いただき繕 福井越廼
農家民宿、シェアハウス
越前海岸に沿って、目の前に迫る日本海を眺めながら、さらに山に向かって急な上り坂をくねくねと車を走らせると、森の中に突如としてちょっと開けた隠れ里があります。
ここが、人の人口より動物の人口の方が多いという、福井市越廼地区にある「超限界集落」八ツ俣町。
坂の上からは日本海が一望でき、しっとりとした木々も手が届くところにあり、深呼吸をすれば自然と心が落ち着きます。
八ツ俣町に拠点を置く「いただき繕 福井越廼」では、水環境の素晴らしさを生かし、無農薬での野菜栽培を中心に、農家民宿、自然農での畑、古民家改装などが体験でき、ヴィーガンおむすびお弁当をいただくことができます(予約制)。
自身も名古屋から移住したという「いただき繕」のオーナー山田さんは「自給自足の方法を身につけることで、いざという時の避難所としたい。持続可能な世の中を次の世代へ伝えたいと思っている人、特に子を持つお母さんにも体験してほしい」とやわらかなまなざしで語ります。
実際に、体験には多くの若い世代の親子や、海外の旅行者も日本の農業を学びに訪れています。
昭和30年代には100人以上はいたという八ツ俣町の集落。今では、両手で数えるほどに。ほとんどが空き家となってしまったため、「いただき繕」のメンバーによって古民家の再生にも力を入れています。
また、ギリシャの天日塩やスコットランドの大麦など、世界各地のオーガニック商品も販売中。梱包や発送などは、地元のおばちゃんたちの協力も得ています。
山田さんは、「今のままではどうしようもない、けどなんとかしたいと、もがきながら生き方を模索している人に、ぜひ訪れてほしい」と加えます。
鯖江市のお寺で得度を受けた黙鐔(もくだん)僧侶(山田さん)によるプチお経講座も。
海も山も身近にある越廼で、自然に身体を委ねながら、生きるために本当に大切なものは何かを考える静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。