ピースに広がる港の顔
LIVE HOUSE PEACEオーナー大瀧 純さん
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どんなジャンルのイベントで出会っても、いつもその場に馴染んで見える好青年。「純君」とたくさんの人に相性で呼ばれ、人懐っこい性格で人気者の大瀧 純さんは、福岡市中央区の荒戸にあるライブハウス「PEACE」のオーナー。そして地元のお祭り「かもめのグリル」の実行委員長であり、東京に住まれていたことのあるUターン移住者です。
今は音楽業界の最前線にいる純さんですが、この仕事を始める前は東京にある大手の写真スタジオに就職していました。
それ以前はプロのカメラマンを目指し、写真科のある大学へ入学。在学中には自発的にグループ展を開いたり、アートや写真の勉強のため短期でニューヨークやベルリンにも滞在。
「旅の中で出会った温かい人たちに支えられ、何をするにも「人」が大切であると感じました。そして頑張れば不可能だと思ったことを可能にできるということも」
世界の中でもアートが盛んな2つの都市を経験した後、東京で就職。東京では都心部に住み、残業は毎月100時間以上こなしていたそうです。
ここまでは、プロカメラマンへの階段を一段ずつ上る人生を送っていましたが、東京暮らしが2年経った頃に、お父様の末期ガンが発覚し、まもなく他界。そしてお父様が他界される2年前に始めたライブハウスを引き継ぐことを決心。
「今考えればかなり無謀ですよね。自分が若かったというのもあるけど。ボクが始める前にリサーチが必要なはずなのに、リサーチ無しでまずはとにかくやってみよう!という気持ちで帰ってきました」
知り合いのまったくいない音楽業界。始めの一年は大変苦労したそうです。海外経験から学んだ、“人が大切であり続ける”ことをキーワードに、できるだけイベントに顔を出し、知り合いをつくり、イベントのブッキングも少しずつ増えていったそうですが、再び新しい壁にぶつかります。
「ライブハウスなんて嫌われ物なんですよ。誰も隣りには住みたくないし、必要でない人にとってはそこで何をしているのだとか、誰が働いているなんて関係ない」
それから、できるだけ街に関わろうと商工会に入り、朝の廃品回収をしたりと地元の催し物にできるだけ参加しているそうです。そして、この街をもっともっと盛り上げたいという想いから、今では万単位の集客のある大イベント「かもめのグリル」を発案。
「この街に仕事している人や住んでる人の顔が見えるようになってほしかった。ビジネスにとっても、防犯的にもいい効果だと思う。そして最終的には住む人や子どもが増えてほしい」と。
海と、漁業船、そして造船場が見えるかもめ広場で、最初の「カモメのグリル」を4年前に開催。
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「発案してからは、僕らより全然年上の60代の理事長が、僕らよりも早いスピードで動いて影でサポートしてくれました。この街に対しての想いがブレないたくさんの人たちに支えられました。20~90代の人まで協力してくれましたよ。年齢なんて本当に関係ない、この祭りを通して全員が友達になったんです」と、純さん。
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そんな活動的な純さんは、福岡にはビジネスチャンスがたくさんあると。
「例えば東京にいて、デパートの横に住んでいたとしても、買い物しに行く時間もない。 福岡市はその点ゆったりしているし、物価も安いし治安もいい。アジアの玄関口として、価格競争で終わるものでなく技術や場所など日本や福岡で熟した何かを海外に提供できる、この先10年だと思う」
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海外や東京を経験してきたからこそより見えてくる福岡の新しい可能性。それを踏まえた上で、街をより居心地よく、面白いものにしようとしている純さんの今後の活躍から目が離せません。
* セッションでつながるライブハウス:real local 掲載記事 https://reallocal.jp/13893