ガラス&カフェで、二人三脚邁進中!
ガラス作家 有永浩太/「Shiho cafe」有永史歩さんご夫妻
ひがし茶屋街は今や観光客がひっきりなしに訪れる場所となっているが、そこから路地を入って少し行くと人通りも落ち着いた静かな場所となり、町家を改装した小規模でユニークなお店がいくつもできている。たとえば、「ひがしやま荘」「町屋塾/カフェ十一夜」、そして今回ご紹介する、2015年6月にオープンしたばかりの「Shiho cafe」もそのうちの一軒である。
有永史歩さんが経営するカフェで、ご主人でガラス作家の有永浩太さんのギャラリーも兼ねている。
旦那さんの有永浩太さんは大阪府堺市出身。史歩さんは福島県福島市出身で、史歩さんは20代はニューヨークに住んでいたが、一時帰国をした福島で浩太さんと出会い結婚。
ガラスの原料が採れることで有名な東京都の離島・新島に浩太さんの職場があったので、一緒に新島に住むこととなった。
それから2009年の冬、今度は石川県七尾市能登島に一家で移住。「浩太さんの叔母さんが画家をしていて能登島に住んでいたのですが、その晩年、初めて家族で訪れまして。とても良いところだと感じました」。その後その叔母さんが亡くなり、その家を引き継ぐかたちで能登島に居を移した。
有永さん夫妻は能登島で行われているクラフト作家のイベント「のて(のとじま手まつり)」の実行委員を担当するなど着実に土地に根づきつつあったが、一方で金沢市内にある伝統工芸継承施設「金沢卯辰山工芸工房」で浩太さんがガラス工房の専門員をすることになり、2011年、今度は能登から金沢に移ることに。
その後、史歩さんは出張カフェなどを経て、念願の「Shiho cafe」の実店舗と浩太さんのガラスが展示できる場所を探し、2015年、現在の町家物件に巡りあう。そして、自分たちで改装してカフェにした。
カフェメニューは、浩太さんが展示をさせてもらった「ルヴァン」に修行に行って覚えた玄米キッシュ、金沢市内の珈琲焙煎所「cowry coffee」に淹れ方を習った濃厚贅沢珈琲や、「能登島のおばちゃん」お手製の紫蘇ジュースなど。他にも、糀料理研究家・小紺有花さん直伝の、油を一切使っていない「糀のグリーンカレー」などが楽しめる。
金沢に越してきた印象を史歩さんに聞いた。
「北陸新幹線もできて東京とも行き来が圧倒的にしやすくなったし、緑もたくさんあるし、そして人のつながりがとても感じられる町だと思う。人とつながりを築くペースがほかの場所よりも早いので、移住者には居心地が良い場所になるのでは。私たちもいろいろな方を紹介してもらいながら、どんどんご縁をつないでいけました」
来年からは、金沢と能登島とを行ったり来たりして暮らす二地域居住を考えているという。「いずれ夫は、ガラス工房を能登島につくりたいと思っているようです」