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【福岡・八女市】ファームステイ滞在記

宿泊施設

2025.03.11

八女・黒木町の山あいに、ちょっと気になる暮らしをしている夫婦がいる。ジュンコさんとリキャさんだ。

自分たちで育てた野菜やハーブを使ってビーガン料理をつくったり、一昨年買った古民家をコツコツ改修したり。「作れるものは作ってみよう!」と、暮らしそのものを実験のように楽しんでいる。

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奥八女の大自然で植物を育てながらの生活。最近は太陽光発電にも取り組んでいて、エネルギーの循環についても興味があるんだとか。
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新たに購入した古民家の倉庫。ジブリの映画に出てきそうな雰囲気だ。

そんな彼らが続けているのが「ファームステイ」というプログラム。畑仕事や古民家の改修を手伝う代わりに、宿泊と食事が無料で提供される。

なんだか楽しそうだけど、実際どんなことをするの? 初対面でも大丈夫? ひとりでも参加できる? 

気になることがたくさんあったので、福岡R不動産の行友と松本で実際に1泊2日、体験してみた季節によって作業は変わるけれど、実際に足を運んでみたくなるようなきっかけになれば嬉しい。

 

【DAY1 -12:00 まずはご飯作りから】

福岡市内から車で1時間半弱。夜の焚き火のお供にと、途中でお酒を調達。滞在中の食事はビーガン料理だけど、どうしても肉や魚が食べたい!という人は持ち込みもOK。(このあたりのおおらかさが有難い)

着いたらすぐに昼食作り。見たことのない食材や調味料が並ぶ台所に、ちょっとワクワク。

ハヤトウリ?テンペ?

コンビニ弁当もよく食べる私には馴染みのないものばかり。でも、ジュンコさんとリキャさんの手にかかると、どれも驚くほどおいしくて、満足感たっぷり。作りながらレシピを教わることができるのも滞在の醍醐味。

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本日のメニューはスパイスカレー。 副菜はタンドリーテンペ。テンペとはインドネシアの伝統的な発酵食で大豆をテンペ菌で発酵させるのが一般的。今回は大豆の代わりに古代米を使用。お肉みたいな見た目だけどモチっとしてる。タンドリーってチキン以外にもあったんだ。
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こたつでぬくぬくしながら食べるごはん。おかわりし過ぎて、動けないほどお腹いっぱいに。これから働くのに、大丈夫かな。

【14:00 トマトの収穫】

2人は「不耕起栽培」という、土を耕さずに育てる農法を実践中。一種類の作物だけを植えるのでなく、様々な作物や雑草が共に育つ。

生物多様性が生まれ、土壌が豊かになり、自然な生態系が維持されるといわれている。そのため、菜園のあちこちにトマトが実り、収穫するだけでも結構な時間がかかる。

でも、それもまた、この畑らしさなのかもしれない。

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【16:00 コンポスト作業】

「土の中に生ゴミを入れ、微生物の力で分解する」コンポスト。

2人が使っているのは「キエーロ」というタイプで、仕組みはシンプルで、

  1. 雨が直接当たらないように屋根をつける
  2. 太陽の光を取り入れるために屋根を透明にする(温めて微生物の働きを活発にする)
  3. 風通しをよくするために密閉せず、どこかに隙間をつくる(土の表面を常に乾いた状態に保つ)

こうすることで、微生物が活発に働き、生ゴミがスムーズに分解される。

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手作りのキエーロ。
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コンポストにも菜園にも使っている枯れ木や枝葉。これらが栄養になることを知っているから庭仕事が楽しくなっているんだそう。
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ジュンコさんはさらに山や道端で拾った枯れ木や白くなった葉を投入。枯れ木や白い葉にはたくさんの菌がついているので分解を促進してくれる。こんな枯れ木が宝なのよ〜とうれしそうに話すジュンコさん

驚いたのは、密閉していないのに臭わないこと。

一般的に「臭いものには蓋をしろ」と思いがちだけど、実は逆。密閉すると生ゴミの水分がこもり、結露を起こして腐敗が進み、嫌な臭いが発生してしまう。でも、キエーロは土の表面を乾いた状態に保つことで、腐敗臭を防げるらしい。知識としては知っていたけど、実際に体験すると納得感が違う。

やっぱり、手を動かして学ぶのがいちばん面白い!

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土を掘り、生ゴミを入れ、米ぬか、土、枯れ草の順に重ねていくだけ。

【18:30 夕食作り&焚き火タイム】

「テンペ、おいしかったね」という話から、夕食はテンペのパスタに決定。普段は時間に追われているけれど、じっくり手を動かして、みんなで味を調整していく時間が楽しい。

ごはん作るのって、こんなに楽しかったんだなぁ。

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松本さん、楽しそう。

夕食の後は入浴と焚き火。

お風呂は火で湯を沸かす五右衛門風呂スタイル!リキャさんが何度も火の加減を調整してくれたおかげで、ちょうどいい湯加減に。

外から「熱くない?」って聞かれながら入るお風呂は、なんだか特別。

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【DAY2-9:00 朝食】

昨日は話し込んでしまい、24時すぎに就寝。

のんびり起きて、朝ごはんは自家製パンにジャムやピーナッツクリーム。

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【10:00 収穫・草木の剪定・ヘチマスポンジ作り】

高いところに成ったバターナッツかぼちゃを収穫したり、ヘチマの皮を剥いてスポンジ作りをしたり。刈り取った草や蔓は捨てずに畑へ戻す。

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積み重ねた植物の下には、たくさんの生き物が集まってきて、それらが有機物を分解し、自然と肥料のような成分を作り出してくれる。そして、その過程で土の粒子がまとまり、「団粒構造」と呼ばれる理想的な土壌が生まれる。 「植物を育てるというより、土を育てている感覚」とジュンコさん。たしかに、この場にいると、「すべてが循環している」ということが肌で感じられる。

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コンポストと同じように、畑にも土だけで落ち葉や炭を撒いていく。炭は無数の気泡を持ち、微生物の棲家として最適なのだとか。
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表面が乾いたら少し穴を掘り、苗を植える。今回は時間の都合でここまでできなかったのが残念。
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乾燥させてヘチマの皮を剥いてスポンジに。

出来上がったヘチマスポンジをお土産にいただいた。

使ってみると泡立ちがよく、丈夫で何度使ってもへたらない。これが畑で育ったものだと思うと、なんだか愛着も湧いてくる。自宅でも育ててみようかな。

【12:30 昼食、解散】

昨日のパスタソースやカレーを組み合わせて、各々でアレンジ料理。 晴れた空の下、テラスで食べるごはんは、なんでもないけど贅沢な時間だった。

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【2日間を終えて】

初めてのことをするのって、ちょっと緊張するもの。

でも、この場には、不思議なほど安心感があった。ジュンコさんとリキャさんは、何かを教え込むんじゃなくて、「一緒にやってみよう」というスタンス。

だから、うまくできなくても大丈夫。むしろ、それすら面白がってくれる。

そのおかげで、気負わずに体験できたし、学ぶことそのものが楽しくなった。知らないことが「できるようになる」喜びではなく、ただ「やってみる」ことの面白さを味わえたのは、2人のおかげだ。

そして、彼らと過ごしていると、どんな人でも受け入れ、それぞれの良さを活かしてくれる、そんな心地よさがある。受け入れて、活かして、循環させる。それって、まるでコンポストみたいだなと思った。自然の仕組みを学びながら、それが言葉や行動にも表れていく。そんな生き方が素敵だなと思う。

手を動かし、体を動かし、心も動かされる。忙しくて、楽しくて、あっという間の2日間だった。

帰りの車の中、ちょっとだけ筋肉痛。でも、それも悪くない。

【番外編】

過去には、福岡R不動産のスタッフ全員でワーケーションの場として利用したことも。古民家でミーティングして、温泉に行って、夜は焚き火。こんなに楽しい研修、なかなかない。

ファームステイ以外の宿泊プランもあり、私たちのように研修施設として使うのもおすすめ。

菜園に興味がある人、移住を考えている人、とにかく自然に癒されたい人。それぞれにフィットする滞在プランがある。


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滞在の詳細は下記のサイトよりどうぞ。

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