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絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」

地域のお店

2024.11.01

ふわふわのホットケーキやジャムがたっぷりのったトースト。コトコト煮込まれたスープにジューシーなお肉。子どもの頃に読んだ絵本には魅力的な食べ物がたくさん出てきます。一度でいいから実際に食べてみたい……そんな誰しもが思ったことがある夢を実現させているお店「ねこがたいやきたべちゃった」をご紹介します。

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」

三浦(横須賀市長井)の大規模な公園「ソレイユの丘」にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」は、三浦市三崎のローカル出版社「アタシ社」がプロデュースするお店。

同タイトルの絵本「ねこがたいやきたべちゃった」と連動したテイクアウト専門店で2024年度のグッドデザイン賞も受賞されました。店構えから商品、スタッフ皆さんの制服に至るまで、物語の世界を味わえる体験型のお店となっています。今回はアタシ社クリエイティブディレクターの三根かよこさんにお店ができるまでの背景と、ローカルな出版社だからこそできる出版業界、そして地域への思いを伺いました。

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
「アタシ社」クリエイティブディレクターの三根かよこさん

お店ができた背景 

「ねこがたいやきたべちゃった」は絵本とお店とが完全に同時並行で作られました。期間限定のポップアップショップではなく、基本365日営業。 知人を介して出店のオファーをいただき『私たちがやるのであれば、出版と組み合わせて何か面白いことをしたい』。そんな話から絵本づくりが始まりました。

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
絵本「ねこがたいやきたべちゃった」(公式Xより)

絵本づくりでは、実は先にタイトル「ねこがたいやきたべちゃった」だけが決まっていました。芥川賞作家の円城塔さんとイラストレーターの fancomiさんに相談しながら、作品づくりを進めていきました。『タイトルでオチを言ってしまっているから、物語が考えにくい!』と呆れられたのも、今となってはいい思い出です。 

絵本編集も大変だけれど、お店の開業準備もしなくてはいけません。たいやきのレシピ開発や、内外装を考えたり……。出店先のソレイユの丘の2023年4月のリニューアルに合わせてのオープンだったため、期日も動かせない。ものすごく混乱しながらいろいろなことを同時進行で進めました。 

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
実際のたいやき型(写真公式Instagramより)

単に本や店舗を作っているというより、物語の世界を現実世界に構築していく感覚でした。絵本に出てくるたいやきを再現するために、型も一から製作してかなりこだわりました。 ちなみに、お店の外壁には絵本には出てこないサブカットも描かれています。

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
お店の外壁に描かれたサブカット

出版社ならではの「本」を通した体験価値を

出版社として『絵本が売れて欲しい』という思いはあります。でもそれ以上に、作家が生み出した物語の可能性を拡張したいという思いが強いです。どうしたら「本」を知ってもらい、愛されるものにしていけるかなと。 

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
物語のの世界を体現したお店

しろくまちゃんのホットケーキや、ぐりとぐらのカステラなど、『絵本に出てくる食べ物を食べてみたい』と私自身子供心に思ったものです。こんなふうに作品を体験できる場をつくれたのは、小さな出版社だからこそだと思っています。漫画やアニメのコラボカフェなど、作品PRの一環で短期間だけ出店するケースは最近よく見かけますよね。でも、そんな機会に恵まれるのは一部のヒット作に限られます。その点、小さな出版社だと全部自分でやる大変さはありますが、アイデアを実現させるための最初のハードルは低い。そこが私たち組織の面白さだと思います。

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」

もちろん事業性高く続けていくことはとても難しいのですが、さまざまなプロジェクトをサステナブルに実現するために、アタシ社は「兼業出版社」という道を選びました。「出版」を複数ある事業の一部に位置付けつつ、「出版」を軸にさまざまな事業を行っていく戦略です。

 地域の方と共に世界観を作り上げる

地域の方と世界観を作り上げていくのも1つの大きなテーマです。地域の保育園や、幼稚園にもこの絵本を置いてもらっていて。たまに遠足で「ここが『ねこがたいやきたべ ちゃった』のお店だよー」と、先生が園児たちに紹介している場面を見かけることもあります。 お店で流れているテーマソングも地元の児童合唱団が歌ってくれていて。 初めてお店に来た子も帰る頃には「ね~こがたいやきたべちゃった~♪」と口ずさんでくれたり。少しずつ地元の方の日常に馴染んでいくところをを見ると嬉しくなりますね。 


 

働き手を見つけるのが厳しいといわれている飲食業界。ありがたいことに『ここで働けてよかった』と 言ってくれるスタッフに今は囲まれています。これも、お客様のお腹を満たすだけの機能的価値ではなく、もっと深い情緒的価値を提供しているのだと、スタッフのみんなも感じているからだと思います。 基本的には作品を楽しんで欲しいという気持ちは変わらず、どう作品を知ってもらうか、どう体験してもらうか、そこからさらに愛着を持ってもらえるかまで考えています。

絵本「ねこがたいやきたべちゃった」を読んだ子が、10年後お店で働くということ もありえるかもしれません。そんな楽しい未来を想像しながら、体験を提供し続けていきたいと思っていま す。 

絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
店先で楽しそうに過ごす地元の子ども達

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絵本の世界を体験できる! ソレイユの丘にあるたいやき屋さん「ねこがたいやきたべちゃった」
お店のスタッフ皆さんの制服からもその世界観を大切にしていることが伝わってきました

美味しいたいやきだけでなく、その世界観を体験しに、みなさんぜひ足を運んでみてはいかがで しょうか。

名称

ねこがたいやきたべちゃった

URL

https://www.instagram.com/taiyaki_tabechatta/

住所

〒238-0316 神奈川県横須賀市長井4丁目3491 海の手公園 ソレイユの丘 内

営業時間

平日11:00~16:00、土日祝10:00~17:00

定休日

年中無休

アクセス

【公共交通機関】
京浜急行「三崎口」駅より京急バス「ソレイユの丘」行きにて約20分、または「荒崎」行きにて「漆山」で下車し、徒歩10分~15分。※徒歩の場合は、京浜急行「三崎口」駅より約4キロで、約45分かかります。

【車】
三浦縦貫道「林」出口を左折し、国道134号線を約3キロ進む。
「ソレイユの丘入口」を右折し、約2キロ道なりに進む。
三浦縦貫道「林」出口から約4キロまたは「高円坊」出口から約5キロ

備考

※営業時間変更の可能性がございます。最新の情報は店舗のSNSをご確認ください。

業種

たいやき等のテイクアウト販売