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眠れない夜に vol.1/夜中の蔵王温泉足湯

連載

2024.09.13

夜の時間をいかに過ごすか、これは豊かな人生を送るために一番重要な検討事項だ。

オープンカーに乗る人たちはよく「足湯に入っているみたいで気持ち良いですよ」と言う。上半身は外の風にあたって心地よく、下半身は車内で温まるため足湯のようになるらしく、それがクセになるという。でも、ある日、私はそれを超えるものを見つけてしまった。

なんだか友達と喋りたい気分だし無性にラーメンが食べたいし、というその夜、仲良しのNに「ラーメン 食べにいかない?」とLINEすると即既読がつき「最高」と返ってきたので女2 人で家系ラーメンを食べに行く。ラーメンを食べたはいいが、しかし問題はここからで、ラーメン屋でそんなに長居もできないのでお互いに話したいことが全く消化できていないのだ。「そういう時はラーメンは諦めて長居できるご飯屋さんに行け!」と思われる方もいるだろうが、一度ラーメンが食べたいと思ってしまったら諦められないのが山形人の性というものなのだ。時計は21時すぎ。私たちは暗黙の了解で西蔵王に車を走らせた。

夜の車中は、なんでこんなに話に集中できるのだろう。一番落ち着けるカフェは車の中なのかもしれない。いつもは西蔵王公園の展望広場への道中でお互いの話を消化するのだが、この日は話が盛り上がりすぎて西蔵王よりもっと先にある蔵王温泉まで行ってみることになった。夜の蔵王温泉もなかなか良い。源泉が豊富だからか道の端にも温泉が流れ、湯けむりと硫黄の香りに包まれた温泉街を夜であっても楽しむことができる。車を駐め、少し散策すると「足湯→↑」という看板を見つけた。看板に誘導されるままに進むと、真っ暗闇の中に足湯が現れた。しかもいくつかある。「これって入っていいのかな?」とかなり不安になる。「カモシカ注意」との看板も立っている。

入りたい。だけど夜中に足湯に入れるなんて聞いたことがない。もし入ったらどこかのお店の人 が「ダメですよ!」と鬼の形相で怒りにくるかもしれない。警察に通報される可能性もある。背後からカモシカが襲ってくる危険性まである。様々なリスクが頭の中を駆け巡る。だが、入らないわけにもいかない。目の前に足湯があるのだから。これもまた山形人の性だろうか。

気持ち良い。異常なまでに気持ち良い。蔵王温泉の泉質ゆえか、身体がすぐに温まる。夜風も気持ち良い。 真っ暗であるがゆえに、足の神経と話に集中できるのがまた良い。これはまさにオー プンカーそのものだ。乗ったこともないけれど、そう思った。

その後、深夜の足湯にハマりすぎて幾度となく友人と深夜の足湯を訪れた。ちなみに蔵王には足湯がいくつかあり、夜になると湯量が少なくなるところもあるので注意が必要だ。

ラーメンを食べ、足湯に入り、ドライブしながら帰宅する。足湯はもちろん最高だが、このコースの一番良いところは、帰りの車中でだんだん眠るモードに入ってきて家に帰ったときに風呂キャンセルしても、足湯に入ったことで、お風呂に入らないで寝るほんのりとある罪悪感を打ち消し、なおかつ次の日は疲れゼロで起きられることだ。

眠れない夜には蔵王温泉の足湯という選択肢を、ぜひ。

眠れない夜に vol.1/夜中の蔵王温泉足湯

※温泉や足湯は、ルールを確認し、ルールを守って入りましょう。