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山形と仙台がつくる未来のローカル像

「クリエイティブ・ローカル」Report

2017.03.24

3月22日、山形市にて行われたシンポジウムの模様をレポート。山形市と仙台市の市長によって未来の東北像が語られました。

山形市と仙台市はとても近い。

1日にバスが80往復し、所要時間は約1時間という、心理的な近さ。両都市間を毎日通勤する人も多く、経済と人材が日々盛んに行き交っています。

山形と仙台がつくる未来のローカル像
本イベントの主催は東北芸術工科大学。”デザイン思考”をベースとした実戦的な教育から、全国で唯一志願者数を増やしている芸術大学である

「仙山生活圏」として、仙台市と山形市を大きなひとつの生活エリアとする考え方があります。2都市が今後どのように連携をとり、「仙山生活圏」には、どんなクリエイティブな可能性があるのか。

3月22日、山形市にてシンポジウム「クリエイティブ・ローカル/仙山生活圏の可能性」が開催され、山形市と仙台市の市長によって未来の東北像が語られました。

山形と仙台がつくる未来のローカル像
左から、モデレーターを務めた馬場正尊氏(東北芸術工科大学教授)、奥山恵美子氏(仙台市長)、佐藤孝弘氏(山形市長)。カフェで語り合うイメージで、円卓でコーヒーを飲みながらのリラックスした雰囲気
山形と仙台がつくる未来のローカル像
山形市、仙台市の両都市から300名が集まり、賑わいをみせた

ディスカッションでは、「暮らし」「芸術・アート」「クリエイティブ拠点」「リノベーションまちづくり」の4つの切り口から、両都市を掘り下げていきました。

開発が進む駅前や〈光のページェント〉など、東北の中枢を担う都会的な仙台市。田園風景や温泉、歴史的な神社仏閣など、ゆったりした日常風景が美しい山形市。

「仙台フィルハーモニー管弦楽団」「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」など、”楽都”として、戦略的に音楽を推進する仙台市。東北芸術工科大学や「山形国際ドキュメンタリー映画祭」を背景に、アートと映像に力を入れる山形市。

山形と仙台がつくる未来のローカル像
会場には仙台の〈SENDAI COFFEE STAND〉と山形の〈BOTA Coffee〉が出店。屋台という2〜3万円の建築からまちを変える、次世代のまちづくり。「コーヒースタンドが入ったシンポジウムは新鮮です。こういった試みが新しい価値をつくりますね」と、奥山市長からは賞賛の声が

仙台市では大規模な民間発のイベントが多く、仙台市民の行動力と足腰の強さを感じます。一方で、改善点も語られました。開発が駅前に集中する現状と、”ミニ東京”になることの危うさ。「オリジナルになる努力」を続けて変化のあるまちづくりが必要であると奥山市長は言います。

山形市はオリジナリティにあふれ、今後は観光客によるインバウンドの拡大が見込まれる。一方で、佐藤市長は「少量・多品種・高品質」の傾向によるPRの難しさにも触れていました。

山形と仙台がつくる未来のローカル像
会場は、山形市の〈ホテル・メトロポリタン山形〉

同じ切り口から見比べることで、2都市のそれぞれ違う個性がくっきり浮かび上がってきました。山形市、もしくは仙台市に住めば、2都市の良さを享受できる。それはじつに恵まれた環境なのかもしれません。

刺激を与え合い、足りない要素を補い合う仙台市と山形市は、理想の夫婦のような関係です。今後、ますますお互いに欠かせない存在になることは間違いありません。

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