「市長!鎌倉ってどんな町ですか?」
鎌倉市 松尾崇市長
鎌倉の景観や居住性についてインタビューしてきました!
以前ご紹介したイベント「近い将来引っ越して湘南LIFEを過ごしたい」講座でもゲストとして登壇されていた、鎌倉市の松尾崇市長。
お忙しいことは承知の上で取材を申し込んだところ、ご快諾いただいた。
私たちが暮らす「鎌倉」について、お話を伺いました。
「まず、移住の観点で見てみると、30代後半から40代前半にかけて。小さいお子さんのいるファミリー層の方に、今一番多く移住していただいています。」
「子育て層に魅力を感じてもらっているのでしょう。今後、子育ての支援には、より力を入れていきます。自然環境だけでなく、行政の面でも子育てのしやすい環境づくりを目指し、第二子以降の保育園、幼稚園の費用や、中学卒業までの医療費などを、無料にしていきたい。」
「ただ一方で、鎌倉で生まれ育っただろう20代前半の若者が、おそらく就職したタイミングで、市外に転出している数が非常に多い。もちろん勤務地によるとは思うのですが、通うために引っ越しているのだろうことが想像できるデータです。」
鎌倉には、1995年に制定された「鎌倉市都市景観条例」、「鎌倉市まちづくり条例」があり、町並みの保存に力を入れてきた。2004年の景観法施行後は、景観行政団体として、独自の景観計画に取り組んでいる。
「町自体についてお話すると、鎌倉という場所を大切に思っている方が多い土地。町並みや景観は、行政としても、できる限り守っていく姿勢でいます。」
象徴的な事例がある。
鎌倉の文化のひとつ、大正、昭和初期にかけて建てられた西洋建築。その中でも、鎌倉三大洋館に数えられる「古我邸」。
この古我邸が、2015年4月、フレンチレストランとして新たなスタートを切ったことだ。
築100年を超える建物で老朽化も進む中、個人での維持が困難になった古我邸。それを守る、新しい方法として提案されたレストランの計画。
「最初に話を聞いたとき、ぜひやってほしいなと思ったんです。行政として、できる限り応援をしたいと。ただ中立的立場に立って、さまざまな意見を公平に聞かなければならない立場でしたから。」
中には、反対の声もあった。
「案じたのは、例えば反対の声が盛り上がって、守りたいはずの古我邸がなくなってしまうこと。それは住民の方にとっても、願っていることではない。お互いに誤解がないように、最初にボタンをかけちがわないようにと、丁寧に進めました。」
「ある建物を守ることが、その建物が建つ場所の景観を守ることにつながるような場合は、バックアップしたい気持ちです。」
5月には、「赤尾邸」という、旺文社創業者である赤尾好夫氏が生前、自宅の前に建設を目指しながら、途中になっていた美術館が、再活用されるかたちで、歴史交流館としてオープンする予定。こちらは建物の寄贈を受けた行政が主体となっている。
現存する質の高い建築物が活用されることは、不動産に関わる我々にとっても嬉しい。
続くチャレンジとしては、鎌倉市梶原の「野村総合研究所跡地」。2002年、鎌倉市が寄贈を受けた広大な土地だ。
「野村総合研究所跡地に、市外・県外から企業誘致をして、この場所を再生させたいという方針を市としては持っています。環境の整備や、周辺住民の理解を得る必要もある。慎重に進めています。調査を行い、その結果を待って、具体的な活動の募集に入っていきたいと思っています。」
実現すれば、鎌倉市の雇用にも関わる話となりそうだ。
最後に、居住や観光ということに関して、今後どうしていくべきなのか、現在感じていらっしゃる課題についてお聞きした。
「鎌倉は、観光客が多いことも特徴ですが、観光に関して言えば、実は99%が日帰り。今後の課題としては、文化や魅力をもっとわかりやすく伝えて、長く楽しんで、滞在していただける町にしていきたいですね」
URL | 鎌倉市:https://www.city.kamakura.kanagawa.jp 野村総合研究所跡地:http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/treasury/nomura.html |
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住所 | 鎌倉市役所:鎌倉市御成町18−10 古我邸:鎌倉市扇ガ谷1−7−23 野村総合研究所跡地:鎌倉市梶原4−7−1 |
営業時間 | 古我邸: ランチ 11:00〜15:00(LO 14:00) ディナー 17:00〜21:00(LO 19:30) オープンエアーカフェ 11:00〜日没
野村総合研究所跡地:9:00(開門)〜17:00(閉門) |
定休日 | 古我邸:火曜 |