real local 大阪マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん

インタビュー

2025.02.22

大阪にも雪が降った寒い日、八尾市にある「おむすびスタンドむすんで、にぎって。」へ足を運ぶ。店に入ると「こんにちは!」と店主の小鹿千秋さんが笑顔で迎えてくれました。小鹿さんにはその他にもいくつかの顔があります。3児の母、訪問看護師、そして八尾市のマチの居場所づくりに奮起するコミュニティーナース。この記事ではコミュニティーナースについて、小鹿さんが行うマチの居場所づくりついてご紹介します。マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん

 コミュニティナースとは?

「ナース」という言葉を聞くと「看護師」と思う方も多いかと思います。ですがこの記事での「ナース」は「相手を手と目で見守る人」そんな意味があります。必ずしも看護師の資格が必要というわけではありません。相手を普段からよく見て、ちょっとした異変に気づく。そこから心身そして社会的な健康について一緒に考え、負担を減らしてあげたり時には専門家へ繋げたり…。病院の中ではなくマチの中にいてマチに住む人たちの「毎日の楽しい」「心と体の安心」を一緒に作る活動家、それがコミュニティナースなのです。小鹿さんの活動拠点である八尾市を中心にコミュニティナースは現在23名。小鹿さんだけではなくそれぞれがマチの中で活躍されており小鹿さんはそのサポートも行っています。

マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん
年齢職種関係なく様々人たちがコミュニティナースとして活躍中

この記事を読んでいるあなたも、もしかするとコミュニティーナースになれるかも…?

コミュニティナース八尾▷https://www.instagram.com/community_nurse_yao/

コミュニティナースについてもっと知りたい方はこちら▷https://community-nurse.jp/cn

「おむすびスタンドむすんで、にぎって。」ってこんなところ!

「あの場所にいけば話を聞いてくれる、身近なところに健康の相談ができる人がいる。」そんなマチの「居場所」として小鹿さんが作られた一つが、このおむすびスタンド。

私がお店に行った時は既にお昼ご飯のピークは過ぎていましたが、小さな店内にはおむすびを片手に楽しく話すお客さんでいっぱいでした。寒さなんか吹っ飛んでしまいそうな勢いで繰り広げられる面白かったこと、今悩んでいること、健康のこと等話題は途切れることがありませんでした!

マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん
(左)閉店までほぼお客さんが途切れることのない店内。ただおむすびを買いにくるだけではなくちょっとした世間話をして帰っていくお客さんがほとんど。(右)菜の花と卵のおむすびをいただきました!

看護師としての顔もある小鹿さん、お店のカウンターの上には血圧測定器が。なんと来店した時に血圧測定をするとポイントが貯まり、おむすび引き換え券がもらえるそうです。「どうして血圧を測ってもらっているのですか?」と聞くと「健康へのハードルを下げるため。血圧測定をきっかけに解ることやお客さんとの話題作りに繋がる仕掛けとして考えました。」と話す小鹿さん。そんな些細なことから話が弾んだり、病気の兆候が見つかることも本当にあるのだとか!

マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん
私も同席したお客さんに使い方を教えてもらいながら、いざ計測…健康でした!

「またね!」とお客さんに声をかける小鹿さん。そんなちょっとした一言やユニークな仕掛けづくりが、おむすびを買いに行くという目的になるだけではなく、「話を聞いてもらいに行きたい」「またお店の人の顔が見たい」と思わせてくれ、そして「ここがあなたの居場所だよ」と言ってくれているような気がしました。

今実践している居場所づくり「マチの中にお守りをつくる」

そんな八尾市の「マチの居場所」は現在、小鹿さんのおむすびスタンドだけではありません。マチの中に誰かの居場所となり得るお店がもっと増えたらいいな、そんな思いから小鹿さんの活動に賛同した八尾市のお店計12ヶ所が「マチのお守り店」としてお客さんのことを見守る住民主体のプロジェクトが進行中。それぞれのお店の店主が普段の生活から見守るのはもちろん、定期的にコミュニティナースがお店でハンドトリートメント等のイベントや健康講座を開催することもあるそうです。このように「マチのお守り店」はコミュニティナースの活動を行う拠点としての役割も担っています。

マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん
(左)お守り MAP 少しずつですがお守り店増加中!(右)お守り店、KISSA ZEROICHIさんで開催された健康イベント

実はコミュニティーナースが月に1回お店を訪問し、店主の健康づくりのお手伝いも行っています。なかなか多忙な店主は自分の健康は後回しにしてしまうことも多いそうです。

お店を利用する地域の人々、店主、そしてコミュニティナースのようなマチで活動する人々、それぞれが持ちつ持たれつの関係性を作り、それが可視化されることで互いに健康について意識する、そんな拠点がこの「マチのお守り店」なのです。

マチの居場所づくりの仕掛け人、おむすびスタンド店主兼コミュニティーナース 小鹿千秋さん
お守り店となったことで自分の不調に気づくことができたと話すkintoki店主

ちなみなんで「お守り」なんでしょうか?

地域の高齢化が進む八尾市ですが、どうすれば自分達の取り組みを若者だけではなく多くの人に受け入れてもらえるか考えたそうです。そこで「コミュニティスペース」などの横文字ではなく、あえて「お守り」という馴染みのある言葉で発信をしたそうです。ここでも小鹿さんの仕掛けづくりの才が輝いていました!

マチのお守りプロジェクト▷https://www.instagram.com/machino_omamori_2024

この記事で登場する八尾市の「マチのお守り店」

KISSA ZEROICHI▷https://kissazeroichi.com

Kintoki pancake &bakehttps://www.instagram.com/kintoki_yao

マチ全体で地域の健康を守る

隣の人のことを気にかけてあげる=「おせっかいをする」。そんなことは昔では当たり前だったように思いますが、現在はそんな習慣も疎まれ、希薄化していく一方です。だからこそ身近にあるマチの個人店がそのような役割を果たせるのではないか、小鹿さんはマチの個人店の必要性について「マチのお守り店」を作ったことでより強く感じているそうです。マチのひとりひとりが、住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らしていけるそんな地域づくりを目指している小鹿さんたちのまちづくりのこれからが楽しみです。

八尾市に行った時には「マチのお守り店」へ、そして小鹿さんに会いに一度足を運んでみてはいかがでしょうか?きっと心が温かくなりますよ。