【大阪】つくりたい環境は、自分でつくる Studio Cloud/スタジオクラウド 竹﨑伸一さん
「本当に欲してくれる人のために、自分の技術を使えたらいいなと思うんです」
そう朗らかな笑顔で話すのは、Studio Cloudの彫金師である竹﨑伸一さん。これまでほぼ100%紹介のみでやってきた、この道10年以上になるベテランさんだ。仕事の内容は、オーダーメイドの指輪が8割を占め、結婚指輪の相談を受けることが大半。最近では、プロポーズ用の指輪をどうしたらいいかと、男性からの相談も増えているそう。
竹崎さんは指輪を作る際に、必ず自分のアトリエに相談者を招いて、時間をかけてヒアリングを行う。それは、本人たちの想いをきちんと理解するためだけではなく、もう一つ理由がある。
「指輪は、大切な時につくる特別なものです。私は、売り物としての指輪をつくるのではなく、目の前にいる人のための指輪を作りたいと思っています。ヒアリングを通して二人の想いに寄り添えば寄り添うほど、私自身にとっても力の入った特別な指輪をつくれるんです」
竹崎さんのアトリエは、大阪市の昭和町付近にある。近所には、自営しているカフェや雑貨屋などのショップも多く、地域の仲間同士でイベントを開催したりとコミュニケーションも盛んだ。
もともと鹿児島出身の竹崎さんは、専門学校への入学を期に大阪に移住した。地元鹿児島にいた頃は、道を歩けば必ず知り合いに出会うような、いわゆる”ローカル”な環境だったが、大阪では道行く人は他人ばかり。地元愛が強かったこともあり、当時は、”この場所で友達なんかつくるもんか”と意地を張っていた時期もあったそう。
「ふと、ある時気付いたんです。大阪でも、鹿児島みたいにみんな知り合いになればいい。居心地の良い環境は、自分で作って行けばいいんだって。それからは、積極的に周りの人と関係を築く活動を始めました。今では、野菜を交換し合ったり、困ったときには周りが助けてくれたり・・そんな人間味溢れるような環境ができています」
現在、子ども向けの彫金ワークショップを行ったり、卒業校の生徒へ彫金についての講演を行ったりと、竹崎さんは鹿児島と大阪を行き来することも増えている。いつかは、鹿児島にもアトリエを構えたいとも考えているそうだ。場所にとらわれない活動は、これからの時代にあるべき地域コミュニケーションのあり方かもしれない。
「大阪にあって大阪にないもの、鹿児島にあって鹿児島にないもの。それぞれの土地の良いところをうまく繋げて、足りないところを補ったり、そんなお手伝いができればいいなと思っています。人の想いを繋げたい。鹿児島も大阪も、共に楽しく暮らせる場所になればいいですね」
屋号 | Studio Cloud |
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住所 | 大阪市東住吉区 |