海と山と川の町、淡輪・箱作|まちコラム
地域情報
大阪南西部、いわゆる泉南エリアに含まれる阪南市と岬町。目の前に大阪湾、背後に和泉山地がそびえ、山を越えればもう和歌山という、大阪の南端に位置する地域です。水平線や広い空のように、のびやかな時間がながれるエリアで、「南・ミナミ大阪」と密かに呼んでいます。その中でも今回は、海・山・川の三拍子が揃う「淡輪(たんのわ)」「箱作(はこつくり)」の魅力について紹介していきます。
海とともに暮らす町
海と山に挟まれた間に、住宅地と畑と、すこしの商店がある町。某作家は出身地である神戸について「海と山のあいだにある、猫のひたいのような街」と書いていましたが、ここは「猫のひたい」ほどコンパクトでないにしても、いつだって海を身近に感じて暮らせる場所。
阪南市と岬町にまたがる長いながーい砂浜は丁度良くひなびていて、真夏のシーズン中ものんびり海水浴を楽しめます。
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箱の浦など海沿いの住宅街の道路からは、まっすぐ海が見通せるほどの距離感。近所に住んでいるのでしょう、すでに水着に着替え準備万端の子どもたちが、公園に来るくらいの気軽さで自転車を乗りつけ、海へ飛び込んでいく姿が見られました。
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そんなロマンあふれる場所だからでしょうか、町を散策していると、夢とこだわりいっぱいの一戸建てにもたくさん出会えます。敷地にゆとりがあるので、大ぶりな平屋もたくさん。ここでは当たり前なそういった景色も、都心部での暮らしに慣れた身には、贅沢でゆとりあるように感じます。
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そんな風に海水浴場や海洋センターのような公共施設はあるものの、法規的にはほぼ住宅のみ、もしくは限られた事業利用ならOKな地域なのですが、なんだかこの辺りはカフェやゲストハウスが集まっているな…と歩きながら思っていたのが、淡輪(たんのわ)駅から海までのエリア。
後で調べると、このあたりの細く限られた場所が商業地域に指定されていて、事業利用の自由度が比較的高い場所のようです。
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山と川にもつながる町
素敵な海沿いを注目しがちですが、もうひとつの魅力が、町の後ろにそびえる丘と山、それに山間から海に流れ行く小川の織りなす風景。
今回は紹介していませんが、桃の木台のように、関西国際空港を埋め立てるための土を運び出して、その跡地に町を作ったエリアもあるくらい、北摂と同じく山や丘と親和性のあるエリア。ジュブナイル(少年・少女時代)な、どこか懐かしい景色も広がっています。
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日々の営みと自然以外の魅力
もちろん都心部ほどの数には及びませんが、地域に根ざして長く営業している喫茶店や、町の人の胃袋を満たします、とばかりに24時間営業のモールもあります。
町単体で見ると買い物場所は限られますが、それもあってかコンビニが宅配便の受け取りや発送を一手に担っていて、靴下や下着・文房具など生活用品の売り場もやたら広大だったり、そうかと思えば府道沿いに突如ミニ牧場があったりと、なんだか自由な土地柄を感じられる楽しさも魅力です。
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古民家と昭和レトロの町でもある
一方、もとは港町として栄えてきた歴史もあり、海岸から駅のあいだ、入り組んだ細い路地のエリアには、立派な古民家やお屋敷も立ち並んでいます。空き家も比較的多く、大阪市内にくらべ、随分と安価で安定的に売却に出ています。
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目の前に開かれたドア
淡輪・箱作の好きなところをたくさん書いてきましたが、もちろん、注意してほしい点もあります。
場所や物件によっては下水が汲取式や浄化槽だったり、逆に公共下水は来ていますが都市ガスはなくプロパンだったり…(両方当てはまる建物もあります)。さすがに電気が来てない建物はないものの、インフラ面など、街中暮らしには聞き慣れないこともあるでしょう。
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そんな不便なのは嫌だ、と言ってしまえばそれまでですが、ちょっと待って。冒頭の作家の別の言葉を借りれば、「人生にはいつも前後にドアがあるが、人は背後のドアの閉じた音にばかり気を向けてしまい、目の前のドアが開いていること気が付かない(意訳)」ということ。不便さだけに目を向けず、前を向けば、今いる場所とは違う豊かさが広がっているのかもしれません。
住めば都とはよく言ったもの、移住や定住でなくても、開いたドアの先、新世界にも目を向けたい。大げさですが、そんな気持ちを呼び起こさせてくれる町でもあるのです。
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