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孫の世代のためにまちを楽しくしたい

嶋田秀範さん(株式会社ワークスープ)

2016.10.08

孫の世代のためにまちを楽しくしたい

 

小倉のまちで「パパ」といえばこの人、嶋田秀範さん。夜の街をお供すると、どこへ行っても色んな人から声をかけられるほど。そしてカッコいい。とにかく昔から色んなことをやってる方だけど、正直なところ何屋さんなのか分からないって人も多いはず。だから、一応伺ってみた。すると、今はこんな感じのことを生業にしているそうだ。

・商業施設のテナント誘致(リーシング)事業

・リノベーションによるエリアマネージメント事業

・道路を利用した賑わいづくり(内閣府国家戦略特区)の活用事業

・民間のカルチャー施設

・日本全国の個人作家の作品の販売施設

・夜の賑わいづくりを推進する飲食事業

・エリア再生に向けた物件、道路、広場などの賑わいづくり

・雇用促進、スタートアップ事業

・今後6次産業化事業も小さなスモールエリアでの活動を検討中

 

んーーー、どうやらただの酔っ払いオヤジではないらしい。

そこで、まずは、なぜこの場所で活動しているのかを聞いてみた。

「この魚町サンロード商店街エリアは、8年前くらいまでシャッター街と言われていて、小倉中心市街地では最悪の場所だった。そんな折、息子であるらいおん建築事務所の嶋田洋平が「メルカート三番街」という若手クリエーターのインキュベーション施設を提案し、ビルオーナーの梯輝元さんの決断によってリノベーション事業がスタートした。その様子をいつも隣で見守っていたことで、リノベーション事業の素晴らしさを目の当たりにし、これからの世の中に必要なビジネスモデルになれると確信した。そのことがきっかけで、このスモールエリアの再生に向けて、この地で本腰を入れて活動する決断ができた。」

なるほど。では、その後、嶋田パパは具体的にはどんな活動をしてきたのだろう。

「メルカート三番街プロジェクトのあと、まず始まったのが、同ビル2Fの1フロアをたくさんの小区画に分割して利用したポポラート三番街プロジェクト。このプロジェクトの狙いは、手づくり作家やアーティストたちがまちに拠点を持ち、個々が将来大きなアトリエで活動できるようにするためのインキュベーション施設をつくるというもので、それを企画したのは、これまた息子の嶋田洋平だ。そして、プロジェクトを進めるために重要な鍵を握るリーシングの部分を私が担った。周りの人たちからは、北九州にそんな人はもういないのではと疑問を投げかけられたものの、集める自信はあった。なぜなら、その人たちはまちにはいない。自宅にいるからだ。そこで、市内で開催されているマーケットに足繁く通っては連絡先を聞きまくり、候補者リストをつくりあげ、次々と入居者を確保していった。実際の入居者は、予想通り、自宅をアトリエとして活動していた作家やアーティストが多く、結局1〜2坪の小さなアトリエが21区画埋まって、インキュベーション施設としてこのプロジェクトが始まった。」

孫の世代のためにまちを楽しくしたい
手づくり作家・アーティストのためのインキュベーション施設

ナンパ師の本領発揮って感じだけど、プロジェクトの成否を分けるとても重要なポイントの1つだと思った。やはり只者ではない。ということで、次に仕掛けたビッコロ三番街についても聞いてみた。

「ビッコロ三番街は、同ビル1Fを利用したプロジェクトで、朝市・昼市・夜市の3毛作をコンセプトとして開始した。朝は北九州近郊の農家さんの朝採り野菜の販売、昼は一般テナントさんの販売や1日テーブル1台のスペースから販売が始められる毎日市の開催、夜は屋台飲食の販売、占い、カラーセラピーなど、それぞれの時間帯に似合う活動拠点として運営している。そうすることで、朝・昼・夜それぞれの時間帯で働けるスペースとして活用されている。」

孫の世代のためにまちを楽しくしたい
ビッコロ三番街

3毛作とは、欲張りなようにみえるけど、話を聞くと実に理にかなっている。この商売センスの源が知りたかったのだけど、まだ続きがあるそうだ。

「中屋ビルにおけるリノベーションプロジェクト開始から数年が経ち、中屋ビル内だけで雇用や起業等を生み出してきたが、ビル内のスペースにも限度があり、気がつくと活動したい人々を待たせる状況になってしまっていた。そんな矢先に、5〜6年前より検討を進めてきた魚町サンロード商店街のアーケード撤去事業や路面の緑化改修事業などが動き始め、その工事期間中には「内閣府国家戦略特区」の指定を受け、道路を利用した賑わいづくりが可能となった。このことによって、中屋ビルを中心としたエリア全体で「起業・雇用・インバウンド」などの賑わいづくりを仕掛けられる環境がある程度整ったわけです。建物内ではなく公共の道路を利用してイベント(毎日商い)が開催可能な環境で、今のところは、地元飲食店を中心に「鳥町夜市」として夜の賑わいづくりを進めているが、今後は「サンロード鳥町マルシェ」の毎日開催に向け協議に入っている。このマルシェは、北九州近郊、地元の農家の方の加工品・飲食・物販など多くの業種の方を迎え特に農家の方の商品を地元お母さん方のよる販売のできる拠点として「農村と町をつなぐ鳥町」、小さな6次産業化を目指す仕組みとして、北九州全域にこのモデルを発信して行きたい。」

孫の世代のためにまちを楽しくしたい
路上でお酒を楽しめる鳥町夜市
孫の世代のためにまちを楽しくしたい
カーゴバイクで夜の商い

この歳でとか言ったら失礼かもしれないけど、実際この歳になっても更なる野望をもって精力的に動いてる人ってなかなかいないと思った。しかも、このまちの未来のために。その心意気に惚れ惚れしてしまう。いったいどこまで行くのだろう。最後に、今後の目標について尋ねてみた。

「私のこの8年間は、息子嶋田洋平や清水義次さんをはじめ、日本全国のリノベーションの仲間のおかげで完全に体全体がリノベーションされました。今この小倉中屋ビルや鳥町四丁目の仲間とともに、このスモールエリアの更なる賑わい作りと、「行政・警察・民」の新しい仕組みで民間主導による「真のまちづくり」を今後も進めて行く為に、更なる出会いを求めていきたい。だから、今後私は、ご年輩(団塊の世代)の方々との出会いを大切にし、団塊世代の孫たちが大人になる次世代にむけて「リノベーション・家守事業」を推進することで、これからの世の中に必要なビジネスモデルである事をもっと多くの人々に伝えて行ければ幸せです。」

孫の世代のためにまちを楽しくしたい
リノベーションスクールでのパーティーの様子

こういうカッコイイ大人がいる街っていいよなぁ。お話を聴いていて、つくづくそう思った。

みなさんも嶋田パパに会いに来れば、面白い話が聞けますよ。

ただし、酔っ払いすぎている状態だと、少々面倒くさいときもありますが(笑)

ありがとうございました!

屋号

株式会社ワークスープ

URL

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住所

北九州市小倉北区魚町3-3-20中屋ビル1F

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