いなか移住3年後のホンネ…メリットとデメリット
~体当たりの2拠点移住計画体験記 vol.2~
緑茶発祥で有名な八女の奥地に夫婦2人だけの田舎の家を見つけてから丸3年、気づいたら家が3軒になっていたライターのじゅんこです。
いなか移住3年後のホンネ…メリットとデメリット、個人的に感じたことをまとめてみました。ちなみに移住直前についての記事 vol.1 はコチラ
ゆらゆらと揺れる葉っぱの上に佇むカエル。窓から外を見るだけで楽しませてくれる多様な生き物たち。
11のメリット
- 豊かな自然環境
科学的にも脳が最高の状態になるそうです。無料のあそび場がたくさんある。 - 安くて美味しくて新鮮な水・食材
新鮮で現地でしか見つけることのできない旬の素材も。 - 広くて安い土地・畑・水
地下水だから水道代無料、くみ上げポンプの電気代くらい。 - 濃厚なご近所づきあい
顔の見えるコミュニティーに参加できる。 - 短期バイトが意外とある
収穫シーズンや農・林業の高齢化で労働需要が高い。時給以上の食材などで支払われるときもあり。 - 都会生活が楽しくなった
嫌気がさしてた時もあったけどたまに行くから楽しめるように。 - 手厚い商工会サービス
ビジネスをやりたい人にはオススメ。事務所を移してまで八女の商工会に入る人がいるのだとか。 - 年齢差のある友達ができた
経験豊かな先輩のアドバイスはいつも参考になるし、昔話も今の話も異なる視点、ここにしかないレシピなどなど本当に興味深い! - 無駄な出費が減る
お金を使う場所がほとんどない。 - エネルギッシュで楽しそうな高齢者
リタイヤしてる人や農作業で体を動かす人が多いせいか、びっくりするほど元気な高齢者が多い。これも大自然に囲まれているせいなのかも。 - お金ではない助け合える関係づくりができた
困った時にはお互い様。食材を分け合ったり、知恵や道具をシェアしたり、便利じゃないからこそ人のつながりが熱い。
9のデメリット
- 方言がわからない
正直に聞けば喜んで教えてくれました。 - 村の町費が福岡市内と比べると9倍!?
便利な場所ではないからこそ消防団など地域団体への料金多し。 - 車が必要
ガソリン代、車検、税金。2拠点移住となるとなおさら必要です。でも、ご近所には自転車だけで暮らしていた人もいたのだとか。 - トイレ経費
使う人が多ければくみ取り代で月1万円かかることも。 - 根強い家父長制度
田舎だけに限った話ではありませんが、やはり都心部より根強いと感じます。ただ政治の場や集まりでも性別問わず参加してほしいと願っている人たちは存在していて、これからの時代をになう多様性の向上は、どこにいようと私たち自身の行動にかかっているのではないでしょうか。 - ときどき停電がある
土砂災害や大雨などでインターネットや携帯が1週間使えなくなったりした地域も。 - 環境問題に直面する
自然が大好きで越してくる敏感な人たちは特に注意が必要。目の当たりにする森林伐採や農薬。ドローンで除草剤が降ってくる地域もあるのだとか。だけどしょうがなく撒いている人たちもいたり、農業のように自然相手の商売は一筋縄ではできないことなので、いろんな立場や意見が違う人とも尊重の意をもって関わることは大切なコミュニケーションポイントだと思います。 - 虫が多い
苦手な人は、良く知らないから余計に怖いのかも。生態系の役割や防御策を知れば、向こうから攻撃してくることはほとんどありません。 - 冬の古民家の寒さ
ただただ、薪ストーブがほしい。笑
今年一番寒かった日の雪景色。極寒だったけど火遊びで温まったり、雪景色と温泉にも癒されました。
まとめと補足
自分のタイプや大切にしているものなどで良し悪しは変わると思うので、ここに書いたのはあくまでも個人的な見解でしたが、デメリットを上手にかわしたり、自分次第でデメリットもメリットに変えることができたら田舎暮らしは楽しくなるばかり。
もし災害が起こっても顔の見えるコミュニティーの中で、それぞれが得意なことで助け合える関係があればお金が機能しなくなっても安心できますよね。私たちはそんな関係がさらに増えたと感じています。
それと普段から仕事を作り出すこと( 企画・営業・販売 )を自分達で行っているので、計画性さえあれば自由に時間や働く場所を選ぶことができるライフスタイルで暮らしていて、それはとても充実した毎日だと感じています。
そして何よりも「いなか移住」の最大の利点は自然の豊かさですよね。
虫が苦手な親戚の都会の子供達も、川遊びでは夢中に。
自然の中で過ごすことは、精神安定、集中力、血圧、社交性、創造性、ここには書ききれないほど科学的にもたくさん証明されていて人間にとっていいことばかりです。私は「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる」 という本がとても参考になったので、気になる人は探してみてください。
はじめる前の重要ポイント
初めて住む場所で購入物件からのスタートは、後になって問題点やライフスタイルと合わないことが発覚するリスクが高いので、私はお勧めしません。他の地域の移住者の中には村八分にされて都会に戻る移住者もいると聞いたことがあるし、地域の決まりなど住みだしてからしかわからないことがたくさんあるから。
いきなり今の生活のすべてを変えなくても、セカンドハウスからスタートもありですよね。好きなエリアを限定して、そこに通うことで知り合いをつくり、オンライン上などでは少ない賃貸可能物件を知り合いづてで探すという方法もあると思います。
まずはその地域が自分に合うかどうかを、見極めていくことが重要ではないでしょうか。
私たちのスタートは面白いオーナーがいると噂のゲストハウス 「天空の茶屋式」での長期滞在からでした。オーナーについての記事はコチラ。
まだまだ住むには時間がかかりそうですが、新しく購入した家からの景色を見ながらの一休みは格別。
ちなみに私たちが新しく購入した物件は、移住2年目になるころ村の知人に聞いて廻り見つけたものでした。村の行事に積極的に参加し顔を覚えてもらい、住民の人たちに受け入れてもらえたからこそ紹介してもらえたのだと感じています。
場所は最初の賃貸物件に住んでいた同じ奥八女の大淵という山間部の過疎地域。“過疎”とはいえエネルギッシュな地元人が企画したイベントや、歴史や神話、そして自然の観光スポットが点在しています。
村人と訪れる人のための花公園は、住民ボランティアで手作りされ今年完成しました。
リタイヤ後のUターンや、嫁いでこられた移住者の人たちもいて、少数派だと思いますがオープンマインドな人たちも暮らしています。そんな人たちの存在は、国際カップルでヴィーガンという少数派の私たちにとって重要な存在です。
先住者に「受け入れてもらえた」という感覚のおかげでこの場所がより特別になりホーム感が高まり、コミュニティー内で役に立ちたいと思う気持ちも芽生え、近くに住む人たちとの関係づくりのおかげで以前より喜びの多い毎日を過ごせている気がしてなりません。
いなか移住3年後のこれから
出身はストックホルムと北九州。完全都会っ子だった私たち夫婦は、ここに来てから新しい企画を3つはじめました。
循環する自然の中での移住生活をプチ体験できるオーガニック菜園付きの貸し切りヴィーガン民泊。
そして地域の生産者さんとコラボした新作ケーキを期間限定でネット販売したり、コラボした商材をもって他の地域でポップアップしたり。
奥八女の移住者の友達がつくる無農薬緑茶とコラボした作品2023年の年末スペシャルケーキ
3つめは「ファームステイ」。これはビジネスではなく純粋に私たちのやりたかったことです。この美しい奥八女の豊かさをシェアし自然菜園を共に学び、新しい仲間づくりもかねて、宿食無料で労力と交換するというプログラムを企画しました、いわゆるウーフィングのオリジナルバージョンですね。去年はInstagramや口コミで国内外から40組以上が参加してくれました。
同じ感動を共有できる新しい仲間が増えると毎日がさらに楽しい。
待ち構える気候危機、物価高騰、食糧難に戦争や伝染病。予測不可能な時代だからこそ街中と自然の中と選択肢が増えることで、見えてくる世界がさらに広がるのではないでしょうか?
自分に合う田舎暮らしを探している人へ、私の経験を参考にしてもらえたら嬉しいです。