稲村ガ崎の新しいまちの風景に。スペシャリティコーヒーとお菓子の店「隣」
地域のお店
山と海のまち、鎌倉市稲村ガ崎の駅前にこの12月に「隣」という名前のお店がひっそりとオープンしました。まちのみなさんには、工事前や工事中もずっと気にかけてもらっていた、と店主の狩野さん。そんなまちに寄り添うお店を取材しました。
狩野さんがこの物件と出会ったのは秋のこと。そこから貸主との相談も重ね、工事を実施。工事は古民家のリノヴェーションで定評のある宮田一彦氏に依頼されました。宮田さんが店舗設計をされるのは珍しいとのことで、一見の価値ありです。
もちろん、狩野さんが提供するスペシャリティコーヒーも素晴らしいのです。お店では自家焙煎コーヒーと、中国上海の著名なロースターである「TERRAFORM」のコーヒーをいただくことができます。「TERRAFORM」のコーヒーを扱っているのは、まだ日本ではここだけのようで、これは狩野さんのパートナーで中国出身のYUさんが繋いでくれたご縁だそう。
隣で提供されるスペシャリティコーヒーは浅煎りが多くフレーバーが豊かなので、お菓子は
コーヒーのフレーバーを邪魔しないものを出されています。チェダーチーズとレモンのスコーンは少し塩味があってコーヒーとの相性がぴったりでした。その他に、シナモンロールも人気だそうです。お菓子はYUさんが担当されています。
また、コーヒーを提供する器にもこだわっていて、旅先で出会った有田焼がぴったりと思い使用されています。筒状の細長い湯呑のような形状をしていますが、飲み口が狭いカップで提供するとコーヒーの香りがより分かりやすくなるからだそうです。
宮田さん設計の内装が和のテイストだということもあり、和を感じさせる食器選びをしていますが、和の中に洋を感じさせる遊び心も。ブラジルのデザイナーのランプを店のメインの位置に配置し、ずっと憧れていたというドイツ製のレコードプレイヤーもカウンターに設置しました。和と洋が心地よくミックスされた空間となっています。
狩野さんは、飲食店経験者ではないというコーヒー屋としては異色の経歴をお持ちです。お店を始めるにあたり、茅ヶ崎の老舗「フラワーコーヒーブリューバー」で、コーヒーの基礎を学びました。経験者でないから飲食店やカフェとしての常識にとらわれることなく、自分が本当に作りたい店とはどんな店なのかを純粋に考えることができたと狩野さんは言います。
狩野さんのお仕事は「場」を作るお手伝いをすることだったそうで、この稲村の地でも地域の方から愛され、寄り添うような「場」を作りたかったと言います。これまでは、誰かがやるお店をコンサルティングするような立場でしたが、今度は自分がプレーヤーとなる。そう思ったときに、狩野さんはお店の近くに移住することも決意しました。それくらい、この稲村ガ崎という土地は、地元の方のまちに対する想いが強いことを狩野さんも知っています。
まちのみなさんは、ご高齢の方もいればここ5年以内に移住してきたというお若い世代の方も多く、お店をオープンしてからはいろいろな方が来てくれると言います。
ちなみにお店の名前である「隣」は、ふと思いついたということですが、狩野さんが大切に考えている言葉のひとつに「向こう三軒両隣」という言葉があります。日本に古くからある親しくお付き合いをするご近所さんを示す言葉ですが、みなさんの隣にいつもいるような、何かあってもなくても「隣の狩野さん」に会いに行こうと言ってもらえるような、そんな存在の店にできたら。ひとやまちとの関わり方を大切にし、関係をつくる場としていきたい、という狩野さんの想いが込められています。
お店はまだまだオープンしたばかり。これからお店の装花を担当してくれているお花屋さんと花の無人販売もやってみようかと検討しているところだそうです。また、お店に来てくれる方からの意見も取り入れつつ、このまちに本当に必要とされているものが何なのかを模索していきたい、と狩野さん。
稲村のまちにそっと寄り添い、まちに根付く店づくりをこれからも応援したくなります。お近くにお越しの際には、ぜひ足を運んでみてください。
名称 | 隣(トナリ) |
---|---|
業種 | スペシャリティコーヒーカフェ |
URL | |
住所 | 神奈川県鎌倉市稲村ガ崎3-1-18 |
営業時間 | 火水金土 曜日 9時〜17時 |
定休日 | 日月木曜日 |
アクセス | 江ノ島電鉄線「稲村ケ崎」駅徒歩1分 |
備考 | 最新の営業時間・営業内容についてはお店のInstagramをご確認ください |