上手工作所が手がける、暮らしの提案の場所
ものづくり集団が運営する複合施設JOZU+
上手工作所は東大阪の小さな木工所からスタートした、木工・鉄工のものづくり集団。2019年に豊能町へ移転してからは飲食店や家具・雑貨のショップを含む複合施設「JOZU +」を運営しています。大阪北部の山間部、緑に囲まれ気持ちの良いこの場所が出来た経緯をお聞きしました。

飲食業を始めたワケ
東大阪の工場が火災に遭い、周りに建物がないところを探した結果辿り着いた、豊能郡豊野町。2019年に工場を移転し家具や金物の制作を再スタートされました。
周りに建物がないということは飲食店やスーパーもないということ。「スタッフがご飯を食べる場所がないので私の母や近所のお母さん達にパートタイムで手伝ってもらって、工場内のキッチンで社食を作っていました。」(雅代さん)
その後、事業の拡大に伴いスタッフが増加。豊能に移転した時は12人だったスタッフが70人まで増え、お母さん達だけで社食を作るのが難しくなってきました。
プレハブのつもりが複合施設に

「社食の提供が難しくなってきた頃、ちゃんとしたご飯を食べたい!とスタッフに怒られてしまい(笑)改めて食事って大切なんだなと思いました。そこで社食機能を持たせた建物をプレハブでも良いので作ろうとしていたのですが、社外の方に『折角なら外向きにやりなよ!』とアドバイスいただいたんです」(雅代さん)
飲食業は全くの素人だったという雅代さんですが、いざ計画を始めるとやりたいことがどんどん膨らみ、社食のつもりがレストランに、レストランのつもりが複合施設になり、当初思っていた倍の規模の施設になったそう。

レストランをきっかけに訪れてもらい、暮らしを豊かにする家具や雑貨や書籍に出会う場所になれたらいいな。雅代さんの言葉の節々からそんな思いを感じました。
1日滞在できる複合施設


複合施設JOZU+には、発酵食をコンセプトにした飲食店が2店舗、食器や小物のセレクトショップ、家具や本の販売、と盛りだくさんの内容が2階建ての開放的な空間に詰め込まれています。

さらにワンちゃん連れの方が食事できるウッドデッキエリアがあり、徒歩5分の場所には上手工作所の本業である家具や金物を見られるショウルームも!
暮らしに関連した色々なモノが集まり、何時間も楽しめる場所です。

レストランやカフェは40~60代のお客様が多いということですが「若い方にももっと来て欲しい!」と雅代さん。
車があれば大阪市内中心部から1時間以内でアクセス可能。デートや友人とのプチ遠足に、1日かけてゆっくりしに行くのがオススメです。

工作所としての展望
「今までは個人のお客様に向けて家具や金物の商品を一生懸命発信してきましたが、これからはもっとtoBのお仕事もしていきたいです」(入江さん)

「例えばホテルの共用部に使うサインやインテリアの金物など、既製品の販売だけでなくオーダーで色々作れる強みを活かして取り組んでいきたいです」(入江さん)
設計事務所の方にはこんなことできる?という相談をぜひ気軽にしてほしい!とのこと。特に真鍮の加工は全国的にもできる工作所が少ないそうで、今後も上手工作所の活躍が期待されます。

目的があってもなくても楽しめるJOZU+。次の休みに、ぜひ一度足を運んでみてください。本記事では紹介しきれませんでしたが、JOZU+の建築物には色々なこだわりが詰め込まれています。上手工作所のWEBサイトで建築的な見どころが紹介されているので気になる方は合わせてお読みください。