップデートされていくと考え、法人を立ち上げ活動するようになりました。

―「職」のアップデートを考えるようになった根底にはどのような想いがあるのでしょうか?

黒澤さん:私も一級建築士の資格を取って事務所を立ち上げ、様々な仕事に携わってきましたが、時代が進み、AIやブロックチェーン、IoTなどの技術が発達するにつれて、資格さえあれば一生食べていけるという訳ではないという不安を抱くようになり、働くことの意味をもっと深く考えるようになったからです。

小野寺さん:農家も、今のまま同じことを続けていけば、未来永劫やっていけるとは考えてはいません。異業種の方々の違った発想を取り入れることで、生き残り方を考えていけたら面白いなと私も考えていましたね。

活動のはじまりは農業から

郡山市西部に位置する逢瀬町には、小野寺さんのおじいちゃんが開拓した2ヘクタールもの広大な農地があり、そこが最初の活動の場所になったそうです。

-逢瀬町ではどのような活動をされたのですか?

黒澤さん:東日本大震災や原子力発電所事故の影響を受けた障がい者を支援する活動を行っているNPO法人と農福連携事業の一環で障がい者の働く場づくりを行いました。
この活動を通して逢瀬町を活性化させたいという想いが芽生え始めたと同時に、私たちの一番の大きな目標は、地方において、様々な職業の人たちと組んで、未来に向かって自分たちの仕事の形態をアップデートしていくことだという想いがさらに強くなりました。
そして、新たな活動の第一歩として、福島県内で生産された野菜やフルーツを使ったコールドプレスジュースの商品化を目指すことにしたんです。

-新たな活動の一歩目として、コールドプレスジュースを選んだ理由はなんですか?

小野寺さん:農家は「美味しいね!」って言ってもらえた時がとっても嬉しくて、頑張りが報われる瞬間なんです!
ですが、その「美味しい」のクオリティをそのままお客様へお届けするためには、どうしても鮮度や出荷のタイミング、出荷量など制限が多くコスパが悪くなってしまうんですよね。
だから、そんな課題をクリアできるコールドプレスジュースで、「福島の美味しい野菜やフルーツを味わってもらいたい!」という想いを届けようと考えたんです。

農業は有機農法が全てではない。

-小野寺さんは有機農法で野菜を栽培されていますよね?このジュースにも有機農法で育てた野菜やフルーツだけを厳選して使用しているのでしょうか?

【福島県・郡山市】「職」の未来を創造する一般社団法人LMit(リムイット)。コールドプレスジュースに込めた想い。
代表理事で、株式会社agrity 代表取締役として郡山市で農家を営む小野寺 淳さん

小野寺さん:確かに有機農法を実践するなかでその良さを感じてはいます。初めはあまり有機農法の良さが分からず取り入れていたのですが、収穫して食べてみたら自分が理想とする元気で、長持ちで、美味しい野菜が採れたんです。
ですが、有機農法で育てた野菜やフルーツだけが良いものだとは考えてはいないので、このジュースには有機農法で育てた野菜やフルーツでなくても美味しいものを厳選して使用していますよ。

橋本さん:「無添加週間設計室」と名付けたこの商品の原材料は純粋に野菜とフルーツだけ。添加物は一切使用していません。農家さんが“てまひま”を掛けて作った野菜やフルーツを、お客さまに定期的に丁寧に取り入れていただきたい。良い野菜やフルーツを知ってもらいながら身体の調子を整えてほしいという想いを込めてこの名前にしました。

野菜やフルーツを口にする人たちにこそ農業の正しい知識を

-有機農法で育てられた野菜やフルーツにこだわらずとも、このジュースで福島の農産物の魅力が伝えられるということでしょうか?

【福島県・郡山市】「職」の未来を創造する一般社団法人LMit(リムイット)。コールドプレスジュースに込めた想い。
株式会社リベット代表で、インテリアエージェントの橋本 広治さん

橋本さん:そうですね。インターネットが普及し、農業や農産物に関する様々な情報が簡単に手に入るようにはなったけれど、情報が溢れ過ぎていて、その中から正しい情報だけを見つけ出すことは逆に困難になっています。

小野寺さん:大切なのは、農業や農作物についての正しい知識と正確な情報を、野菜やフルーツを口にする皆さんに身につけてもらうことだと考えています。
そのきっかけに、このジュースがなればとても嬉しいです。その上で、農家を取り巻く環境が今後どのように変わっていったら良いかを農家以外の方々と一緒に考えていきたいですね。

黒澤さん:今回、このジュースを開発するにあたって、飲食のプロにアドバイスをいただくために“もりのかぜ・らぼ/Branch”の佐久間さんにも関わっていただきました。小野寺さんのような野菜嫌いの方でも美味しく飲めるような味わいになっています(笑)
様々な分野の職人が集い完成させたこのジュースで、農業という職に対する考え方や捉え方に良い意味で変化を起こしていきたいですね。

-農家という職業の形態のアップデートには、野菜やフルーツを口にする私たちが、農業や農作物について正しい知識を身に付けることも重要な要素であると感じた取材でした。このジュースに込められた彼らの想いが実を結んだ時、私たちを取り巻く“食文化の環境”は大きく変わり、より豊かなものになっているかもしれませんね。

撮影:永井 章太

屋号

一般社団法人LMit(リムイット)

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住所

福島県郡山市逢瀬町多田野字本郷135

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