【成約済み】静かで美しい佇まいの「山寺の古民家」
売買物件情報
※終了しました。
※本案件は成約となりました。ありがとうございました。
山形市と天童市の境の里山にある、山形屈指の観光名所「山寺(立石寺)」。みやげもの店や飲食店が並ぶ周辺エリアは人も多く賑やかでいかにも観光地という印象ですが、そこから車で5分ほど離れだけで、とても静かで景観に優れたエリアが広がっています。
「所部(ところぶ)」という名の一帯に佇む古民家が、今回ご紹介する物件です。
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海抜250mという標高の高い場所にあるからでしょうか、この家を訪れると、まっさらに澄んだ空気を感じます。湧き水が流れる水音が響き、静かさに満ちたような雰囲気を感じることができます。まさに『閑けさや岩にしみいる蝉の声』の世界。
湧き水が引いてあり、魚を飼育したり、野菜を洗ったり、田畑へ引いたりできます。この家だけではなく、このあたりの家々ではそれぞれに湧き水を引いて、今も使用しています。湧き水が地域の人々の生活と繋がっているというのは、あまり知られていない、山寺の意外な一面かもしれません。もちろん山形市上水道もちゃんと通っていて、生活のメインのインフラとして機能しています。この上水道はすぐ近くの山寺浄水場から水を引いるのだそうで、「蛇口をひねると、美味しい水が飲めるよ」と売主さんが教えてくれました。
敷地の南側は南側を走る道路と、敷地の北側は北側を走る道路とそれぞれ面しております。南側のほうが高く、北側のほうは低く、高低差があります。この高低差を活かして建てられているのが、母屋とはまた別の建物(=離れ)で、1階は車庫、2階は居室となっています。
北側から見ると、母屋は石垣の上にあります。庭や家庭菜園を手入れしたり、何をするにも高台特有の広がりを感じて、気持ちが良さそうです。
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居室の痛みが激しい箇所があり、大がかりなリフォームが必要そうです。また、設備を現代に合わせようとすると、相当な費用が掛かることも予想されます。
キッチンと和室2間を増改築したのが、昭和35年のことだそうで、増築した際の屋根の接合部分から、経年劣化で雨漏りが生じています。給水管もズレているため、今は閉栓しています。
母屋の年月日は不詳ですが、推定80年ほど経っているでしょうか。トイレは、いわゆる厠。汲み取り式です。お風呂は昔ながらの薪ボイラーです。もしかしたら、それが逆に趣があって良い、という捉え方もできると思います。
確かに設備はとても古いですが、土壁や黒塀がとても美しい古民家です。利便性とはまた別の、装飾や形状が美しいという、古美術品の良さのようなものが感じられます。新たに造ることは今では難しいような、古いがゆえの風合いが魅力です。不便を不便として楽しみつつ、暮らしに合わせてカスタマイズしてゆくというのが現実的には良いのかもしれません。
この物件は、家(母屋や離れ)だけではなく、地形や風土も魅力の一つと言えるでしょう。また、間取りも面白く、平面図では平坦に見えますが、板敷き、土間、畳など、床材だけでも多様で、フロアの高さも違います。建具屋やガラス、何気なく飾られている茶箪笥や黒板すら、インテリアの一つとして収まっています。
家は清潔さが保たれていて、この古民家への売主様の愛着を感じます。そしてまた、湧き水で繋がっている集落のあり方には、現代では薄れてしまっているコミュニティの暖かさを感じます。