芸妓さんと一緒に、「福は内!」
金沢・東山 宇多須神社節分祭
その土地土地に根付く風習を知ることで、行ってみたい、参加したい、そういう慣習がある場所に住んでみたい!という気持ちにもなるものでしょう。
今回は、春の訪れを待つ金沢から、2月3日に行われた東山の宇多須神社での節分祭を紹介する。
金沢の卯辰山山麓寺院群にある宇多須神社(うたすじんじゃ)は、718年(養老2)の創建。浅野川近くから掘り出た古鏡に卯と辰の紋様があり、卯辰神を祀ったことが始まりで、金沢五社(ほかに、小坂神社、神明宮、椿原天満宮、安江八幡宮)のひとつ。1599年(慶長4)の前田利家没後、二代藩主・前田利長公が金沢城の鬼門の方角のこの地に卯辰八幡宮を建立し、前田利家公を祀った加賀藩社だ。そのため、この辺りは、「八幡町」とも呼ばれている。
節分祭は、今年で16回目。当日は、豆まきに先駆けて、ジャズの生演奏や、加賀守田流南京玉すだれ、藤舎良寛氏による篠笛も演じられた。
拝殿では、玉串奉奠などの神事が行なわれ、山野之義市長をはじめ、正装姿のひがし茶屋街の芸妓(げいこ)さんも神事に参列。
拝殿では、神社総代、料亭組合代表、芸姑さん3名による豆まきが行なわれた。「鬼は外!」のかけ声ではなく、「福は内! 福は内!! 福は内!!! 」を3度繰り返し境内に向かってまくと、参列者は、嬉しそうに豆を拾った。
続いて、黒紋付の「お引きづり」と言われる正装姿の芸妓さんの姿が見えると、境内から歓声が上がった。
地方(じかた)と呼ばれる、唄い手と三味線の奏でる音色のもと、艶やかで、しなやかでそれでいて凛とした強さが感じられる、「君が代松竹梅」、「さわぎ」などの舞が披露された。
大きな拍手とともに20分程の舞が、終わると、紅白横断幕の舞台上から、三方を抱いた森博宮司、芸妓さん、山野市長らによって来場者へ豆がまかれた。
北陸新幹線で訪れた来場者もいた節分祭。「今年は、去年の800人を上回る、1千人が来場した」と話す、森博宮司。
宇多須神社は、ひがし茶屋街の近隣ともあって、毎年、現役の芸妓さんが舞を奉納し、豆をまいている。
観光地からほど近いスポット、そして昨今の国内旅行ブーム、昨春の北陸新幹線開業後初めての節分祭ということもあり、来場者数もぐっと増え、ふらりと訪れた観光客でも楽しめる行事であるということを体感。
一方で、「三が日、節分祭の後、毎月3日には、同神社にてセミナーや懇親会が開かれている」との森宮司のお話に、地域の慣習や行事などには、リアルなその土地の日々の暮らしや町本来の姿が見え隠れしているとも感じた。
ご覧のみなさまも、地元ならではの節分祭に、来年は、ぜひ金沢で!!!
日時 | 毎年2月3日 |
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会場 | 宇多須神社 |
住所 | 石川県金沢市東山1-30-8 |
URL | http://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/search/detail.php?e7a59ee7a4be4944=324 |