スナックかほりのワイン放浪 vol.2「ワインバー&キッチン 食堂メルカド」
あぁ、なぜこんなにもワインは美味しいのかしら。なぜこんなにも美味しいワインがこの山形に恵まれているのかしら。なぜワインが美味しく飲めるお店がこんなにもたくさんあるのかしら。そしてなぜワインに携わる人たちはこんなにも魅力的なのかしら……。そんな熱いため息ばかりが洩れてしまう素敵な山形ワインライフを、呟きのように綴っていきます。一度東京に出て、いろいろな地域に行って、Uターンして、山形の魅力がわかってきた今だからこそ、お伝えできそうな気がして。
山形でのDEEPなワイン酒場といえばここ。
オーナーの軽快なトークと心地よい音楽と雰囲気でワインが泡のようになくなる。
さて、今回ご紹介するお店はこちら「ワインバー&キッチン食堂メルカド」さん。山形市七日町にあるこちらのお店は、ワイン好きのアダルトたちが足繁く通うお店。オーナーの正弘さんはもともと編集者。国内外のカルチャー、歴史、トレンドを誌面にしてきて、山形にUターン、そしてメルカドをOPEN。正弘さんのこだわりがたくさん詰まったお料理とワイン、そして音楽やディスプレイなど、お店の空間は訪れた人を虜にする。

お店は完全ワンオペで正弘さんがお料理を作ってワインを提供してくれる。ワインはもちろんおまかせ。正弘さんがお料理に合うワインをセレクトしてくれる。1杯目は、ドイツのピノ・ブラン(という白ぶどう品種)。もちろんこの日もブラインドをしてみるものの、品種どころか国も当たらない(笑)。とりあえず、ブラインドは置いておいて、絶対に食べてほしいのが、こちらの「季節の前菜の盛り合わせ」。その時々の旬のものを山形の郷土料理からのイマジネーティブな一皿にしている。この日は、庄内浜の鯛、じゃがいものグラタン、ビーツのスープ、スパイシーりんごや茸のオーブン焼きなど、これだけで結構お腹が膨れるくらいのボリューム。どれを食べても美味しいから、あっち食べたりこっち食べたり、ワイン飲んだりで口の中は大忙し。

正弘さんは、出張シェフや他の店舗でのイベントなどもしない。なぜか聞いてみると、この場ですごす時間を味わってほしいのだそう。色調の暖かさ、音楽、装飾、カトラリー、お皿・・・と、すべて正弘さんが一つ一つこだわって選んだもの。だから、メルカドを構成する一部だけ外へ持ち出しても、楽しくないしね…と笑う。このお店を訪れるからこそ、正弘さんのこだわりや作り手に対する畏敬の念が感じられるの。

もともと編集者だったのに、なぜ料理人?って思う人も多いと思うけど、正弘さんにとっては、編集者も料理人もやっていることは一緒とのこと。インプットをどんなアウトプットに仕上げるか?その過程にあるアイデアや技術を磨きつづけることは、コンテンツの企画、制作とおなじ。ふだんから興味関心、探求の対象をあちこちに求めることが楽しみかなぁと笑う。そんな正弘さんの人生観や想いを聞いていると、ワインもどんどん進んでしまうから困っちゃう。


さてさて、この日のメインディッシュは、山形牛のグリル。こちらに合わせていただいたのが、フランスのカリニャンという品種の赤ワイン。飲みすぎて、グラスに注いだ写真撮るのを忘れちゃったわ(笑)。ここから、正弘さんの言葉遊びが始まる。このワインに合わせて〆で出てきたのが鯖パスタ。そして、こちらの鯖パスタに合わせて出してもらったのが、フランスの「サバニャン」という白ぶどう品種のワイン。「カリニャン→鯖パスタ→サバニャン」という言葉遊びをしながらのペアリング。このワインとお料理のくだりを聞きながら、カウンターで正弘さんとお話しするのが至福の時間。

ワインの品種なんてわからなくても、そんな名前のぶどうがこの世の中にあるんだ、こんな味わいがするんだと、五感を使ってワインを楽しめるお店。正弘さんが世界各地に連れて行ってくれるような感覚。訪れるたびに、旬の食材を正弘さんのこだわりの方法で出してくれて、世界各地のワインが楽しめる。一度行けばファンになること間違いなしの正弘ワールド。是非一度といわず、二度、三度お試しあれ。

■ワインバー&キッチン 食堂メルカド
https://www.instagram.com/marchiyo/