【山形】日常の風景を探しにいこう/工場
連載
2024.11.12
やまがたのまちを探し歩いて見つけた日常の風景をフィルムで撮りゆくシリーズ。
こんかいは、工場の風景です
工場の景色には、どこか不思議な魅力がある。
鋼鉄の骨組みが組み合わさり、煙突から白い煙が空に向かって伸びている。
これだけでも壮大ですが、無機質な金属が織り成す景観には、ときおり目を奪われるような独特の美しさが漂っています。
あたりまえのように錆びついた鉄の扉や、ペンキが剥がれた配管。
無機質でありながら、長い年月を経て独自の存在感を放つものたち。
そこに工場の美しさを感じているのかもしれません。
それは工場が歩んできた時間そのものであり、日々の人々の働きとともに重ねられてきた歴史がそこにあります。
工場は男性的で力強いイメージを持たれがちですが、その中にも繊細さを感じます。たとえば「錆び」。錆が進むほどに、金属の表面は滑らかになり、色合いも微妙に変化していきます。鋭い金属の表面に亀裂が入り、色がゆっくりと変化して深みを増していく。荒々しさと同時に深い温かみを持ち合わせているのです。
私が工場の風景に目をうばわれるのは、シャープなラインが重なる金属の塊の中に、何とも言えない柔らかさを見出すことができるからです。
カメラのレンズ越しに見える風景には、どんな美しさが隠れているのでしょうか。
薄暗い工場の窓から差し込む光。青空にシルエットで浮かび上がる鉄骨。夜の暗闇に浮かび上がるまばゆい光に照らされた工場もなんとも言えません。
いつもは忙しく働く場所。ふと立ち止まり、その風景に目を向けると、そこには「美しさ」があることに気づくのです。