【鎌倉市腰越】「腰越が好き」でつながる、まち起こし集団「チーム腰越」を取材しました

鎌倉市の腰越商店街マップの作成、龍口寺交差店バザール、江ノ電と共同で行う腰越アートストリート、腰越御朱印帳作成に、季節に合わせたイベントまで。さまざまな活動を行う「チーム腰越」という集団がいると知ったのが昨年のこと。スポンサーなどはなく、また固定メンバーも代表者もいないチームということで、一体どんな集団なの？と思い、今回取材に行ってきました。

取材に答えてくださったのは、チームの長尾さんです。
長尾さんが仰るに、「チーム腰越」というものは概念。とてもゆるく自然に集まった人たちで活動を行っているのがチーム腰越なのだそうです。決まったメンバーや代表者がいる訳ではなく、みんなに共通しているのは「腰越が好き」という気持ち。そして、この場所にいるとホッと安心できたり、誰かに頼れたり、頼られたりして支えあっている。そんな集まりなんです、と長尾さん。

とはいえ、中心となっている方はいて、なかじまひさこさんという方がそもそもこのチームの始まりとなっているのだと教えてくれました。始まりはなかじまさんが腰越で始めたラジオ体操。本気でラジオ体操に取り組んでいたら、人が集まるようになり、それが活動のきっかけとなったのだそうです。ラジオ体操はいまでも続いており、水曜と金曜の朝7時30分から行っています。なかじまさんの元に集まっているメンバーという感じもしますが、それぞれが得意なものを自然と分担して、ゆるく楽しくできているからこそここまで続いてきたのかな、と長尾さんは言います。

なかじまさんは、いまではvol.8となった「腰越街歩きマップ」の発案者でもあります。最初は商店街のマップを作ろうと、一軒一軒のお店に自らお声かけし、掲載させてもらえるお店を探したそうです。vol.1から大きなデザイン変更は行っておらず、可愛らしいデザインを担当してくれたのは、飲食店を営んでいた当時のメンバー。ほぼ手作りで制作したのですが、いまではマップに載せるお店の範囲も広がり、オリンピック・パラリンピックの際には防災情報を入れたものを発行、江ノ島電鉄株式会社と協力して、レンタルサイクルの情報を入れたり、地元の漁港の方からのリクエストで魚やわかめのイラストが加わって…と情報も盛りだくさん。これだけのマップ作りを、チームで作っている御朱印帳の販売益や商店会の協賛、鎌倉市からの助成金で行っているというのがすごいなと思いました。

チーム腰越と江ノ島電鉄株式会社（以下江ノ電）は、いまでは一緒にイベントなどにも取り組む間柄ですが、実はこのマップがきっかけとなっていて、江ノ電から「駅にマップを置かせてほしい！」とコンタクトをとってくれたのだそう。その時に「置いていただいて構わないのですが、その代わりイベントなどまちと関わる活動に参加してほしい」と要望を出したのだそうです。江ノ電には、エリアごとの担当者がいて、いまでもイベントに参加してくれたり、お菓子を提供してくれたりするのだそう。「ただお金を出して終わり。という関係性ではなく、しっかりと人の顔を見て関わる間柄でいたかった」と、チームとして考えているのだそうです。

江ノ電の協力のおかげで、チーム腰越の活動も幅広くなります。例えば「腰越アートストリート」というプロジェクトは、江ノ電と共同で行っています。商店街の店のシャッターにカラフルな絵を書いて、商店街に活気を生み出すプロジェクトです。また、腰越駅の折り紙の装飾を作っているのもチーム腰越。ひと月ごとに折り紙アートの内容を変えて掲示しています。

チームとして取り組むのは、それ以外にも季節ごとのイベントや普段から防災の意識を高めるための「炊き出しごっこ」（防災と言ってしまうとハードルが上がるので、本当は防災と言わないようにしているそうです）。龍口寺バザールや夏の花火とキャンドルナイト、子どもたちも参加するハロウィンパレードや冬の餅つきなどなど。まちの人たちが楽しめる、まちの人たちが集まるイベントを行っています。

これだけの活動をほぼボランティアで続けている「チーム腰越」ですが、その力の源はなんだろう、と考えたときに長尾さんは「幸せとはなんなのか、そのふんわりとした答えがここにはあるからだと思う」と言ってくれました。

チームの活動は誰かが苦しいと感じたり、嫌だと思うならやらない。ということを前提としていて、止めたり方向を変えたりということに対しても柔軟に考えているそうです。また、本当になにかあったときにはなかじまさんが責任をとるよ、と言ってくれるものの、チームのみんなもそれぞれに責任感を持って取り組み、その結果自然と集団として成り立っているんですよね、と。その肩の力がいい意味で抜けている感じが、チーム腰越だし、腰越というまちだよな、とも感じました。

これからも「チーム腰越」の活動が、腰越というまちを知ってもらうきっかけとなるように、またこのまちの素敵さを他の地域の方だけでなく、地元の人たちにも再発見してもらえるように。そんな気持ちでチーム腰越は活動を続けています。

ちなみに、次回のチーム腰越が企画するイベント「龍口寺交差店バザール」は、2025年4月19日です。ぜひ、みなさん足を運んでみてください。