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街を耕す食堂

カルチア食堂

神戸市の中でも兵庫区の和田岬は辺鄙な場所だ。中心街から電車で15分ほどで行けるが、神戸に住む人でもこの辺りのことを知る人はそう多くない。そんな場所に、岡山県で生まれ育った2人が店を構えた。昔ながらの下町風情が残り、代々この土地に住む人も多いが、一方でこのところ若い人たちで他所から移ってきているケースが増えている。そして2014年、この地にできた店「カルチア食堂」にはそうした層が不思議と集まってきている。

街を耕す食堂
「カルチア食堂」の外観。1階が食堂。2階を居住スペースにして、3階をギャラリーにしている。

このお店を立ち上げた仲島義人さんと平井陽さんは共に岡山県津山市の出身。二人は小・中学校の同級生でバスケ部仲間だった。中学卒業後に仲島さんは調理師になる道を選び、平井さんは大学進学を目指して高校に入った。まったく別の進路をとった二人は、2010年に再会。当時、仲島さんは神戸のホテルで料理人として働いていたが、料理一筋の生活にどこか悶々とした思いを抱えていた。そんな仲島さんの目には、大学院卒業後に建築関係の仕事に就きながら京都の劇団VOGAの活動に関わっていた平井さんの姿が、刺激的に映ったという。劇団の野外公演を観るため二人で訪れた犬島で、何かが弾けた。翌年、大阪・中崎町で開催されたアートイベントに二人で共同制作した絵を展示。その後は創作活動を続けながら、自分たちでもイベント企画を重ねた。

街を耕す食堂
食堂の内観。ランチとディナーの営業を行う。不定休。

そうして2013年の年末。仲島さんがたまたま見つけたのが、和田岬の空きビル。家賃を聞いて、仲島さんが1階で店を経営しながら、平井さんが2階に住めばなんとかやっていけるのではという話になった。2014年6月4日、「カルチア食堂」をオープンする。

ここに住むことを決めた理由を尋ねると、「これから面白くなっていく可能性を和田岬というエリアに感じたから」と答えてくれた。彼らの目から見れば、街の経済を支えてきた造船業が勢いをなくし、やや寂れた雰囲気をまとっているこの現状も、むしろその余地こそ最高の魅力というか、自分たちが入っていくことで新しい何かを足していけるのではという楽しみさえ感じたのだろう。同じ感覚でここに住む人たちが増えれば、きっと新しいこの街の姿が見えてくる。そんな確信が彼らにはあった。

「絵を描くことも、カルチア食堂も、僕らにとっては創作活動の一環なんです。この街には僕らの創作意欲を掻き立てる余白が残っている」

街を耕す食堂
この場所を作っていくことの楽しさを平井 陽さんは語ってくれた。

なお平井さんは和田岬に住みながら平日は大阪の建築関係の会社に通い、週末はカルチア食堂の活動を行っていた。今年の4月には東京に転勤となったが、月1で帰ってきて、連棟の隣のビルを改装してカルチア食堂に集う仲間たちと新しい場所を創ろうとしている。

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カウンター内から覗く笑顔。ここが仲島義人さんの定位置だ。

一方、仲島さんのことは、彼の料理から垣間見ることができる。お任せで料理を頼むと、ズッキーニの炒め物や鶏肉のタタキと一緒に、イチジクの生ハム和えが同じお皿に載せられている。素材そのものの良さを活かしながら、さり気なく一ひねりを加えるのが楽しいのだそうだ。

平井さんと仲島さん、彼らのコンビネーションがカルチア食堂をつくり、それが和田岬に新しい空気感をもたらそうとしている。

彼らに限らず、このエリアには北欧デザインをテーマにしたヴィンテージ家具販売・カフェの店「北の椅子と」や、下町の駄菓子屋兼B級グルメの店として商いを続けている「淡路屋」、こだわりのパン屋「メゾン ムラタ」など、わざわざ訪れてみたくなる個性的な店舗がいくつかある。

「カルチアはカルチャー=文化のことでもありますが、もともとラテン語で『耕す』という意味があるんです。和田岬エリアをもっと面白くしたいという想いでここに住み始めましたが、洗練されるのでなく、むしろどこか庶民臭さを残したかったからあえてカルチアと昭和風な響きで命名しました。神戸の海岸通りにあるビルがビルディングじゃなくてビルヂングと書かれているのを見ていいなと」(仲島さん)

街を耕す食堂
岡山から出てきたコンビが、和田岬から彼らの世界を発信していく。

先述の通り、平井さんと仲島さんの創り出した「面白さ」に引き寄せられて、和田岬に住む移住者たちがカルチア食堂に集う。和田岬とはどんな街なのか、そこでどんな空気が生まれているのか、まずはこの場所を訪れることから始めてみてはどうだろう。

住所

兵庫県神戸市兵庫区笠松通7-1-8

名称

カルチア食堂

業種

レストラン

TEL

090-5705-6207

営業時間

ランチ:12:00~14:00

ディナー:16:00~24:00

定休日

不定休(事前にTELにて確認推奨)

料金

ランチ:780円~

ディナー:2000円~

備考

不定休なので、事前に電話にて確認されることをおススメします。

URL

https://www.facebook.com/CultureSyokudo/?fref=ts

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