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【大阪】ローカルから生まれるニュートピア 編集プロダクション「インセクツ」

【大阪】ローカルから生まれるニュートピア 編集プロダクション「インセクツ」
(上)自分たちで改装した仕事場と (右下)代表の松村貴樹さん

大阪の人には雑誌『IN/SECTS』の印象が強いかもしれない。実際には雑誌づくりの他、webサイトのコンテンツを作ったり、イベントの企画・運営などを手がける編集プロダクションだ。

事務所は大阪市内でも戦前の町並が多く残る谷町六丁目(大阪市中央区)にある。長屋を改装したカレー屋の2階がその現場で、靴を脱いで階段を上がるという帰宅感いっぱい。そこでメンバー6名がそれぞれの仕事に取り組んでいる…かと思えば、ゲームをしたり昼寝を挟んだり、緊迫感はあんまりない。

はじめて雑誌『IN/SECTS』を手に取った時は「この人たちいったい何者??」という衝撃があった。強烈に共感できる話題もあれば全くわからない内容もあるのだけれど、中身はと言うと、「生駒」「ひとり」「ローカルアート」「クロスカルチャー」「もうかりまっか?」(と題したお仕事特集)、「大阪」などを特集。そんな特集をごく私的な視点で深く追求しているカルチャー雑誌が『IN/SECTS』だ。

【大阪】ローカルから生まれるニュートピア 編集プロダクション「インセクツ」
雑誌『IN/SECTS』。広告のほとんどない、等身大の自主制作誌である

この特集の中に常に横たわっているテーマがローカリティ。それは、決して地理的なことを言っているのではなく、ひとそれぞれの趣味、興味、考え方、生き方、思い出というようなことを指している。

そんな雑誌の編集長・松村さんはどんな仕事においても、できる限り天然な判断を大事にしたいと話してくれた。 例えば、雑誌づくりの場合。「面白いから読む」という動機に素直であるべきと言う。

「既存の戦略的な考え方やこれまで通りの経済合理主義を善とした判断をしても仕方がない。ただ単純にお金のみが欲しいのではなく、誤解を恐れずに言うと、もう少し、高度なことを要求していて、金銭に加えて共感できる価値観や個が幸せだと感じられる何か、それがきちんと得られるか。そのために、冷静に判断する中で、感情的と言うと誤解があるけれども、肉体が感じる、例えば暑いとか疲れとか、そういったフィジカルな感覚に近いことをきちんと感じとって、反射のように反応していかないといけないんじゃないかと思う。だから、売れるためのだけのものを作って反響が得られたとしてもそれは本意じゃないし、たくさん売れたからOKというのは、日本が本当に先進国だとするならば、正直ナンセンスだなと思う。おそらくみんな気がついているのに、やり方そのものを見直す機会が意外にないんだなと。その仕事は本当に大切なのか、立ち止まって考える必要があると思う。」

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国立国際美術館で開催した芸術と音楽のコラボ「Music Today on Fluxus 蓮沼執太 vs 塩見允枝子」

松村さんは、大阪に拠点をおく理由のひとつに生活と仕事を線引きしなくてよい都市環境という点があるそうだ。

「自分たちで勝手に雑誌を作るとか、何か自ら動かない限り、一般的に企画編集の仕事はクライアントがいて取引先がいて、そんな事情を考えると今のところ都市部じゃないと生存しにくい。パイを重視するなら東京だと思うけれど、残念ながら仕事と生活が分離されるイメージしか持てなかった。今の僕にはそれが健康的だと思えなかったし、理由はさっき言ったことと同じかな。大阪と東京という古典的な比較論になると、秀でているところはないのかも知れないけれど、それが逆にちょうどいいかも知れないと思う。これはまだ、感覚的な話でしかないけど、その加減がちょうどいい具合で、大阪は都市部でありながら、生活と仕事が混在する環境であり続けられるんじゃないかと思っている。結果的に、それが他では代わりのきかない自分たちの意味付けになっているんじゃないかな」と話す。

大阪から発信するからには地元でおもしろさを見つけていかなくてはいけない。探し続けるのは「大阪らしさがないからではなく、ありすぎる」ということ。東京から都会的という言葉を取り上げたら途端に説明が複雑になるように、規模は違えど大阪にも歴史、食、人、街の個性、世代 …etc 、多くの切り口がジャンルを超えて絡み合っている。そして日々変化している。

私的な視点で興味を伝える。インセクツのアプローチはいつだってそういうスタンスだ。

【大阪】ローカルから生まれるニュートピア 編集プロダクション「インセクツ」
【New!!】『IN/SECTS』Vol.006 2014年12月発売 みんなじっさいどんな日々を過ごし、どんな考えを巡らせている? それらはSNS上ではなく、日記という紙の上で綴られるものでは。さまざまなひとたちの暮らしに着目し、日々の小さな記録から同時代の共感を浮き彫りにする「日記」特集
屋号

合同会社インセクツ

URL

http://www.insec2.com

住所

大阪府大阪市中央区谷町6丁目18-28

備考

雑誌『IN/SECTS』はWEBサイトからも購入可能
http://www.insec2.com/mag