【鹿児島県鹿児島市】ひとりひとりの母親が健康で幸せな育児ができるようなケアを / 燈~tomoshibi~ 助産師 中野なぎささん
インタビュー
鹿児島市を拠点に、腸内細菌予防医学に基づいた「食育×体質改善×暮らし」をテーマに妊産婦・ワーキングママへの家事支援、重ね煮教室、ファスティングなどの事業を行っている『燈 ~tomoshibi~』助産師の中野なぎささん。そんな中野さんから、現在の事業に至った背景等について伺いました。
妊娠前からも、出産後からも、ずっとできること
「助産師=産前産後のお母さんに対する支援、という意味ではありません。」
「産前といっても妊娠してからというわけでもないですし、産後といっても出産してからすぐというわけでもないんです。産前は月経前から、産後は出産後ずっと、だと考えています。」
取材冒頭、そのように力強く話す中野さん。
そう思うようになった一番の出来事を教えてくださいました。それは自身が二度目の出産の際に、切迫早産(※)を経験したことだったいいます。
“私が入院したら、長男は誰が面倒を看てくれるのか?”夫は忙しいし、だからといって、実父母にも迷惑をかけられない…。“
しかし、試行錯誤するも、中野さんもご家族も疲弊してきたそうです。
「その時、頭に浮かんだのが家事支援でした。でも、プロといっても誰でもいいわけではありません。どんなに技術や知識があっても、信頼できる人じゃないと不安だったんです。」
「結局、信頼できる人を見つけられず、自宅で頑張って過ごしました。その時の私を救ってあげたいと思ったのが、今の仕事を始める決意をしたきっかけです。」
※赤ちゃんが早く生まれる危険性の高い状態のこと。日本では、妊娠22週から36週6日までに生まれた場合を早産と呼ばれている。
以前は病院に勤務されており、忙しさに追われ、食事はコンビニの弁当で済ますことが多かったのだとか。
それが切迫早産にも影響したのではないかと考え、食を中心としたライフスタイルを変えることにしたのです。
「無添加のご飯やおかずに変えただけで、体調がそれまでよりも良好になっていくのがわかりました。大事なのは材料ひとつひとつの質であって、安ければいいわけではないことにも気づきました。食以外であれば、骨盤ケアのプロに相談をして、姿勢改善にも努めました。」
「誰にだって、病院に聞くまではないことでも、心配なことはあると思います。そんな時、気軽に相談できる人が一人でもいるだけで安心して出産に臨めるんだと感じました。」
「体も環境もきちんと整えるからこそ、私も子どもたちも健康で元気に過ごせていること。そのためには、出産してからではなく、妊娠中に気をつけることは妊娠前から知っておくことが大事だと気づきました。」
最良な選択をし、自分を幸せに
体質改善と聞くとハードルが高く感じる人も多いかもしれません。しかし、中野さんが話す体質改善はそのイメージとは逆で、小さなことから気軽にできるものでした。
「昔から“腹八分目まで”“よく噛んで食べる”“お肉を減らす”“野菜を摂る”と言われていますよね。他にも、調味料に気をつけたり、添加物を抜くだったり、小さなことから意識してもらうだけで全然違います。」
「今の食材からNGなものを抜いていく食育を私は皆さんにお伝えしています。抜いていくだけなので、お金はかかりませんし、その知識を身につけて真面目に続けたら、決して精神的にも身体的にも負担にはなりません。」
何もない時に、少しずつ。やるか、やらないか。
そこが大きな分かれ目だといいます。
今は腸活をテーマに講座を開催し、体に仕組みを学び、自分自身の整い方を伝えることで、体質改善に結びつける取り組みにも力を入れているのだとか。
「体質改善は何歳からでもできます。私自身、出産後に体質改善をしてきたので、その経験を今のお母さんたちに共有しながら、一緒に成長していきたいです。」
今の中野さんにとって、心身ともに毎日健康に過ごせている背景のひとつとして「できないことは手放す」ことだったそうです。
「以前の私は人の目を気にして、周囲に合わせた選択ばかりしていました。そして、忙しさを言い訳にして、苦しいはずなのに、そんな自分とゆっくり向き合おうとしませんでした。」
「そんな人って、私以外もきっとたくさんいるはずです。違和感を持ったとしても、そこから行動することもですし、その行動が思い描いたものに近づけるまでも時間がかかります。その時間って辛いですよね。でも、それが自分の可能性を無限大に広げるものになると私自身の行動で気づくことができました。」
“ひとりひとりの置かれている状況がそれぞれだからこそ、必要な知識や技術を身につけて、その人にとってベストな体や環境を整えるようになってほしい。”
そんな想いから今年はあるテーマを設けたといいます。
「妊娠と出産を健康に過ごせて、赤ちゃんも元気に育ってくれたら、お母さんであることを楽しむことにも繋がると考えています。だから、今年の私のテーマは“自分で自分を幸せにする”ことにしました。」
腸内環境を整え、日々の生活を豊かに
当たり前に平凡な日々を過ごせることが幸せだと話す中野さん。
中野さんにとって平凡な日々とは、
自身も家族も元気に過ごして、美味しいご飯を毎日食べられること。
そこには感謝の気持ちが根底あり、その気づきがあったからこそ心が豊かになれたといいます。
「さらにいうと、食が変わったから考え方が変わったと思います。腸内細菌には善玉菌や悪玉菌といった菌がいて、一説にはそれぞれの菌の量によって、その人の性格が変わってくると言われているそうです。」
「だから、腸内環境が整うと、考え方や性格が変わってくるし、脳内物質にも影響して症状が改善されることがわかってきて、日本だけではなく海外でも注目されていると聞きます。」
しかし、食を変えるにも、中々簡単にはいかないのだとか。
たとえば、家庭の事情や仕事の繁忙などが原因で心に余裕がなく、目の前のことをこなすだけで精一杯の人も多いそうです。
「心の余裕のなさ」が阻害し、本来考えないといけないことがあるのに優先順位を下げてしまう。その状況に対して、中野さんなりに見出してことを教えてくれました。
それは重ね煮を作ること。
重ね煮とは野菜本来の味わいを引き出す調理法のことで、食べるだけでも体が整うのだとか。
実際、中野さんが家事支援に入っていた家庭では、毎月風邪をひいていた人が次第に体調が安定するようになったといいます。
「重ね煮は時短できますし、アレンジもできるので、非常に便利です。調理法を知っていれば、野菜を切って調味料を入れるだけでも十分美味しく作れます。」
「他にも、調理器具や鍋を変えたら楽になりました。個人的には圧力鍋と蒸し器は重宝しています。病院に勤めていた時は全く料理ができませんでしたが、少しずつ取り入れたことで今のスキルを身につけることができました。このスキルは一生ものです。」
ひとりひとりの母親と向き合い、誰もが健康に
産前産後ケアの現状として、産後のお母さんたちは出産して1ヶ月経つと、病院を卒業し、その後のケアがあまり行き届かなくなるといいます。
「小児科に行けば、子どもたちの体は診てくれますが、お母さんの体のケアだったり、育児の相談・サポートが手放された感覚が私自身ありました。あの時、気軽に相談できて頼れる場所があればよかったなと感じています。」
「もちろん子どもたちの世話をするのも大事ですが、それだけではなく、お母さんのケアをすることも大事だと思っています。“今日もありがとう”“これ、自分がやるよ”というような労いの言葉が家族からもらえるだけでもいいですし、リフレッシュや学びの場に行く時間を作るだけでもいい。それだけで十分お母さんたちは救われるんです。」
「家事支援=料理を作る、というイメージが強いかもしれません。実際にご依頼いただいた方の中には“習い事に行く時間がほしいから、その間に子どもの面倒を看(見)ながら家のお掃除をしてほしい”というものもありました。」
“お母さんたちがまずは健康になり、家族の健康管理ができて、健康な人が増えることに繋がってほしい。”
それが今のお仕事を始めた時の気持ちでもあり、ずっと変わらない軸だといいます。
「掃除が嫌いな人、洗濯物を畳むのが嫌な人など、家事の中でも嫌なことは人それぞれです。1ヶ月に1回でも、2週間に1回でもいいから、人の手を借りて、安静にして心も体もリフレッシュすることで、子育てが楽しいと思える環境を作っていきたいです。」
「今は食育をメインに、出産に向かうまでのお母さんたちが幸せな妊娠生活を送れるようにサポートしたい気持ちも強いです。妊娠期間中の辛い経験は後の育児に引きずられてしまいます。だから、妊娠・出産を満足いくものにして、自身を持って育児をしてもらいたい。」
「そのために、体のことから自分で知って、自分で整えられる人を一人でも増やせるように、妊娠前から育児までのことを知れる講座を継続的に開催できたらと考えています。」
「まだまだ力不足ですが、しっかりひとりひとりのお母さんと向き合う時間を作り、私だからこそできる支援を続けていきたいです。」
屋号 | 燈~tomoshibi~ |
---|---|
URL | |
備考 | お問い合わせは上記インスタDMか公式LINEからお願いします。 ●公式LINE |