リモートワークってどうですか?

会社員として自由に働く、赤塚誠二さん

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新しい働き方が移住のカルチャーをつくっていきます。山形が拠点、でも本社は東京という会社員の方にお話を聞きました。

リモートワークとは、会社員として組織に所属しながら、在宅もしくはオフィスに通勤せず働くこと。社会の流れから自然発生した新しい勤務スタイルです。

赤塚誠二さんは大分に生まれ育ち、その後東京で開発者やSEとして働き、2013年に山形へ移住しました。現在は、東京に本社がある〈サーバーワークス〉の会社員として、山形を拠点にリモートワークを実践しています。

赤塚誠二さん。山形から週2回ほど通うという、〈サーバーワークス〉の仙台オフィスにて
赤塚誠二さん。山形から週2回ほど通うという、〈サーバーワークス〉の仙台オフィスにて

IT系、もしくはエンジニアじゃないと無理なのでは? 在宅で仕事がはかどるの? メリットとデメリットは? 興味はあるけど実態がみえないリモートワーク。赤塚さんに山形におけるその現状とコツをうかがってきました。

 
──まずは、山形へ引っ越したきっかけを教えてください

ぼくは大分出身で、祖母と叔母、両親、そして3人兄弟が一緒に暮らす、にぎやかな田舎の環境で育ちました。東京も楽しかったですが、家族が別々に暮らすことにずっと違和感を覚えていて。自分のあり方を修正したら田舎暮らしも肌にあっていたんですね。奥さんの実家である山形に拠点を移して、家族みんなで暮らそうと決めました。いわゆる婿入りです。

──東京から山形へ婿入り。思い切った決断ですね。

環境がガラリと変わりました。いま住んでいる家の周りには田んぼがあって、夜は静かで暗くなる。しっかり休めるので、常に頭がクリアな状態です。

自分と違う世代の人と接することも大きな変化でした。東京では似た価値観を持つ同世代だけの世界で生きていけます。快適で楽しいし、簡単に意思疎通できる。

山形では親世代との同居で、近所の赤ちゃんや子どもと接することもあります。自分の「当たり前」が通用せずコミュニケーションに頭を使うので、考える幅が広がってひらめきも増えた気がします。空気も食もおいしくて生活しやすいし、山形に来てよかったです。

赤塚誠二さん。〈サーバーワークス〉の仙台支社にて

──山形で不便に感じることはないですか?

しいて言うなら、東京へのアクセスです。やはり新幹線で3時間はキツイ。東京のお客さんからみて「遠い」というイメージはビジネスの障壁になるので、もう少し近くなるとありがたいですね。

──仕事について教えてください

〈サーバーワークス〉はアマゾンのクラウドサービスを導入支援する会社で、システムを作って販売し、監視と運用・自動化をします。ぼくの担当は提案と営業です。

展示会や会社のブログなどを通じて営業し、システムの設計、契約までの資料づくりもします。クラウド勉強会の企画と運営の人脈からも相談が来ることがあります。お客さんは東京が多いですが、北海道、仙台、山形など東北全域もカバーしています。

職場は自宅がメインです。家から出ない日もあるので、体が鈍らないようにスタンディングデスクで仕事をすることが多いです。仙台オフィスの担当なので、週2回くらい仙台に行きます。山形と仙台はアクセスがよくて1時間で行けてしまうので、移動はまったく苦になりません。

勉強会を開いたり、コミュニティーの場に行ったり、自分で動いて人と会うことも大切にしています。東京や地方への出張もあります。

インフラの老朽化対策、農業の効率化、観光地の決済システムなど、地方にAIやクラウドを導入することで、改善できることがたくさんある
インフラの老朽化対策、農業の効率化、観光地の決済システムなど、地方にAIやクラウドを導入することで、改善できることがたくさんある

──フリーランスではなく、会社員としてリモートワークを選択したのはなぜですか?

当社の代表はアフリカのことわざを例に出します。「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいなら一緒に行け(If You Want To Go Fast, Go Alone. If You Want To Go Far, Go Together)」

ひとりは自己完結型でスピーディーなのですが、ひとりでできることには限界があります。会社は人も設備も揃うハブで、そこと繋がることでより大きな仕事ができる。

ぼくは裁量制で自由度が高いですし、働きやすい社風なので、いまのスタイルが一番自分に合っているんです。

──1日のタイムスケジュールは?

会社の営業時間に合わせて10時から19時をコアタイムとしています。朝は8時くらいからデスクに向かうことが多いです。夜7時には家族と夕食をとるので、必ずいったん仕事を切り上げますが、その後に仕事をすることもあります。

基本的にはお客さんとも社内でも、メールやチャットなどPCでのやりとりがメイン。営業時間内はチャットが常にオンです。

──テキストのみのコミュニケーションって、ちょっと難しそうなイメージです

遠く離れて見えない分、お客さんや同僚を不安にさせない配慮が必要です。どこにいてもレスが早いことは大前提。2回チャットしてかみ合わなかったら電話。それでも解決しないときは対面する法則です。

テキストだけでは冷たく感じるので、絵文字を多用します。LINEと一緒ですね。テンションや感情を表すのに便利です。

社内でオリジナルの絵文字を開発することもある
社内でオリジナルの絵文字を開発することもある

──リモートワークをうまくやるコツってありますか?

ずばり「タスク管理」ですね。とにかく、思いつきで仕事をしないこと。

リモートワークを始めるにあたり、マクロな視点で自分のビジョンを見直しました。夫として、家族として、会社員として、社会人として、コミュニティーの一員として、自分がどうありたいのか描く。そうすることで、自分に大切な事柄の最終的な姿が明確になり、優先度がクリアになります。

次はミクロな視点で、毎日のタスク管理です。まずは「やりたいこと」と「やるべきこと」を仕分けする。仕事や家事も含めたルーティーンをしっかり管理するのもポイントです。ルーティーンを効率よくこなせば、精神的なプレッシャーも減るし、「やりたいこと」をする時間が増えてモチベーションが上がります。

赤塚さんの趣味はサーフィンやスノーボード。体を動かしてデスクワークとのバランスをとっている
赤塚さんの趣味はサーフィンやスノーボード。体を動かしてデスクワークとのバランスをとっている

──どんな職種、またどんな人がリモートワークに向くと思いますか?

消去法で考えて、人事部、総務部、サービス業など対面が必要なケース、あとは大規模な工場での技術職など、設備を要するケース以外はリモートワークが可能だと思いますよ。

それより大切なのは、やりたいことが明確であること、そして会社との信頼関係ですね。

リモートワークとは裁量制なので、自分の仕事にとことんフォーカスできて生産性が高い。それが最大のメリット。裏を返すと、やりたいことがない人には厳しいかもしれません。人に指示された仕事をひとりでやり続けるのは辛いですから。

自分のやりたいことが、会社のメリットに結びついていて、会社とその価値を理解し合っていればOKなわけです。

ぼくの場合は、自分のクラウド知識を高めるためにクラウドの勉強コミュニティー〈JAWS-UG山形〉を立ち上げました。地域とゆるくつながりながら、それが会社にも還元されています。いい具合に公私混同ができているのも、自由度が高いリモートワークだからこそですね。

──デメリットはありますか?

これはフリーランスと同じですが、仕事をしすぎてしまうことです。閉じこもってどこまでも際限なくできてしまう。それを防ぐためにも、タスク管理が大切になりますね。

──今後、Uターン、Iターンしたい人が会社を辞めずに、地方でリモートワークを実現する近道ってあるでしょうか

いまはIT系に限らず、特に中小企業はいい人材を確保するために、働きやすい制度を設けているところも多い。まずはリモートワーク制度がある会社に転職して、そこでがんばって実績をあげるのがいいかもしれません。

会社に「この人を手放したくない」と思わせるように、いいパフォーマンスをすれば、交渉の余地は十分にあると思いますよ。

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山形でのリモートワーク、もしくはクラウドにご興味がある方は、赤塚さんが主催するコミュニティー〈JAWS-UG山形〉に参加してみてください。詳細はこちらからどうぞ。

[JAWS-UG 山形について]
全国各地に50グループ以上あるAWSクラウドのユーザー会の山形支部として、2013年から非営利の勉強会や交流会をボランティアで開催している

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