【篠山】400年の歴史にとけこむように泊まる
篠山城下町ホテルNIPPONIA(ニッポニア)
兵庫県篠山市に、篠山城を含む「城下町全体をひとつのホテル」に見立てるという構想のもと、築100年超の古民家を含む空き家4棟を、宿泊施設、飲食店等として改装した宿泊施設が誕生した。
それが、篠山城下町ホテル「NIPPONIA(ニッポニア)」だ。
兵庫県篠山市は、篠山城を中心とした城下町。京都と山陰、山陽間の交通の要衝として栄え、400年の歴史を持つ街並みが魅力だ。築100年を超える明治期のものから昭和期のものまで、歴史的に価値のある建物が多く、国指定伝統的建造物群保存地区に指定されたエリアが複数あり、周辺には、丹波栗、丹波黒豆、松茸、ぼたん鍋(猪鍋)など、豊かな食文化を育む農村地域が広がっている。
また2015年12月にユネスコの創造都市ネットワークにクラフト&フォークアート分野で加盟認定された通り、丹波焼をはじめとした伝統工芸も盛んで、感度の高い雑貨屋も立ち並んでいる。
しかも、それらの魅力が城下町を中心にコンパクトに展開されている。
だからこそ、「篠山ではあのホテルに泊まった」という観光の中の一部のサービス提供ではなく、「篠山で暮らす」という体験を届けることができるのではないか。
歴史ある街並み、豊かな食文化、誇りある伝統工芸、それら地域の暮らし文化に入り込む、新しいスタイルの宿泊施設をつくろう。そういった想いのもと、「歴史あるまちに、とけこむように泊まる」というコンセプトを掲げ、誕生した。
客室やレストランを城下町周辺に点在させることで、まちの既存商店主との連携をホテルの構想に取り入れ、「ホテル」「お客様」「地域内の商店主」が三者一体となり、まち全体の利益向上も目的とし、地方創生における歴史地区の再生を担っている。
他の地方と同じように抱える、虫食いのように点在する空き家。
まちの特性を見つめなおし、それを逆手に取ったのである。
改修された4棟の古民家は、11室の客室となった。
時間を重ねた歴史ある部屋に、ホテルという新しい価値を加えさせてもらった、といっても過言ではないくらい、新しくも深みのある、美しい空間に仕上がっている。
NIPPONIAでは料理も地域体験の重要なひとつ。
篠山は日本海や但馬など食材の豊かなエリアだ。地元で採れた新鮮で美味な食材をふんだんに使った創作料理で、地産地消をベースとした地域の食文化を体験することができる。
築100年超の空き家である古民家を活用した、NIPPONIA。
それは、かつて栄えた篠山という歴史地区の価値を、そこに住む人たちと一緒になって見直し、拾い集め、現代に「活き返らせた」地方創生のカタチである。
そして最後に、忘れてはならない。
建物を所有していた方の「まちのために」という決断、地元の職人の情熱、地元住民の想い出、たくさんの篠山を想う感謝と歓迎の気持ちが具現化し、実現できた宿泊施設だということ。ホテルに泊まって、ホテルから歓迎はされど、まちから歓迎されることがあっただろうか。
ホテルという概念を超え、まちの一部として存在するNIPPONIA。
次は誰と篠山で一緒に暮らせるのか、私たちも楽しみに待っている。
歴史あるまちに、とけこむように泊まろう。