【福岡・八女市】ファームステイ滞在記
宿泊施設
八女・黒木町の山あいに、ちょっと気になる暮らしをしている夫婦がいる。ジュンコさんとリキャさんだ。
自分たちで育てた野菜やハーブを使ってビーガン料理をつくったり、一昨年買った古民家をコツコツ改修したり。「作れるものは作ってみよう!」と、暮らしそのものを実験のように楽しんでいる。


そんな彼らが続けているのが「ファームステイ」というプログラム。畑仕事や古民家の改修を手伝う代わりに、宿泊と食事が無料で提供される。
なんだか楽しそうだけど、実際どんなことをするの? 初対面でも大丈夫? ひとりでも参加できる?
気になることがたくさんあったので、福岡R不動産の行友と松本で実際に1泊2日、体験してみた。季節によって作業は変わるけれど、実際に足を運んでみたくなるようなきっかけになれば嬉しい。
【DAY1 -12:00 まずはご飯作りから】
福岡市内から車で1時間半弱。夜の焚き火のお供にと、途中でお酒を調達。滞在中の食事はビーガン料理だけど、どうしても肉や魚が食べたい!という人は持ち込みもOK。(このあたりのおおらかさが有難い)
着いたらすぐに昼食作り。見たことのない食材や調味料が並ぶ台所に、ちょっとワクワク。
ハヤトウリ?テンペ?
コンビニ弁当もよく食べる私には馴染みのないものばかり。でも、ジュンコさんとリキャさんの手にかかると、どれも驚くほどおいしくて、満足感たっぷり。作りながらレシピを教わることができるのも滞在の醍醐味。


【14:00 トマトの収穫】
2人は「不耕起栽培」という、土を耕さずに育てる農法を実践中。一種類の作物だけを植えるのでなく、様々な作物や雑草が共に育つ。
生物多様性が生まれ、土壌が豊かになり、自然な生態系が維持されるといわれている。そのため、菜園のあちこちにトマトが実り、収穫するだけでも結構な時間がかかる。
でも、それもまた、この畑らしさなのかもしれない。
【16:00 コンポスト作業】
「土の中に生ゴミを入れ、微生物の力で分解する」コンポスト。
2人が使っているのは「キエーロ」というタイプで、仕組みはシンプルで、
- 雨が直接当たらないように屋根をつける
- 太陽の光を取り入れるために屋根を透明にする(温めて微生物の働きを活発にする)
- 風通しをよくするために密閉せず、どこかに隙間をつくる(土の表面を常に乾いた状態に保つ)
こうすることで、微生物が活発に働き、生ゴミがスムーズに分解される。



驚いたのは、密閉していないのに臭わないこと。
一般的に「臭いものには蓋をしろ」と思いがちだけど、実は逆。密閉すると生ゴミの水分がこもり、結露を起こして腐敗が進み、嫌な臭いが発生してしまう。でも、キエーロは土の表面を乾いた状態に保つことで、腐敗臭を防げるらしい。知識としては知っていたけど、実際に体験すると納得感が違う。
やっぱり、手を動かして学ぶのがいちばん面白い!

【18:30 夕食作り&焚き火タイム】
「テンペ、おいしかったね」という話から、夕食はテンペのパスタに決定。普段は時間に追われているけれど、じっくり手を動かして、みんなで味を調整していく時間が楽しい。
ごはん作るのって、こんなに楽しかったんだなぁ。

夕食の後は入浴と焚き火。
お風呂は火で湯を沸かす五右衛門風呂スタイル!リキャさんが何度も火の加減を調整してくれたおかげで、ちょうどいい湯加減に。
外から「熱くない?」って聞かれながら入るお風呂は、なんだか特別。
【DAY2-9:00 朝食】
昨日は話し込んでしまい、24時すぎに就寝。
のんびり起きて、朝ごはんは自家製パンにジャムやピーナッツクリーム。
【10:00 収穫・草木の剪定・ヘチマスポンジ作り】
高いところに成ったバターナッツかぼちゃを収穫したり、ヘチマの皮を剥いてスポンジ作りをしたり。刈り取った草や蔓は捨てずに畑へ戻す。
積み重ねた植物の下には、たくさんの生き物が集まってきて、それらが有機物を分解し、自然と肥料のような成分を作り出してくれる。そして、その過程で土の粒子がまとまり、「団粒構造」と呼ばれる理想的な土壌が生まれる。 「植物を育てるというより、土を育てている感覚」とジュンコさん。たしかに、この場にいると、「すべてが循環している」ということが肌で感じられる。



出来上がったヘチマスポンジをお土産にいただいた。
使ってみると泡立ちがよく、丈夫で何度使ってもへたらない。これが畑で育ったものだと思うと、なんだか愛着も湧いてくる。自宅でも育ててみようかな。
【12:30 昼食、解散】
昨日のパスタソースやカレーを組み合わせて、各々でアレンジ料理。 晴れた空の下、テラスで食べるごはんは、なんでもないけど贅沢な時間だった。
【2日間を終えて】
初めてのことをするのって、ちょっと緊張するもの。
でも、この場には、不思議なほど安心感があった。ジュンコさんとリキャさんは、何かを教え込むんじゃなくて、「一緒にやってみよう」というスタンス。
だから、うまくできなくても大丈夫。むしろ、それすら面白がってくれる。
そのおかげで、気負わずに体験できたし、学ぶことそのものが楽しくなった。知らないことが「できるようになる」喜びではなく、ただ「やってみる」ことの面白さを味わえたのは、2人のおかげだ。
そして、彼らと過ごしていると、どんな人でも受け入れ、それぞれの良さを活かしてくれる、そんな心地よさがある。受け入れて、活かして、循環させる。それって、まるでコンポストみたいだなと思った。自然の仕組みを学びながら、それが言葉や行動にも表れていく。そんな生き方が素敵だなと思う。
手を動かし、体を動かし、心も動かされる。忙しくて、楽しくて、あっという間の2日間だった。
帰りの車の中、ちょっとだけ筋肉痛。でも、それも悪くない。
【番外編】
過去には、福岡R不動産のスタッフ全員でワーケーションの場として利用したことも。古民家でミーティングして、温泉に行って、夜は焚き火。こんなに楽しい研修、なかなかない。
ファームステイ以外の宿泊プランもあり、私たちのように研修施設として使うのもおすすめ。
菜園に興味がある人、移住を考えている人、とにかく自然に癒されたい人。それぞれにフィットする滞在プランがある。
滞在の詳細は下記のサイトよりどうぞ。
LIGHTS veganteam official site
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