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変わらない山形(3)/アメリカへの土産

地域の情報

2024.12.27

訪れるたび、山形の人に「何か変わったことは?」と聞けば、いつも「特に変わっていない」と肩すかし。最近は、それこそが山形の良さ、なのかなぁと思い始めています。

変わらない山形(3)/アメリカへの土産

「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産へ登録決定、という知らせは、こちらアメリカにも届いています。「和食」の登録に続く快挙で、インバウンド需要がますます高まりそうですね。

アメリカに長らく暮らしていますが、「SAKE(サケ)」という言葉は、単に日本が好きとか、食通であるとか、そういう属性を飛び越えて、一般に広く認知されているように感じます。北米の醸造所は日本のブランドを含めていくつもありますし、それ以外に日本から輸入した日本酒をそろえるレストランやスーパーマーケット、リカーショップも増えてきています。そんな事情から、アメリカ人の夫が私の山形帰省に付き合って来日する際、本場のSAKEは楽しみのひとつです。

夫はそもそもアルコール好きなので、クラフトビールの「IPAとペールエールの違いは?」や、ワインにおけるブドウの「カベルネソーヴィニヨンかメルローか」といった知識と同じように、日本酒も種類を知ったうえで味わおうとします。酒蔵や酒屋などでの試飲を含め、あれこれ吟味してみると、まろやかさを持つ純米系、特にほんのりフルーティーな甘みを感じさせる純米吟醸と純米大吟醸がお好みの様子。日本人も納得のチョイスは、さすが、無類のアルコール好きなだけあります。

ここのところアメリカへよく持ち帰る、お気に入りの山形の地酒は、出羽桜の「一路」。天童市と山形市に酒蔵を持つ、出羽桜酒造の純米大吟醸です。
「たまには別の日本酒も試してみたらいいのに」
と、改めて同じ出羽桜の別の日本酒も試飲させてもらったのですが、最終的に選んだのはやっぱり一路なのでした。

聞けば、過去にロンドンの「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」SAKE部門で最優秀賞を獲得したこともある日本酒なのだとか。白ワインにも通じる、やや甘口でふくよかな香りとコクが特徴的な一路は、もともとワインに親しむ外国人にとって飲みやすく感じるのかもしれません。

その一路ですが、今年の夏にエアクッションで箱ごとぐるぐる巻きにしてスーツケースに詰め、アメリカまで無事持ち帰り、12月の現在もまだ家の冷蔵庫に眠ったままです。その理由は、元旦を迎えてからお屠蘇代わりに飲みたいから。日系スーパーマーケットで買ってくる解凍おせち総菜も、おいしい日本酒があれば味も格上げされるはず!? おかげでアメリカにいながら正月気分が盛り上がります。

寿司であれ、解凍おせち総菜であれ、信じられないくらい高価格なアメリカ。SAKEも和食同様、どんどん庶民には手の届かない高級品になってしまいそうで心配ですが、無形文化遺産への登録は日本人として誇らしく、うれしい限り。一路だけじゃない、山形発の高品質な地酒の魅力も、これから世界の人たちに発掘されていくに違いありません。何かと慌ただしい年末、どうぞお健やかにお過ごしください。良いお年を!

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